■ 一本道迷宮
作者 [ 1Bit さま ] ジャンル [ ダンジョン探索パズル風RPG ] 容量・圧縮形式 [ 33MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] ダウンロード
- (補足)
- 2011.09.11:レビュー時点のバージョンは、Ver.1.03です。
- 2011.12.01:現在のバージョンは、Ver.2.00です。
- 2012.12.09:リンクを変更(YUYU さま、情報ありがとうございます。)
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 8 /10 9 /10 8 /10 75/90 DECOすけ野郎 8 /10 9 /10 9 /10 赤松弥太郎 7 /10 9 /10 8 /10
足りねぇ! 速さが足りねぇ! (時間切れで閉じ込められながら)
本日紹介する「一本道迷宮」において、最大の敵は「時間」です。
道中のモンスターはレベルと装備を整えれば難なく対処できます。トラップや戦闘によるダメージは、道中の回復ポイントで全回復できるし、回復アイテムもあっさり集まるため、大ダメージにさえ気を付けていれば恐れることはありません。
しかし、「時間」…これだけはプレイヤー自身を鍛えるしかありません。いくらレベルを上げても、いくら強力な装備・アイテムを揃えても、時間切れになった瞬間、強制退場となります。
ダンジョンクリアを目指す場合、キャパシティ「タイム減少遅」を必ずセットしておきましょう。「タイム減少遅」をセットしていない場合、貴重な「砂時計」を大量に使用しないと、10階層以上に及ぶダンジョンを超えることなど不可能です。私が「一本道迷宮」で感じた魅力は、「『プレイ時間の短さ』と『プレイヤーに考える必要性を与える歯ごたえ』を両立させたシステム」に尽きます。
1回あたりのダンジョン攻略にかかる時間は、中ボスを制覇する場合でも2~3分程度。1度出るごとにオートセーブされ、それまで手に入れた経験値・アイテム・スコアは必ず手元に残ります。よって、「セーブできるまでの間隔」「セーブにかかる手間」が省略され、数分のプレイ時間でも展開を進めた手ごたえが感じられる仕組みになっています。
また、時間とモンスターの戦いは、高度な思考を迫ります。主人公4名が持っている属性やキャパシティにより、難易度および展開が大きく変わります。
苦手属性の味方がパートナーだと、HP残量に戦々恐々としなければいけません。防御の少ないナナイロとブラッドなら尚更です。そういう意味では「運ゲー」要素も大きくあります。
また、「一本道迷宮」での最大の難関である「時間との戦い」も、ある程度軽減できる要素があります。道中では決定キーでPauseができ、時間減少を止めたままマップを見ることができます。道筋を考える場合は、Pauseを掛けることを習慣づけておけば、時間及び「砂時計」の節約になる上、より落ち着いて道筋の思考ができます。「一本道迷宮」は、RPGならぬアクション性の高さと(プレイヤー側・敵側双方の)ダメージの高さにより、低レベルクリアなどのヤリコミしがいがある…と思いますが、現バージョンではバグおよび仕様により、ヤリコミがしづらいゲームとなっています。その点が短所とも言えるでしょう。
バグとしてのヤリコミのしづらさは、現在判明している「2週目以降の時間制限の極端な短さ」に尽きます。
また、(あえてシステムに組み込んだ)仕様としても、ヤリコミがしづらい要素があります。先ほど言った「オートセーブ」です。
現バージョンでは、セーブはオートセーブ1つのみ。セーブファイルを分けるためには、Save/SaveData01.savをバックアップするしかありません。「しくじった記録」もセーブされるため、タイムアタックを目指すには、最初からのデータをバックアップするか、ラストまでクリアしてから再挑戦しかありません。
また、ランダムエンカウントである戦闘も「逃げる」コマンドがありません。戦闘終了条件は、敵側またはプレイヤー側の全滅のみとなっています。そのため、「低レベルクリア」もやりにくくなっています。エンカウント率の減少は、ネイビーが標準で所持している「エンカウント率減少」程度しかありません。
その分、「1週目までをサッと楽しむ」趣向の方には打ってつけのゲームと言えます。1週目のEDまでには、多くとも5~6時間で到達できます。各時点での最強装備も、普通に進めていれば解放条件・必要な素材とも出揃っているため、「素材収集を目的とした捨てゲー」もほとんど必要ありません。
ただ、1週目をさくっと遊ぶだけでも、ラストダンジョンの「半分以上道を塗りつぶさないと次のフロアに進めない」と言うシステム上難易度の高すぎる条件、一度手を滑らせただけで再プレイを要求される厳しい一筆書きシステムなど、注意しなくてはいけないことは多々あります。
現状のVer1.03は、バグ・仕様も含めて課題が多く残っています。現在制作中のバージョンで、より遊びやすくヤリコミやすいゲームになってくれることを、心より望んでいます。
《 DECOすけ野郎 》 ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:9
まずい!(閉じ込められた的な意味で) もう一回!
まずはみなさんに謝らなければいけないことが一つあります。
現状のバージョンでは「普通に進めていたら2周目クリアはかなり難しい」ことです。
タイムの減りが冗談だとしか思えないくらいに早く(何度やっても無理でした)どうしてもタイムを増やすアイテムをかなり使うことになってしまう、ということです。
これはバグなので、作者情報によると次のVerでは改善されるということです。
・・・紹介しておきながら「あ、ごめんごめーん、現状のVerではバグがあるよ。2周目クリアは多分そのうち公開されるVer2で可能だと思うからもうちょっと待ってね」ということになってしまいます。誠にもうしわけない。
ってなわけで、基本事項は通常レビューの方を参照させていただくということで今回はサクッとレビューしちゃうよ!
- ハマリ度 8/10
- このゲームは面白い。サクッと遊べるしゲームそのものも1周目EDを見るだけだったら通常のRPGに比べるとかなり短い。
が!やっぱり「面白くなる前にあきらめてしまう」人が出てきてしまうのではないかという危惧があります。
そうです。投稿レビューでも触れましたが「序盤ではナナイロとブラッドだとかなり苦労する」っちゅーことですな。
- まだ子供だったころ、ポケモン(一番最初のGB版)で「んー、とりあえず可愛いし強そうだからヒトカゲにするか」と選択し、その後苦労した(あれでカスミ戦とかやったら普通勝てるわけねえだろ・・・ずりいよオーキド博士・・・)という嫌な記憶が一瞬頭をよぎったりしました。
- このゲーム、万遍なく人材を育てないとラスボスは効果的に倒せないし先に進むのに苦労するのでどうしてもナナイロとブラッドを育てないといけないんですよな。
「序盤でのナナイロとブラッドの壁」を超えられるか、越えられないかにこのゲームのおおよその要素がかかっているとは言っても過言ではないです。いや、本当に。
- それさえ除けば、戦闘もスピーディに進むし「戦いながら次どう進むかということを考える」という戦略性もあるわけですし、なかなかのものなんじゃないんでしょうか。
- グラフィック 9/10
- ウディタの特性を生かしたグラフィックじゃないかな、と思います。
シンプルながらもキャラクターはかわいいですし。カットシーンやイベントも凝っていますし。- サウンド 9/10
- 戦闘曲もダンジョンも良いと思います。
ただ、探索に必死になっている最中はあまり音楽を聴いている余裕は無いんですよね・・・。
メモリールームが時計の鳴る音だけが静かに鳴り響くのは演出としても結構変わっていると思うんです。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:7 グラフィック:9 サウンド:8
若さってなんだ ふりむかないことさ
- ハマリ度 : 7 / 10
- 一筆書きと宝探し系RPGの組み合わせ、という発想は面白かったのだが……
2点にまとめると、ゲームデザインにまとまりがなく、レベルデザインが極端すぎる。後述。- グラフィック : 9 / 10
- ドット絵も切り絵調のイベント絵も高品質。さすがに餅は餅屋といったところ。
ラストバトルのカットイン演出は、やはりまももを意識しているのだろうか。ニヤニヤした。- サウンド : 8 / 10
- だいたい、Futtaさんの曲をダンジョンで長く聞かせ、煉獄小僧さんのボス戦音楽で締めるという構成。
非常に安定しており、飽きなくプレイできた点で素直に高評価。本作、ストーリー的には禁術 - ネフェ - イスト - まももの流れを意識しつつ、ゲーム的にはおっさん - らんダンに一筆書きパズルを加えたようなデザインになってます。
この「一筆書き」は一見、時間内にできるだけ多くの宝箱を回収するルートを発見するパズルのように見えますが、実はパズル性は低いです。ポーズボタンがあるので、ルート探索は非常に簡単にできてしまいます。
移動速度が早めで、キーレスポンスが少々もたつく本作では、むしろその探索したルート通りに動けるか、というアクション性に重点が移ってしまっているのです。
さらに、時間制限があるからバトルも急がないと……というわけでもなく、バトルにかかった時間は計算しないルールになっています。
むしろバトルは、慎重に進めないとすぐにゲームオーバーになりかねないシビアなもので、気が急いていると足もとをすくわれかねません。
探索中と戦闘中で、全く違うルールのゲームになっています。
移動は移動、戦闘は戦闘、どちらも歯ごたえのあるバランスになっているので、どちらも上達しないといけないワケです。
しかし一筆書きの方は……上達できる要素がかなり少なく、ある程度まで上達すると頭打ち感がありました。
作者視点で考えてもバランス調整できる要素が少なく、ダンジョンを複雑にする、時間制限を厳しくする、新しいルールを設定する、くらいしかありません。
ですが、正直調整はあまりうまくいっているとは言えません。
終盤は、自分の力量だけでは無理ゲーになりかねないところを、砂時計連発でしのぐようなプレイになってしまいました。
戦闘の方も、ちょっとバランスが極端です。
ダンジョンで全快ポイントが出現する確率が結構高いので、ザコでも殺しにかかってくるバランスなのですが……
まあ、ハガクレ強すぎですな。開幕まずはハガクレ、これで安定。
万一の時は全快アイテムもふんだんに手に入るので、集中的にダメージを喰らわなければ、立て直しはなんとでもなっちゃいます。
ハガクレ使ってから、ナナイロやブラッドの集中攻撃で沈める……ボクが一番安定した戦い方です。
そんなわけで、火力があった方が有利で、防御が無くてもなんとかなる本作のキャラランクは
ナナイロ>ブラッド>アッシュ>>>>ネイビー
ってな感じなのです。
でもね、ボクはネイビーが一番好きなんですよ。
のじゃロリ系ナナイロさん人気はわかりますけどね、やっぱりハンマー少女は正義じゃないですか槇村さん !
……えー、「序盤から回復が使える」というアドバンテージは、本当に序盤、メモリールームに辿り着く時点で消滅します。
それ以降、防御は確かに堅いのですが、なにしろ火力不足で泣かされます。
折角ご自慢のハンマーを振り下ろしても、ダメージ1とか0とかだった時は我が目を疑いましたね。
チャージすればそれでもダメージは通るようになりましたが、他のキャラと同じくらいの火力を得るために、わざわざ1ターン待機しないといけないなんて…… !
他キャラと違って、上位武器が魔法攻撃とか回復とか、半端なおよそ使えない武器になっちゃってるのも泣けます。
……ん ? ハンマー少女はハンマーを振り回してナンボでしょう ?
わかりきったこと言わせないで下さいよ。
しかし、仮にボクがそんなこだわりを持っていなくても、中途半端なことに変わりはなかったと思います。
本作は2人目のキャラをダンジョンで拾うので、誰が仲間になるかわかりません。
さらに、仲間を拾うまでは1人で耐えなくてはいけないので、1人でも状況に対応できるキャラでないと苦しいのです。
全員ハガクレ装備、回復も使えて、そして火力もある、というキャラで揃えたいのですが……
どうやってもネイビーは、他キャラより火力が出せないのです。
ネイビーにはネイビーなりの長所を設定してやることはできなかったのでしょうか ?
今の状況では、唯一蘇生魔法が使えるとか、せめてそれくらいできないと釣り合わないと思います。
あと、やはり戦闘時間もタイムから引くべきだったんじゃないかということです。
移動が仮にうまくできなくても、戦闘が短くできればタイムに余裕ができる、という選択肢がプレイヤーには生まれます。
作者の側から見ても、戦闘で時間調整することが可能になり、レベルデザインの選択肢が広がるわけです。
だいぶ厳しい評価になっちゃってますが、一筆書きと宝探しを合わせるって着眼点は、すごくいいと思うのですよ。
なので、その疾走感をさらに突き詰める形で進化できたらいいな、と思いました。