■ 三代目レビュー アドベンチャー 9 | ||||
サイレントフィリア | 逆理豊授ノ逆贄 | 怪異探偵委員会 | 祝粉 | 星は吊られ、砂は。 |
アンフェールの箱庭 | THE CANDLE LIGHT | 怨溺 ―ONDEKI― | 選択の塔 | At Home Alone |
ジャンル [ サイドビュー探索ADV ] 作者 [ 箱庭のイデア(栄崎 さま & すけ さま)] 容量・圧縮形式 [ 114MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクールMV ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 呪いに引き裂かれた二人
屋敷の中でクラードは目覚める。彼の目の前には、人形のように冷たく佇む自分の主にして幼馴染・フィリアが佇んでいた。
フィリアは「傀儡の呪い」によって全ての生命活動を停止させられていたのだ。このまま放っておけば、呼吸さえ止められたフィリアは時を置かずに死んでしまう。
焦るクラードに、怪しげな双子・ユリウスとユリーゼがささやいた。「自分の遊びに付き合えば、フィリアの呪いを解く方法を教える」と。
クラードは、その申し出を即座に受ける。双子の提案した「遊び」とは、屋敷に散らばった人形のパーツを探し出すこと。
与えられたヒントに従い、14個の人形のパーツを探索するクロード。その先に待っている真実とは。「傀儡の呪い」をかけたのは誰なのか。そもそも、クラードとフィリアがこの屋敷に来た理由とは。
それは、目先の謎だけ追うならば、決してたどり着けない真実…。
本作は、「謎解き」と「真実への探求」が重要となる探索ADVです。本作のENDは3種類。「道なりに人形の謎だけ解いたEND3」、「END3の後に『?周目』を選ぶとたどり着けるEND2」、そして、「隠された謎も全て解き明かして初めてたどり着けるEND1」です。
そう、本作は単純に「ヒント」を追うだけではBEST ENDに辿り着けません。1周目をプレイするだけでも、人形探しに関係ない謎が2つほどあることに気づくでしょう。BEST ENDの条件には、この2つの「人形探しに関係ない謎」が関わります。謎の1つはその場で解けますが、もう1つの謎を解くヒントは念入りに隠されています。「ヒントのある場所のヒント」ですら、「?周目」プレイ時のほんの一瞬しか出てこないのです。
そんな難しい謎ですが、決して尻込みする必要はありません。END3, END2を見れば、きっとより良い結末を、傀儡の呪いの真実を求めることになるでしょう。念入りに隠されている「最後の謎のヒントがある場所」も、屋敷内の怪しい場所を虱潰しに調べれば見つけ出せるはずです。
本作を最後まで味わった私としては、是非このレビューをご覧の皆様にも、本作を最後まで味わってほしいのです。何しろ、OPに出てくる少女・フィーネが何者であるのかも、本作を最後まで味わないと明かされないのです。
プレイ時間は、3ENDをコンプリートするまで1時間前後となります。
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ジャンル [ 和風探索ホラー ] 作者 [ 神波裕太 さま(たぶんおそらくきっと) ] 容量・圧縮形式 [ 69MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 失敗した繁栄の物語
怪異あふれる日ノ本を護る「裏生徒会」と呼ばれる組織があった。
籤中 一 と畏磨 鎮 は、裏生徒会の「風紀委員」に属するベテランエージェントである。
今回の彼らの任務は、ゴーストタウンと化した草有保 村に住まう怪異の鎮静化である。
草有保村に辿り着いた籤中と畏磨は、土着の神と融合した生成…鬼の「なりかけ」を目撃する。融合が進めば、生成は「祟り神」と化し、被害は村一つでは済まなくなる。
神事に適性を持つ籤中は、生成を鎮めるため草有保村を探索する。生成が生まれた原因は、「逆贄 」と呼ばれる儀式にあった。
生成は何故に村人を皆殺しにしたのか。人形に空の膳を供えるだけの「逆贄」の儀式に、神を取り込むほどの生成を生み出せる力があるのか。村の真実を解き明かすため、籤中と畏磨は村中を駆けずり回る。
本作は、作者曰く「凄惨な儀式が失敗した系」ホラーとなっています。「凄惨な儀式」のやり方、「凄惨な儀式」が執り行われた理由、そして、「凄惨な儀式」が失敗した経緯を調べるため、プレイヤーは籤中となり、村中の記録を探し回ることになります。
探索に必要なのは物理的な鍵だけではありません。村中に散らばっている資料を完全に集めないと、次の場所へ進むフラグが立たない仕掛けになっています。この「村中の資料」が割と見逃しやすくなっています。
その最大の原因が「扉の位置が赤い矢印で表示されている」点。普段の床ならば目立つ赤い矢印ですが、本作の舞台はそこらじゅうが血だまりだらけの大量殺人現場。赤い矢印が血だまりに隠れて目立たなくなってしまいます。私の初回プレイでは、下側の部屋を見逃してしまい、「次に進むための神社の鍵が見つからないなぁ…?」と不思議に思っていました。「扉をくぐった直後の床に赤い矢印が描いてある」ことには気づいていたのですが、矢印が血だまりだらけの廊下にもある事に気付くのに、かなりの時間がかかりました。
部屋の位置さえ分かれば、資料の全取得・生成から逃げる追いかけっこ・BEST ENDの条件は、それほど難易度は高くありません。生成と追いかけっこをするのは最初の1回だけで、その1回目もすぐに周りの家屋に入れば「撒いた」判定となります。
BEST ENDの条件も、資料を隈なく探り、儀式に必要なアイテムを集め、生成の正体・恨みの本質を探れば、まず達成できるでしょう。筆者の初プレイでもBEST END「評価・甲」を取得できました。
本作の醍醐味は、不気味な村を雰囲気として纏いながら、更に不気味な「逆贄」の真相を探っていく「ホラー探索」にふさわしい没入感にあります。今まで当サイトで取り上げた「たぶんおそらくきっと」の過去作の通り、「ホラーを雰囲気から味わう」のが本作を最大限に楽しむ方法となります。
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ジャンル [ 学園ホラー ] 作者 [ 茸沢しめじ さま(茸の里) ] 容量・圧縮形式 [ 40MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 俺が走って! 僕が解く!
普通の優等生・
片切 捌 は、類まれなる正義感、そして脳みそまで達した筋力を持つ親友・頼城 観音 から頼みを受ける。
「死んだ我が子を蘇生させるため、4人の魂を喰らう」という危険な怪異「シクイオニ」を初め、学生たちの周りで噂になっている怪奇事件を解決する「怪異 探偵委員会」の頭脳担当として勧誘を受けたのである。
捌と観音、そして彼らの噂を聞き付けたアルビノの女子生徒・セツナも加え、「怪異探偵委員会」は数々の怪奇事件の解決に乗り出していった…。
本作は、コメディチックな出だしから始まる学園ホラーです。基本的には学校内と近所を散策→黒い吹き出しが出ている人間に話しかける→「噂の断片」をコンプリートすると解決編に突入という流れで全4編の怪奇事件を解決していきます。
「学生」ということで、情報収集に使える時間は限られていますが、タイムリミットはそれほど厳しくありません。少なくとも2日あれば「噂の断片」のコンプリートには充分です。
基本的にゲームオーバーもなく、簡単に物語を楽しめるアドベンチャーになっています。そして、本作は茸沢しめじ氏の作品の中では異色作となります。他の茸沢しめじ氏の作品は、シリーズの大元にして処女作「瓦礫の魔女は。」を初め、ポストアポカリプスな暗い世界であがく若者たちを描いたシリアスな物語になっています。
ウディコン第12回で本作に触れ、茸沢しめじ氏の名前を知った時、「瓦礫の魔女は。」などとの作風の差に驚いた記憶があります。「怪異探偵委員会」では、絵柄すらレトロなドット絵調に変えており、「作風の違い」にかなり思い入れを入れて作成していることがうかがえます。そんな世界観で追う4つの怪異事件は、いったいどんな結末を迎えるのでしょう。攻略的な難易度は易しい作品ですが、「真相」のホラーとサスペンスは今までのシリアスな作品に勝るとも劣りません。心して、怪異の真実と向き合ってください。
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ジャンル [ ワンマップ脱出ホラー ] 作者 [ Giggle さま ] 容量・圧縮形式 [ 58MB・ZIP, ブラウザゲーム ] 製作ツール [ RPGツクールMV ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 2018年に舞台化 ]
[ 13歳以上推奨 ]配布元 理由(わけ)あって、アイドル終了!!
今回の主役は、296(ジグル)プロダクションがお送りする、新進気鋭のアイドルグループ・祝粉(ノリコ)の3人!!!
祝粉のリーダーにして、パッションあふれる兄貴分、強力粉の旋(セン)!!
クールなまなざしと甘いマスクで、コナーズ(祝粉のファンの総称)を虜にしてきた、きな粉のyamabuki(ヤマブキ)!!
そして、女装も似合うキュートボーイ、白玉粉のユーリ!!!
彼ら祝粉は、人気絶頂のさなか、突然に解散を宣言する。事件は、その解散ライブを翌日に控えた夜に発生した。
最後のリハーサルを終え、英気を養うはずだった彼らが目覚めたのは見知らぬ部屋であった。外への扉は暗証番号とカードキーで厳重に閉ざされ、シャワールームには運転手の死体が隠されていた。
混乱する3人に、犯人からの手紙が飛んできた。手紙には「解散宣言に恨みを持ったが故の犯行」であること、そして、「自分の名前を言い当てれば命を助ける」と書かれていた。
貴方は、白玉粉のユーリとなり、3人を救うために犯人を突き止めなければならない。果たして犯人は誰なのか。そして、ユーリが探偵役になってしまった理由とは…。
本作は、クローズドな舞台で繰り広げられるデスゲーム系のミステリーです。ジャンルとして「ワンマップ」と書きましたが、本作がワンマップである所以はゲーム的な視点ばかりではありません。本作は舞台化もされている作品なのです。舞台がえの手間をなくし、緊迫した状況を連続させるためのワンマップでもあるのです。
そして、本作は「ミステリー」だけあって、「真犯人を探し当てる」事がGOOD ENDの条件となります。ただし、本作は推理小説のルールである「ノックスの十戒」の第1条「犯人は、物語の当初に登場していなければならない」を無視した物語になっています。
その理由は、当サイトでもたびたび取り上げている謎解きADVと同様、「BAD ENDを見てからGOOD ENDを見る」仕様にしているためです。全てのBAD ENDを閲覧しないと、「真犯人」は姿すら見せないのです。
祝粉を支えてきた恩人を犯人として告発する、真犯人が手を下す前に仲間割れで全滅するなどの悲劇を、真相を探るために閲覧しないといけないのです。途中の選択肢で旋とyamabukiのどちらを選んだかでも分岐するENDもあります。ENDコンプリートのためには両方の選択肢を見る必要があるのです。
ただし、この間違いルートにも大きな意味があります。ENDを全て閲覧した私から改めて伝えます。皆様には、祝粉を失った恩人たちの悲しみを、祝粉を育ててきた恩人たちの慈しみを、そして、祝粉の3名が内に秘めた悩みを、余すことなく理解した上で真相編に臨んでほしいのです。
BAD ENDを全て閲覧し、真犯人がストーリーに登場した後も注意が必要です。真犯人登場フラグはグローバルセーブに保存されますが、セーブの巻き戻し位置によっては真犯人フラグが効かない場合があります(真犯人をラストで告発しても「現状ではその名前は無効です」と表示されます)。ストーリー内で「セーブしますか」と聞かれる箇所が2回あるため、そのセーブは必ず分けてください。「セーブしますか」と聞かれた直後のセーブから巻き戻せば、真犯人フラグが効いていることが保証されているからです。本作は、攻略手順そのものが煩雑である上に、真相フラグを立てるために10を超える悲劇をその身に浴びる必要があります。それでも、いや、それ故に、GOOD ENDの爽やかなカタルシスが胸にしみわたるでしょう。
皆様も、是非本作の真相を解いてください。そして、劇中ではシルエットに隠された祝粉の3名の麗しき素顔をその目に焼き付けましょう。
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ジャンル [ 掌編探索ノベル ] 作者 [ やかろ さま ] 容量・圧縮形式 [ 59MB・ZIP, ブラウザゲーム ] 製作ツール [ RPGツクールMV ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 「ふりーむ! 1分ノベルコンテスト」参加作品 ] 配布元 砂時計は上から下へ繰り返し
本作「星は吊られ、砂は。」は、2つの舞台を1分ごとに往復する探索アドベンチャーです。
一つの世界は、ぬいぐるみに囲まれたパーティ会場。もう一つの世界は、魚が泳いでいる以外は普通の寝室。どちらも「主人公が望んだ世界」を自称し、主人公を閉じ込めようとする。
果たして、主人公を閉じ込めるのは誰なのか。そもそも、主人公自身が誰なのか。それを探ることによって、世界は綻びを広げていく…。
本作の作者・やかろ氏は、以前に取り上げた「オロホスの夢」・「無慈悲な笑顔」といった、仕掛けを施した舞台を得意とする作家です。その仕掛けによって、ガラスの心臓に悲劇のダイレクトアタックを受けた読者も多いことでしょう。
その「仕掛け」は、「1分ノベル」という制限によって更に磨きを増しました。たった1分とはいえ、1マップ内を調べ尽くすには充分すぎる時間です。誰から与えられたかもしれぬプレゼント、空を泳ぎ人語をしゃべる魚、マップ内のオブジェクトを調べ尽くすことにより、「1分間の2つの舞台を繰り返す、20分少々の悲劇」を進めていくのです。
物語を進めるのはそれほど難しくはありません。基本的に「調べられる箇所を(順不同で)全て調べる」だけでフラグが立ちますし、「主人公の背が届かない高台を調べるには、高台を直接クリック(タッチ)する」などあからさまなヒントも出るためです。
この無機質な「星と砂」の世界が隠す主人公の真実とは…それは本作をダウンロードして直接ご覧ください。私が言及するのは無粋の極みです。直接見ていただいた方が、より本作の「仕掛け」と「悲劇」を感じることができるでしょう。
ただし、本作内で語られるセリフは少なめになっています。「訳の分からない話だな…」と感じた方は、ReadMeにある作者ホームページをご覧ください。より直接的な解説を記載しています。
逆に言えば、本作のプレイ前に作者ホームページには行かないように!! 最大のネタバレを噛まされるという、作者の与えたかった「悲劇」とは別方向の悲劇になってしまいます。
- (補足)
- 2023.06.28:ゲームアツマールのサービス終了に伴い、リンクを変更。
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ジャンル [ 探索ADV ] 作者 [ 子豆茶葉 さま ] 容量・圧縮形式 [ 275MB・ZIP, ブラウザゲーム ] 製作ツール [ RPGツクールMV ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 今度の謎屋敷は二段仕掛け
美術部に勤める学生のリムは、ある日、先輩に森の中に突如現れた小屋の様子見を命ぜられる。しぶしぶ向かったその小屋は…何の変哲もない倉庫であった。
…そして、異変はその帰り道に発生する。明らかに行きとは方角が異なる道の先には、豪華な屋敷があった。他に行く当てもなく入った屋敷の中は異様に暗く、引き返そうにも出口は固く閉ざされている有様。
不気味な屋敷の中で、リムは数々の子供たちと出逢う。金色の瞳を隠すように髪を伸ばした少年・モノ、妙なお嬢様言葉をしゃべる癖毛の少女・トリ、そして、リムを「お兄ちゃん」と呼ぶ幼き少女・イル。そして、この屋敷にはリム自身の幼少時代の写真まで残っていた。
一体、この屋敷とリムにはどのような関係があるのか。屋敷からの脱出のため駆けずり回るリムの目前に、残酷なる運命が襲い掛かる…。
本作は、ストーリー主導の謎解きアドベンチャーです。ストーリーにも謎解きにも複雑な仕掛けが施されており、時にはそれが進行を妨げる難点にもなっています。
(1) ヒントと謎解きが離れている
本作の舞台である屋敷は、家屋としては広いですが、謎解きの舞台としては意外に狭い造りになっています。部屋数が少ないため、直線状に謎解きさせることができないのです。
そのため、序盤に出現したヒントが役に立つ箇所が、数十分ぐらい進めてやっと出現するという、混乱をきたす導線になっているのです。
恐らく、プレイヤーが一番に触れるヒントは「ピアノに『赤いシート』をかぶせて表示させる矢印」、一番初めに触れる謎は「西廊下の岩をどかすためのグローブ」と「2階廊下の片側だけ消えた燭台」でしょう。
これらの謎を解決できるのは、屋敷を調べ尽くす直前の中盤になります。このように、初見では目にしたヒントが何処に役立つのかが分かりづらくなっています。
ヒントらしき謎オブジェクトを見つけた場合は、メモかスクリーンショットで記録しておきましょう。
すぐに解ける謎であっても、謎を解くアイテムが忘れがちな場所に隠されています。意外と見失いがちなのが、玄関に飾られている「あるアイテム」です。解く順番としては3~4番目という忘れがちなタイミングで必要となるため、心の片隅に引っ掛けておきましょう。
また、誤答すると一発GAME OVERとなる謎解きも序盤から終盤まで登場します。何が正解で何が誤答になるのかのヒントも、バラバラに散らばっています。現段階で見れるアイテムは全てチェックし、全てメモを取る心づもりでプレイしてください。(2) 4つのENDとセーブ条件
本作のENDは4種類。その中でGOOD ENDに当たるのは1つのみです。ENDの分岐条件は、序盤も序盤、イルと出会う前にクマのぬいぐるみに話すとヒントを教えてくれます。
ただし、この時点でEND分岐のヒントを聞いても、何の事か分からないでしょう。END分岐のヒントが理解できるのは、おそらく1つのENDを見た後になるはずです。
END後にEND分岐のヒントを改めて見るためにも、END分岐を効率よく見れるようにするためにも、セーブの分割が重要になります。
本作のセーブ方法は主に2つ。分かりにくいチェックポイント(形が場所ごとに異なるため、調べないとセーブ場所か判別できない。その上、「記録」ではなく「休憩」と表示される)に加えて、最大6枚の「メモ用紙」を使ったどこでもセーブです。
基本的に、セーブはチェックポイントで事足ります。本作では追いかけっこもほとんどないため、「GAME OVERが起こりうる直前でセーブする」必然性はありません。
ただし、先述の通り、本作は「謎解きのために同じ部屋を複数回訪れる必要がある」導線になっています。そのため、「チェックポイントの場所ごとにセーブを分ける」のではなく、「アイテムや謎解きを解決した段階でセーブを分ける」ようにしましょう。(3) 2部構成
本作が謎解きADVとなるのは中盤まで。中盤以降のストーリーが大きく盛り上がる部分はネタバレとなります。
「屋敷がリムを呼び寄せた理由」を説明したパートとしての過去編・真相編が、謎解きADV部分とほぼ同じプレイ時間を費やすのです。
「真相」編だけに、このレビューでは「読むだけで1時間近くかかるストーリー」ぐらいしか説明できません。
屋敷に暮らす3名+αが、屋敷とどのような関わりを持っていたのか、何の事前知識も持たずに読んでいただきたいです。
- (補足)
- 2023.06.28:ゲームアツマールのサービス終了に伴い、リンクを変更。
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ジャンル [ 屋敷探索 ] 作者 [ 鉄人37号 さま ] 容量・圧縮形式 [ 63MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 現在の最新バージョンは、ver1.05 (2020.08.27) ] 配布元 前を照らすは小さな明かり、後ろに伸びるは過去の影。
草木も眠る丑三つ時、一人のメイドが屋敷を彷徨っていた。主人の言いつけに従い、屋敷内の明かりを点けるために。
屋敷の主人・ヘンリー=グランウォードは、数々の絵画を残した画家でもあった。しかし、それは過去の話。グランウォード家は、孤独のままに早逝したヘンリーを末代として以降、断絶して久しい。
…主なき屋敷を、主なきメイドが彷徨う。かつての主人の言いつけに従い、屋敷内の明かりを点けるために…。
「THE CANDLE LIGHT」は、シンプルながら独特の操作感を持つ探索ADVです。本作の操作は大まかに2つ。マウス左クリックによる調査と、Zキーによる前進です。
…ええ、本作のメイドさん、後ずさりも振り返りもできないのです。かの戦う人間発電所・チェルノブの如く。…いや、チェルノブですら強制スクロールの範囲内なら自由に動けるのですから、それ以下の動作性能です。
そして、この「後ろに進めないメイドさん」が、本作のゲーム要因となるのです。本作で重要となる調査・蝋燭への点灯は、以下3つの手順で探り当てていきます。
- Xキーまたはマウス右クリックでメニューを開くと、画面内の調査できる箇所にマークが付く
- 調査できる箇所に(中心に蝋燭が来るぐらいまで)近づくと、メイドさんの上にビックリマークが付く
- ビックリマークが表示されたときに周囲をマウスポインタでなぞり、丸いマークが出た箇所で左クリックすると調査・蝋燭への点灯となる
このシステムで「一切後ろに歩けないメイドさん」が合わさるとどうなるか…。本作は、調査できる箇所を1つも逃さずに慎重に歩みを進めるゲームなのです。
歩みを進め過ぎて調査ポイントを過ぎてしまうと、ENDまで再調査できません。2週目以降でも、マップ終盤にある時計を調べてマップ開始時点まで戻る以外に探索をやり直す方法はありません。当然、マップ内の調査済みの箇所も初期化されるため、同じ箇所の調査もやり直す必要があります。
その上で、セーブはマップを移動するごとに入るオートセーブのみ。下手すると、2週目以降でも調査すべき箇所を見逃したままマップを進んでしまい、ニューゲームからやり直す羽目になりかねません。
それを防ぐため、「少し進んだらメニューを開いて、調査できる箇所を確認する」という慎重な歩みが必要となります。
本作は、ストーリー面でも「慎重に歩みを進める」ことを推奨しています。本作の分岐フラグは、「蝋燭を余すことなく点灯させる」「マップ内にある絵画を全て閲覧する」の2点です。
蝋燭を点けると発生するイベント、閲覧した絵画にまつわるエピソード、それらをつぶさに見る中で、グランウォード家の末路が、ヘンリーの死の真相が、メイドさんの正体が、全て理解できる仕掛けになっています。
メイドさんは何のために彷徨うのか、ヘンリーが残した絵画の意味とは…2週で30分程度の濃密なストーリーをお楽しみください。
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ジャンル [ 現代和風探索ホラー ] 作者 [ あるまソフト さま ] 容量・圧縮形式 [ 397MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクールMV ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 何気ない水の底から…
降り止まぬ雨の中、1台のバスがスリップ事故を起こす。遥か崖下に落ちたバスの中から、上村修一は辛くも生還した。
当てもなく彷徨う修一は、近くの廃村に雨宿りに向かう。しかし、そこには数々の死体が散らばる凄惨な景色があった。
修一は、同じく村に迷い込んだ生存者・柏葉春奈と木場健介と共に、この狂った村からの脱出を図る。
水場があればどこにでも出没し、不気味な人形と共に恨みをまき散らす怨霊から、彼ら3人は脱出できるのであろうか。
本作「怨溺」は、1年半前に「斧鬼」を作り上げたあるまソフトの最新作です。
死体がひしめく廃墟を、怪物から逃げ惑いながら脱出するホラーアドベンチャー…までなら「斧鬼」と同じジャンルですが、「怨溺」は「雨」と「因習」をテーマに、よりジットリと湿った不穏な雰囲気を纏わせた作風になっています。
また、怨霊から逃れる方法も「斧鬼」とは異なります。「斧鬼」の出現はイベントに限定されており、チェックポイントに辿り着くことで追跡が解除される仕組みがほとんどでした。
しかし、「怨溺」の怨霊はランダムに出現する場合もあります。出現の予兆として、見張り役の日本人形が出てきます。「彼女」たちの視線に引っかかると怨霊が追いかけてくる場面もあるため、スニーキングアクションも必要となります。
そして、最も恐ろしいのが、「クローゼットやロッカーに隠れないと『撒いた』とみなされない」点です。広い屋敷だった「斧鬼」の舞台とは異なり、「怨溺」の舞台は一般的古民家の集落。道なりに逃げ惑っていると、すぐに行き止まりに追い込まれてしまいます。そのために、隠れられるロッカーなどの場所を覚えておく必要があるのです。
実を言うと、「怨溺」の中で最も難しいのが、上図にある一番最初の追いかけっこ。ここは、画面下の扉がロックされているため、それ以外の抜け道を見つけないとGAME OVER確定となる場面です。ここで「ロッカーに隠れる」が初出場するわけですが、困ったことにセリフや矢印などでの指示がありません。初めて「ロッカーに隠れられる」ことが示唆されるのは、2番目の追いかけっこ・木場と出逢う場面まで行かないといけません。
この点、作者側も対策を考え中とのことです。とりあえず、現バージョン(2020.08.30更新のバージョン1.01)では、最初の追いかけっこで隠れられる場所は完全ノーヒントです。私からも「上図内のどこか」とだけ言っておきます。
「怨溺」は、謎解きも一筋縄ではいきません。ヒント自体は簡単ですが、1問だけ厳しい時間制限のある中で4桁の数字を当てる謎解きがあります。ヒントを見ている間も時間制限はストップしないため、ヒントをスクリーンショットに撮ってから落ち着いて回答を探し出し、本番に臨むのがおススメです。そして、「怨溺」は、ストーリーが最も一筋縄ではいかない展開になるのです。単なる「怪異から逃げ惑う」では済まない展開が、貴方を待っている…私から言えるのは、ここまでです。
そして、実際にエンディングを見て、そしてオマケシナリオも見て、その展開の意外さに驚いた方へもう一言。本作はマルチエンドではありません。あの結末しか存在しないのです。
「これから修一は、春奈は、そして木場は、どうなるのでしょう」…これが、最後まで見た私の、偽らざる感想です。
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ジャンル [ 選択と試練 ] 作者 [ ヨミズミ さま ] 容量・圧縮形式 [ 81MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクールMV ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 やり直せる未来は、幸せなのだろうか?
少年は夢を見ていた。「案内人」を名乗る怪しげな女に導かれ、2つの扉を選択するという夢を。
夢から目覚めた先は、徹底的に管理された「塔」であった。外の世界にあこがれる少年・マサは、一人前になるための試練を受けることになる。
衰えた者・逆らった者を「地下」に落とし、罪人として蔑むこの世界。管理社会にしても異常なこの世界に対し、マサはどのような「選択」を選ぶのであろうか。
本作は、昨今のフリーゲームとしては珍しい「ディストピア」を徹底的に描いた作品です。マサを一人前として認めさせるために、「試練」と称したミニゲームを10回突破させるのがゲーム本体の目的となります。
ゲームの中には厳しい時間制限やコツが必要なものもありますが、突破難易度自体は低めです。ランダムで選ばれる2つのミニゲームの片方さえクリアできれば、階層はクリアできます。また、ミニゲーム自体も部屋に入りなおせば何度でも挑戦できます。簡単そうな・やり直しが楽そうな方を選べば、1週クリアにはそれほど手間はかかりません。
ただし、本編は途中でセーブできない点にだけご注意を。セーブ画面が出るタイミングは、1週クリアしてENDを見た後のみになっています。そして、本作が本領を発揮するのは1周をクリアした後です。管理される人生に疑問を持たせないようにする「試練」は、自由な現代社会に生きる我々にとっては嫌悪感を催す表現になっています。もちろん、作者自らが「あえて」入れた「物語に必要な」表現です。
そこで、冒頭に出た「案内人」から「選択をやり直す権利」が言い渡されるのです。地下に落とされたもう一人の主人公・イムが提示する管理社会への疑問、そして、イムが知っている「マサが失った記憶」、それらの「真相」が、周回を進めるごとに読者の目に明らかになる仕掛けになっているのです。
新しいENDを見る条件も楽です。OP直後のメッセージでヒントが言い渡されますし、基本的に「新しく出現した箇所」を調べ、「新しく出た選択肢」を選べばクリアできる条件になっているためです。本作は、終始「嫌な後味」が舌に残るビターな作品です。最後のENDを見た後でもやり直したくなる展開が待っています。「案内人」からも「もう新しいENDは無いよ」と念押しされるにもかかわらず。
本作に限らず、作者のヨミズミ氏が描く作品は、どれも「苦い選択」をテーマにした作品です。本作の冒頭から出てくる「案内人」は、実は作者のほぼ全作に出てくるレギュラーです。彼女はその登場作全てで、主人公たちの人生を狂わせ、それでいて希望を見出す狂言回しとして活躍しています。
本作が気に入ったのならば、是非、他の作品もプレイしてみてください。ホームページにEND条件も記載されているため、古い作品でもクリアは難しくないはずです。
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ジャンル [ おるすばん ] 作者 [ SkyLineGames さま ] 容量・圧縮形式 [ Steamによるストリーミング ] 製作ツール [ RPGツクールVX Ace ] 言語 [ 中国語・英語 ] 備考 [ 要・Steamアカウント ]
[ バイオレンス表現含む ]配布元 あたし、きょうはひとりでおるすばん!
ママがいないのはちょっぴりさびしいけど、そのぶん、はねをのばしちゃうぞ!
ベッドのうえでピョンピョンしちゃうし、リビングにカラスさんもよんじゃうぞ!
そしたら、とつぜんピンポンがなりだしたの! どうやら、おとこのこがまよいこんだみたい。
ちょうどおやつのケーキがあるし、おとこのこといっしょにたべよーっと!!
ぞんぶんに「おもてなし」しなきゃ…
Steamのページを見る限りは、「This is a recreational healing Mini-plot game explored at home.」(本作はお家を探検する楽しくて癒し系の短編ゲームです。)とある通り、桃色髪の少女が広いお家を探検したり、友達と遊んだりするほのぼのゲームに見えます。
しかし、紹介文の最後に「you may find some strange secrets....」(奇妙な秘密が見つかるかもしれない…)とある通り、このほのぼのとした雰囲気は、とんでもない結末へとつながります。
何しろ、Steamのページにあるゲーム画像、1枚だけ本編内に登場しない画像があるのです。それほど、デベロッパー側は本作の結末を「strange secrets」と隠しているのです。
私からも、展開についての詳しい言及は避けておきます。ただ、以下の点には触れておいてもいいでしょう。(1) 本作はループもののアドベンチャーです。ループするたびに選択肢が増え、より真相に近づく展開になっています。
(2) 本作単体でも真相は分かるものの、より深い真相を描写した続編+リメイク作「At Home Alone II」が定価205円で販売中です。
(3) 本作を最後まで(キッチンテーブルの下にある落書きが示す謎を解くまで)プレイしたら、Steamのランチャーから「歯車ボタン→管理→ローカルファイルを閲覧」で表示されるゲームフォルダを見てください。更なる真相が隠されています。