■ 三代目レビュー アドベンチャー 2 | ||||
どとこい | TABOO. | ROAR OF CIRCUS MANSION | 牢籠-ROUKAGO- | ハクセンマッカ |
無垢の怪物 | 鬼子母神の夢 | 白い焔 | PRICE | 真夜中の人形使い |
ジャンル [ 1ドットから始める恋愛ADV ] 作者 [ 黒城ろこ さま ] 容量・圧縮形式 [ 95MB・ZIP(Windows版) ] 製作ツール [ ティラノビルダー ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ Mac版もあり ] 配布元 画像はバグではありません。恋愛度を表す仕様です。
先週初めごろ、ある一つのフリーゲームが話題を呼びました。「ねとらぼ」にも取り上げられるほどのバズとなった作品です。
私も、配布開始の報をTwitterで知ってから、俄然注目していた作品です。「最初はガッタガタのドット絵だけど好感度が上がると画質がよくなっていく恋愛ゲーム」なんて…なんて…かつて「chaos pastel orange」を紹介した私としては、紹介せざるを得ないじゃないですか!?時は春、出会いの季節。新生活を始めようとしていた主人公(名前変更可)の下に、突然悪魔が呪いをかけてきた。「美少女の画質が最悪になって、正方形にしか見えない呪い」を。
自身もガッタガタのドット絵である悪魔は、「呪いを解くには、これから出会う美少女(現在は正方形)に好きになってもらうこと。ちなみに期限は3週間ね!」という無茶ぶりを投げかける。
不安にまみれながらも学校に向かった主人公が出会ったのは、以下4名の正方形。
吉住絵美(桃)・関根唯(青)・相沢千晴(黄)・成美ここあ(赤)
色と話しぶり以外に区別のつかない4名に対し、主人公は恋することができるのか!? そして、好感度を上げた先に待っている、真の姿とは!?
まあ、そんな長い説明よりも、画面写真を見れば一目瞭然なわけですが!
本作、そんな変化球な出だしにもかかわらず、手軽に遊べる恋愛ADVです。
4名の攻略はかなり楽です。嫌われそうな選択肢は選ばない・週末の選択肢は誰に会えるのか色で丸わかり…など、大体わかりそうな手順さえ踏めば、初見でもクリアは可能です。
問題は、この4名の攻略以外にもルートがある点。公式HPにほぼネタバレに近いヒントがありますが…いや、これやるの!? マジで!? あんなイイ子達だらけの4名に対して!?
いやぁ、ガチで胃が痛みましたよ。この攻略ルート。その分、越した時のスチルは最高でした。
…ええ、攻略対象の好感度を最高にまで上げれば、ちゃんと黒城ろこ さま渾身の高精細グラフィックが拝めます。みんなみんな(隠しキャラを含めて)イイ子達ばかりなので、ぜひ攻略してみてください。
決して、序盤の印象ほど奇天烈な物語ではなく、恋愛の進め方はスタンダードな造りになっています。ストーリーも短めなので、とりあえずの気持ちでDLしても、損はありません。
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ジャンル [ 探索ホラー ] 作者 [ 藍沢雨 さま ] 容量・圧縮形式 [ 41MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 年齢指定はないが、グロテスクな表現を含む ] 配布元 図書館に潜む「禁忌」とは…
先日レビューのあった「Lumi Crystal」。その掲載ページの下にあったタイトルに、私は見覚えがありました。
それが、今回紹介する「TABOO.」です。
正直言って、甘々のラブストーリーである「Lumi Crystal」と、本作「TABOO.」の作者が同じであることに驚きを隠せませんでした。
それほど、「TABOO.」はジャンルが真逆の作品です。一本道の恋愛ストーリーである「Lumi Crystal」に対し、本作はかなりストーリーの分かれ道が深いうえ、謎解きも追いかけっこも難易度の高い仕上がりになっています。その上、男主人公で、恋愛要素はほとんど見えません。(若干あるかな~程度)図書館の管理人を務める銀髪の青年・ヴィンセント(ヴィンス)。いつも通り閉館作業をしていた彼の耳に、見慣れない足音が届いた。
そこにいたのは、金髪の少女・クリスティア(ティア)。彼女は先代管理人・アルフレッドと、彼の恋人・エレナを探すため、図書館に潜入していたのだ。
帰そうと説得するヴィンス、聞く耳を持たないティア。
仕方なしに閉館作業を進めるヴィンセントであったが、そんな彼に、血まみれの幼女が「あそぼう」と襲い掛かってくるのであった。…と軽く流しましたが、この「閉館作業」と「襲い掛かる幼女」の時点で、挫折しかねないほどの難易度になっています。
最初の幼女の追いかけっこ、隣接した状態でほぼノーウェイトで追いかけてくるため、イベント開始位置を間違えると即死します。また、追いつかれるのも早いため、近辺の開けられる扉はすべて開けておく必要があります。
そして、この「開けられる扉を開けておく」謎解きも、かなりの変化球。特に、3F北西の多目的室の謎は、正直言ってヒントが不足気味のうえ、作者ページにも全くヒントが載っていません。
(謎解きのヒントはネタバレなのでこちらから↓)謎解きは、ⅠⅡⅢの3つの数字を解くものですが、最後の「Ⅲ」は、どこを探しても見つかりません。すなわち、総当たりで探るしかありません。
数値錠もヒントにある数字もどちらも4ケタ。すなわち、「Ⅱ+Ⅲ」が2ケタにならず、「Ⅲ-Ⅰ」がマイナスにならない数値となります。
Ⅰ=3, Ⅱ=4であるため、条件に当てはまるⅢの範囲は、3≦Ⅲ≦5。あとは、3, 4, 5で総当たりです。
数値の並び順が①③②④と不規則である点にも注意です。(↑)
その謎解きを超えた後も、ターボ幼女+マッハ少年との追いかけっこと意地悪な謎解きは襲い掛かります。
その上、エンディングのフラグ立てもかなり複雑。事実、私も本作の攻略は一度だけ挫折しています。
ED1のあまりのブツ切りぶりに「は!?」となって、そのままENDかと思ってポイしちゃいました。ED1がBAD ENDであることも、ゲーム内では教えてくれません。
END分岐のフラグは、さすがに公式HPにヒントが載っていますが、正直言って「そこなの!?」と思うほど「うっかり閉ざしちゃう」レベルの些細なイベントです。そんな悪戦苦闘の中、浮かび上がってくる「不死の者」の存在。追いかけてくる少年も、自らを殺したものに怨霊級の恨みを抱いていることが分かってきます。
果たして、全ての元凶は誰なのでしょうか。地下の文献で「見つけた」と言われる不死の者とは誰なのでしょう。
ここについては、良きにつけ悪しきにつけ語りたいことが多数あるのですが、困ったことに、語ってしまうとすべてネタバレとなってしまいます。
ぜひ、あなたの目で見てほしい所です。4つあるENDは、BEST END以外はどれもブツ切り感がひどいため、公式HPを参考にして、とにかくBEST ENDを目指してください。
- (補足)
- 2023.06.28:リンク先を「ふりーむ!」に変更
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【 ROAR OF CIRCUS MANSION - 雄叫びのサーカス館 - 】
ジャンル [ 探索ゴシックホラー ] 作者 [ IRIS さま (微少女戦士β) ] 容量・圧縮形式 [ 37MB・自己解凍EXE ] 製作ツール [ RPGツクールVX Ace ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 かわいそうな ライオン
本作の舞台は、まだ貴族制が残っている時代。人権もまだ未発達の時代。ましてや、動物なんて…。
サーカスで働く若きライオン「キロ」は、気弱でドジばかりの自分に悩み、またそのせいでサーカスの人々からいじめを受けていた。
…二足で歩き、人語を解し、瀟洒な衣服を着飾っていますが、彼は人ではなく「獣」です。
そんな彼の心のよりどころは、母の形見であるタンポポ。しかし、それでさえ、サーカス団長に取り上げられてしまう。
取り戻そうと追った先は、見知らぬ館であった。扉は仕掛けで閉ざされ、バレエドレスを着た首無しの怪物まで襲ってくる始末。
果たして、キロはこんな不気味な屋敷からタンポポを取り返せるのだろうか。そして、道化師「オーギュスト」も、キロと共に館に迷い込んでいた…。
本作は、謎解きのレベルも、追いかけっこのレベルも結構高めです。ただ、どちらも「雰囲気を盛り上げるためにゲーム性を犠牲にしている」面があります。
謎解きの場合、妙にヒントをポエットにしているせいで、結び付け方が分かりづらくなっている箇所がチラホラ見えます。序盤の数値の扉にあるポエム、恐らく作者様のサイトの情報が無ければ、何を表しているかさえ分からないでしょう。特にラストの行は、解釈を1つに絞りきれず、残り3行の結果から消去法してやっと理解できました。
追いかけっこの場合も、かなり理不尽に感じる箇所があります。頻度が高く、前触れも何もなく襲い掛かってくる点は、非常にホラーを盛り上げてくれるのですが、それだけに事故死も頻繁に発生します。
加えて、「主人公がダッシュできない」と言うのが、プレイヤー不利に感じる一番の理由です。主人公と怪物の歩行速度は同じなので、上手く引き寄せれば逃げられるようにはなっていますが、それが叶わずにGAME OVERになるたびに、「おめぇライオンだろ! 走れや!!」とコントローラーをブン投げたくなる衝動に駆られることさえありました。それでも、本作を紹介する理由は、本作のストーリーがゴシックホラーとして、そして、当時の情勢を描いた悲劇として優秀な物語であるからです。
本作のエンディングは3つ。しかし、その中の何一つとしてハッピーエンドはありません。
回想シーンとして流れる母との思い出、少女との出会いといったハッピーエンドに繋がりそうなエピソードはチラホラと出てきています。
しかし、それらの結末は全て、最も残酷なバッドエンドとして閉じられます。ここら辺は、ふりーむのレビューで不満点として挙げている方もいました。
ハッピーエンドがない理由は、作者様の作風なのでしょう。作者自身も、本作を作った契機は「当時の時代の酷さと、動物への関心などを持って欲しく」と語っています。
歴史の残酷さを知っているからこそ、安易なハッピーエンドは作れなかったのだと考えられます。
本来、私は悲劇は好まず、本作も「いつかキロは幸せをつかめるはず!」と思いながら進めていました。…沈みましたね。最終ENDまで悲劇だったときには。
本作は、本当に心に余裕のあるときに進めて下さい。道中の謎解きや追いかけっこに耐えるためにも、ラストの衝撃に耐えるためにも。
- (補足)
- 2023.06.28:リンク先を変更
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ジャンル [ 短編謎解きアドベンチャー ] 作者 [ まちばり飴子 さま ] 容量・圧縮形式 [ 218MB・自己解凍EXE ] 製作ツール [ RPGツクールVX Ace ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 死刑執行まで残り三日
…そんな衝撃的なモノローグから、本作は始まります。
主人公は牢屋に囚われた少女。彼女は、自分が死刑判決を受けた理由はおろか、名前すらもその頭の中から抜け落ちていました。
彼女の監視役となった看守・ハイドは、そこで驚くべき提案をします。「死刑執行までに無実を証明しろ」と。
あまつさえ、彼女に「ヤミ」という仮の名前を付け、記憶を蘇らせるよう資料室へも連れて行きます。
それは優しさなのでしょうか? いや、彼には何か裏がありそうです…。本作は、文章量自体は短編と言うよりもショートショートなものです。最初から最後まで読み進めるのに10分も掛からないでしょう。
BEST ENDへ向かうためのフラグはほぼノーヒントであるため、ゲーム内情報だけで探すとなると、それこそ資料室を一歩一歩Aボタンレベルの調査が必要になりますが、それでも20分も掛からないでしょう。もしも、見つからない場合は、作者様のサイトにあるヒントを参考にしてください。
しかし、その中で解き明かされる真相、それを受け止めた上でのBEST ENDの結末は、まさに衝撃の一言です。
しかし、3つのENDを見ても、ハイドの行動原理に不可解な点が残ります。果たして、彼はヤミを生かしたかったのでしょうか、殺したかったのでしょうか。それは、ハイド自身ですら、ひょっとしたら作者自身ですら分からないことなのかもしれません。
ハイドの更なる過去については、次回作「牢真」でも明かされますが、そこの中でさえ、「犯罪を憎む」自分と「犯罪者を救いたい」自分の間で揺れる不安定さを隠してもいません。
正義の人ではありますが、同時にサイコパスでもあります。もし更に次回があったら、どんな結末をたどるのか、楽しみかつ非常に不安です。
ちなみに、2作目の「牢真」には、「牢籠」のネタバレがあります。元々、「牢籠」のBEST END後の話であるので。作者のまちばり飴子 さまは、プロのイラストレータとして数々の活躍をしている方です。本作の魅力は、ストーリーと共に、美麗で魅力的なキャラにも現れています。
「牢籠」では名前だけの登場であったハイドの同僚たちも、「牢真」で同じく美麗な見た目とぶっ飛んだキャラクターを持って登場します。この点も楽しみに、2部作をどうぞ。
- (補足)
- 2023.06.28:現在、本作品は公開を停止しています。
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ジャンル [ ホラー風ギャグゲーム (ギャグ風ホラーゲーム) ] 作者 [ 水松茶 茶々留 さま、らふわーかー さま ] 容量・圧縮形式 [ 112MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクールVX Ace ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 器物に自らの念を与え、ユニークな生物(なまもの)を「創生」する能力を持つ少年・マッカこと
松笠 紅雪 (右)。
万物に通じ、コネも広い不思議な少女・ハクセンこと望月 秋柏 (左)。
どこにでもいそうでここにしかいない二人は、何かと暴走しがちなマッカの創生能力を封印しつつ、騒がしくも平和な日常を送っていた。
そんな日常が、ある日ちょっとだけ乱される。
マッカの過去を知り、マッカの能力の暴走によって右目を潰され、それ故にマッカに重い愛を注ぐ少女・アイこと飛鳥 青嵐 。
彼女は、「私の知っているマッカくんは、こんなダサいお札つけてない」…たったそれだけの理由で、封印を外してしまう。
暴走した創生能力は、周りの看板・風船・花々などを巻き込み、生物(なまもの)へ変えてしまう。
…と言うわけで、そんな生物(なまもの)たちを取り返すのが、今回のお話。
本作のメインキャラをデザインした らふわーかー 氏は、以前「かみさまの心臓」で取り上げたツクラーでもあります。コメディとシュール成分の多い本作では、らふわーかー氏も自身の作品では絶対に見せないゲス=フェイスなどを描かれています。
そして、本作のメイン製作者および各種生物(なまもの)のデザインをしている水松茶 茶々留 氏も、数々のキャリアを持つツクラーです。
今まで当サイトでは取り上げていない作家ですが、シリアスなホラーである「ヒトミ」「朱るれば」から、シュールなギャグ作品である「のーみそ家出中。」シリーズまで、多彩すぎるジャンルを作り上げています。
そして、本作のジャンルは、そのシュールギャグとシリアスホラーを丁度いい塩梅で混ぜ込んだもの。その中に、自称「ふつう。ときどき意地悪。」な謎解きがひしめいています。
自称「ときどき意地悪」な謎解きですが、最初の最初から「上下左右にせわしなく動く生物(なまもの)の動きを、一歩も間違えることなくトレースする」という「かなり意地悪」な代物です。あまりに動きが早いため、まずメモは間に合いません。
この「意地悪」な謎解きは、最初から最後まで続きます。紙のメモには落とせない絵画的なリドルもあるため、スクリーンショットを取っておいた方がいいでしょう。そして、話が後半に向かうにつれ、ストーリー面もシリアスさを増していきます。生物(なまもの)たちを相手取る中で、どうしてもアイ自身との対決、そして、アイがあんなのになってしまった原因であるマッカの過去に触れざるを得なくなっていくのです。
後半の盛り上がりは本当に素晴らしいものですが、ここでも「ときどき意地悪」な謎解きは容赦なく襲い掛かってきます。ご注意のほどを。
- (補足)
- 2023.06.28:現在、本作品は公開停止中です。
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ジャンル [ 探索ホラー ] 作者 [ nono nenne さま ] 容量・圧縮形式 [ 77MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクールVX ] 言語 [ 日本語 ] 配布元
(あらすじ)
軍学校の師弟であるチェン=カロスと教官は、街の昼夜を管理する貴族「アメイシア家」の調査に向かう。
しかし、現地で当主グレイス=アメイシアの死、そして、アメイシア邸に入った人間が二度と帰ってこない事実を知る。
チェンは持ち前の正義感からか、アメイシア邸の調査を申し出る。
チェンは知らなかったのだ。教官が調査に乗り気でなかった理由、正義感が時として自分や仲間を危機に陥れること、そして、アメイシア邸に棲む「無垢の怪物」を。本作は、昨今よくある「洋館を探索するホラーADV」です。ありふれたホラーの中で、私が第一印象に残ったのは、「プリンセスメーカー」を思わせるレトロなグラフィックでした。
そして、私が本作を当サイトで紹介したいと思ったのは、主人公コンビの軽妙な掛け合い、そしてラスボスの残酷さと悲しさ…まさに「無垢の怪物」としか言いようの無いものでした。
作者自らが描いたキャラクターグラフィックは、小さいながらも、主人公2名のみならず、モブの一人ひとりに至るまで、詳細に描かれています。そう、死体に至るまで詳細に。
GAME OVERで表示される主人公の死体まで詳細に表示されるのです。単体でのグロテスクさもさることながら、今まで軽妙な掛け合いをしていたコンビが、突如として青黒い死体と化すショッキングさは、実際に味わってみないと分からないでしょう。
本作は主に移動パート・調査パート・リドルパートに分かれます。移動とリドルは、他の謎解き付きホラーADVと変わらないため割愛。
特徴たるのは調査モード。特定の部屋ではチェン1人で行動し、証拠品を集めていきます。証拠品を集め終わったら、教官と話し合い、選択肢でアメイシア邸で起こった謎を解き明かしていきます。
選択肢は簡単なものですが、万が一間違うと即座にGAME OVERです。「突如として青黒い死体と化すショッキングさ」を味わう羽目になります。本作のストーリー上のキーワードとなるのは、「無垢」と「仮面」の対立です。
調査を進め、教官と協力・対立していくにつれ、チェンの正義感は単なる「仮面」であったと自覚していきます。感情を最優先する教官とぶつかり合いながら、チェンは「仮面」の中にある本当の正義感を知っていきます。
対して、「無垢」の象徴であるラスボスは…調査を進めていく中で、チェンにもプレイヤー自身にもおぼろげながら見えてくるでしょう。「おぼろげながら見えてくる」過程を楽しんで欲しいため、私からは詳しくは述べません。
ただ、一点だけ「RPG的なラスボス戦がある」とだけ言っておきます。中々に歯ごたえがある戦闘で、MPリソースも限られるため、慎重なコマンド選択が必要になります。
また、本作のENDは、このラスボス戦前後の選択によって決まります。最初のEND分岐からラスボス戦まではセーブ無しで突っ切るため、別のENDを見るためにはもう一度ラスボス戦からやり直す必要があります。流石に面倒くささを感じましたね。ここだけは。ラスボス戦に限らず、アメイシア邸突入前のイベントも、意外と煩雑です。人形店に突入する前に住人から情報を集める必要があるのですが、街道は暗くて人物を見つけにくいわ、住人全員と話したはずなのに「人形店に入る前に、住人から情報を集めましょう」と表示される場合もあるわ。私は正直言ってここのシーンは「うるせー! 俺はとっととホラーしたいんだよ!」と思えてきました。
しかし、このオープニングシーンは、ラストの謎の重大な伏線となっています。最も、こちらも「伏線が明かされるシーン」の衝撃を味わって欲しいため、これ以上の詳細は語りません。
本作の楽しみ方は色々あります。道中のホラーを楽しむのが一つ。謎を解く中で明かされるグレイス=アメイシアの悲しさを知るのが一つ。そして最大は、あからさまにツンデレな教官との掛け合いを楽しむことです!
ちなみに、本編では「教官」と役職名しか分からない彼ですが、本名はBEST END後に分かる隠しページで明かされます。そこらへんも楽しみにして、謎解きを進めてみてください。
- (補足)
- 2015.11.29:リンク先を変更
- 2016.05.02:現在、リメイク版である「無垢の怪物 Super」を配布中。
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ジャンル [ ホラーADV ] 作者 [ 雪月花 さま ] 容量・圧縮形式 [ 156MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクールVX Ace ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 15歳以上推奨。暴力・性的表現含む。 ] 配布元 母と子、男と女。
山道を向かう男装の少女・神楽坂伊織。彼女は女性であることを隠し、祖父の名を継いで歌舞伎役者になることを目指していた。
そんな彼女に、父はある条件をつきつける。
子供の頃を過ごした「八塚旅館」に3日間滞在し、姉・庵里のことを思い出してほしいと…。
そんな伊織の旅路は、序盤から波乱万丈。いきなり初対面の青年からナイフ状の人骨を受け取ってくれと強制される有様。
そして、こんな序盤から、大きく物語を変える選択肢が表示されます。選択肢の最中に出てくる注意書きの通り、「受け取らない」ルートは2周目用。初見では意味不明なエピソードが出てきます。初見プレイでは、必ず「受け取る」を選択するようにしましょう。
ちなみに、1周目(グローバルセーブが無い状態)で「受け取らない」を選択しても、普通に2周目用のルートに行ってしまいます。ゲームの大部分は、フリーホラーゲームのお約束「廃屋の仕掛けを解き、脱出すること」です。途中にはもちろん、捕まったら殺される「鬼」が出てきます。
ただし、鬼はすぐ廊下の角に引っかかる上、救済措置である「柘榴の実」が最大3つ持てるので、追いかけっことしての難度は低めです。
道中のパズルの中には、間違えると一発GAME OVERのものがある上、解答法もかなりの変化球。初見では絶対に引っかかるでしょう。探索ルートを間違えると、「必要なアイテムを持たないまま鬼に追いかけられ、行き止まりに追い詰められる」シーンもあり、細かなセーブと慎重な選択が求められます。
そして、本作で最も重視されているのは、様々に分岐するストーリーです。旧館に軟禁されていた少年・薫との触れあいもあり、乙女ゲームのようにも見えます。
ただし、実際に描かれるのは、愛は愛でも捻じ曲がった愛です。主人公である伊織と庵里の関係からして、ネタバレ必至の捻じくれた運命があるのです。
物語は、現在から伊織と庵里の関係が明かされる過去、そしてルート分岐による平行世界にまで広がります。そう、このゲーム、ただの「現代和風ホラーゲーム」ではなく、SFファンタジー要素も入っているのです。
何気なく流していたエピソードが、結末そして2周目になって初めて、その重要性が分かる仕掛けになっている、手の込んだストーリーです。
途中の印象では蛇足に感じた2周目のエピソードも、TrueENDの条件を紐解いていくにつれ、1周目では不鮮明であった各キャラの気持ちを知り、捻じ曲がった関係も修正され、「本当にTrueENDなんだなぁ」と感じました。
ED分岐の条件は、ほとんどが選択肢に集中しています。恐怖・恋愛・家族愛、様々な物語が描かれています。貴方もダウンロードして、実際に体験してみましょう。
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ジャンル [ 短編ホラーADV ] 作者 [ Blue Line Games さま ] 容量・圧縮形式 [ 49MB・ZIP ] 製作ツール [ LiveMaker ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 「それ」に魅入られたものは…
当サイトでは「DOKI★DOKI ラブパニック」の人として有名になってしまったBlue Line Gamesの皆さん。しかし、彼らはジャンルを問わず多作な団体でもあります。
「DOKI★DOKI ラブパニック」の紹介の中でも取り上げてきた正統派乙女ゲーム「Triangularworld」、かと思えばほぼ同じ方向性で、松井秀子みたいなヒロインも登場する「ひんじゃく姫」をリリースしたりと、そのジャンルは多岐にわたります。
その中での最新作は、一転してシリアスなホラー作品になりました。それが今回紹介する「白い焔」です。「白い焔」の主役となる怪異は、最近有名な都市伝説「くねくね」。「怪異症候群」や「箱弐伍遺体」など、多数のホラーゲームでモチーフとなっているものです。
ブラック企業で夢破れた女性・小林智美は、故郷でその「くねくね」を見てしまったせいで、「それ」とおなじくクネクネと踊り続ける状態に陥ります。
そんな彼女の怪異を解くために、寺生まれの小学校教諭・小松康介と、智美の親友を名乗る鏡子が情報集めに乗り出します。
しかし、探索を進めるにつれ、康介にも危機が…。本作は、短いながらもバッドエンドがみっちり詰まった作品です。思わぬところを選択してバッドエンド確定になることもしばしばあります。
それでなくとも、ベストエンドを見るためには余計な行動を取れません。正解以外の行動を取ると、ラストの真相解明の箇所で、正答となる選択肢が消えてしまうのです。
正解自体は同梱の「攻略情報.txt」を見ればすぐ分かりますが、逆に言うと、攻略情報無しの本編情報だけでベストエンドを見るのは、まず不可能です。
攻略は全てのエンドを見るだけでも1時間もあればコンプリートできます。本作と併せてプレイしたいのは、前作にも当たる「怪奇探索少年隊」。
キャラデザインの違いにより、康介の顔が「誰やねんお前」レベルで「白い焔」では美化されていますが、ホラーそのものの魅力としては、「怪奇探索少年隊」も「白い焔」と同じく恐ろしく探索しがいのある作品です。
- (補足)
- 2023.06.28:リンク先を「ふりーむ!」に変更
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ジャンル [ 脱出ゲーム ] 作者 [ 作:夜兔AVG さま 訳:悲しき魚 さま ] 容量・圧縮形式 [ 313MB・RAR ] 製作ツール [ 吉里吉里2 ] 言語 [ 中国語・日本語 ] 備考 [ リンク先は日本語訳バージョンです。 ] 配布元 彷徨う者に、拠り所なく
今回紹介する作品は、「偶弦」「第七号車」と同じく、中国語圏で作られたフリーゲームを、悲しき魚 さまが邦訳された作品です。
「偶弦」「第七号車」のようなRPGツクール作品ではなく、「吉里吉里」を用いたHD画質の素材を使用しています。キャラクターの美しさも、ホラー表現の恐ろしさも、我々日本の作品と比べても群を抜いた作品です。
舞台は、少年・イヴリーが目覚めた所から始まります。何故か、妹・イヴァーの部屋で。
気恥ずかしさを感じて部屋から出ようとするも、出入り口は開かず、肝心のイヴァーも見当たらない始末。
鍵を捜し求めて、部屋に散りばめられた謎を解いていきます。しかし、手がかりの中には、イヴリーが記憶していない不可解なものが見られ始め…。
この作品は、ある意味、かわいいイヴリー君を愛でるゲームと言っても過言ではありません。
物事に触れるたびに、イヴリーは様々なリアクション芸を見せてくれます。
もちろん、ホラーにだって抜かりはありません。油断している所に来ます。
謎解きの難易度は、脱出ゲーム全体の欠点である「どのヒントをどこに使えばいいか分からない」さえ気をつければ簡単なレベル。クリアに必要なヒントは十二分に提示されます。
しかし、「アイテムを使う」だけでは謎解きにならないのが本作の特徴。本作では、仕掛けを解放する「アイテム」の他に、「手がかり」と言うもう一つのフラグがあります。
「手がかり」は仕掛けで使うのではなく、他の「手がかり」と組み合わせることで新しい「手がかり」を生み出します。重要な「手がかり」を作り出せば、ストーリーが進んでいきます。
逆に言えば、脱出に必要な鍵を手に入れても、「手がかり」を最後まで進めていないとストーリーは進みません。「アイテムを使ってくれないなぁ?」と思ったら、「手がかり」の方を進めていきましょう。
「手がかり」は間違ったものを組み合わせても特にペナルティはありません。総当りで組み合わせるのが一番手っ取り早いです。そして、物語はイヴァーの部屋を脱出しただけでは終わりません。実は、イヴァーの部屋は前哨戦の「E.C.I.R.P.」編。ここをクリアして初めて、本編である「P.R.I.C.E.」編をプレイできます。
こちらは、謎解きのレベルが少し上がり、ホラーのレベルは格段に上がります。
果たして、イヴァーはどこにいるのでしょう。そして、イヴリーは何処に行くのでしょう。
プレイ時間は「E.C.I.R.P.」編と「P.R.I.C.E.」編を合わせても1時間も掛かりません。衝撃の結末まで、読み進めてください。
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ジャンル [ サスペンス ] 作者 [ ますかるぽーね さま ] 容量・圧縮形式 [ 68MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 ホラー名物・謎の洋館。しかし、それは始まりに過ぎない…。
【あらすじ】
どこにでもいる普通の父娘、道野蒼太と道野真夜は、山中にて車をエンストさせて立ち往生。
エンストした車のそばには、わざとらしいほどに都合よく洋館があった。
二進も三進もいかない蒼太は、何の疑いもなく洋館に助けを求める。
案の定、しばらく待っても蒼太は帰って来ない。
心配する真夜と、痺れを切らしたミスターマスパー(しゃべる熊のぬいぐるみ)は、蒼太の後を追い、洋館を訪ねる…。…さぁ、このあらすじの中に、1つ不可解な点がありますね!?
…なんで、「しゃべる熊のぬいぐるみ」という謎サムシングが何の説明もなく登場するのでしょうか!?
思わず、本作に前作がないか探しましたよ!?実際には、マスパーの存在への解答は、本作の前ではなく終盤で明かされます。
そう、本作は、序盤での印象から伺える「洋館を彷徨い謎を解くホラーADV」ではありません。ストーリーもジャンルも二転三転する、予想の付かない展開を楽しむADVなのです。
行方不明になっていたはずの蒼太を操作する場面もあり、舞台も洋館を飛び越えていきます。
その中には、スニーキングアクションもあり、追いかけっこもありますが、「洋館を彷徨い謎を解くホラーADV」で思い浮かべるシチュエーションとは全く異なる場面で出てくるので注意しながら読み進めてください。
その中には「人間との対決」も描かれますし、それによる「時間制限つきの謎解き」も出てきます。
しかし、これでさえ、ホラーの一大ジャンルである「人間が一番怖い」とは異なります。ホラーらしい「一方的な襲撃」ではなく、対等な「能力と知略を尽くしたバトル」と言うのが一番近いでしょう。
ちなみに、この「時間制限つきの謎解き」、かなりの高難易度です。重要キーワードである「長くて細くて硬いもの」にこだわると、すぐに時間切れになってしまいます。他にアイテムを求めている人物がいないか探すのが先決です。
これに限らず、謎解きやアクション要素は結構詰まりやすいものが多くあります。その大きな原因は「ミスリードの方が目立つ」謎解きが含まれる点にあります。
先述の「長くて細くて硬いもの」のほかにも、終盤にある「投入口に水に入れる」謎解きは、とうとう攻略に頼らざるを得ませんでした。
あれは、「厨房の水道」と「事務室のウォータークーラー」が丸々ミスリードになっています。公開当初のバージョンでは、正解はノーヒントでした。正直な感想として、「それでいいのかよ!?」と思うような解答でした。
流石に文句が多く来たせいか、ここの謎解きは、現バージョンではかなりヒントを増やしています。
大筋について、真夜、蒼太、そしてマスパーにどんな運命が待っているか…それは、ぜひ貴方自身の目で見て欲しいと思います。
詰まりやすい問題さえ気をつければ、あとのアクションなどは「ちょっと手ごたえのある(=1,2回はGAME OVERを見るかも)」レベルです。色々なものを駆使して、衝撃の結末を目の当たりにしましょう。