■ GENETOS
作者 [ 小山 達矢 さま(俺式) ] ジャンル [ 進化するシューティングゲーム ] 容量・圧縮形式 [ 6.3MB・ZIP ] ダウンロード
- (補足)
- 2009.11.08:レビュー時点での最新版は、Ver.0.60(体験版)です。
- 2009.12.24:現時点での最新版は、Ver.1.00(完全版)です。(Yuchama さま、情報ありがとうございます。)
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 9 /10 9 /10 10/10 79/90 777 9 /10 9 /10 9 /10 赤松弥太郎 8 /10 8 /10 8 /10
《 ES 》 ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:10
変わり行く歴史。変わらぬ闘い。
■ 基本
今回お送りする「GENETOS」は、STAGE 1から4(2009.11時点でSTAGE 5は未実装)に掛けて、システムがガラっと変わるSTGです。
開始直後は、横移動と最大2連発(!)のショットのみの自機が、第2世代では行動範囲と連射力が向上し、その後、ボム・ロックオン・(微妙な)BUZZりと、進化を重ねるに連れてシステムが追加されていきます。
これは、ただ単に「システムをコロコロ変える」と言うことではありません。むしろ、(現時点で)最大4種類に及ぶ攻撃方法を、段階的に学べる構成にしているのです。STGの基本コンセプトである「打って破壊して避ける」は、STAGE 1から最後までずっと貫かれています。
「親しみやすさ」というコンセプトならではのシステムですが、これ以外にも、「GENETOS」には、現代の(難易度が上昇した)STGの常識とは少々異なるシステム構成になっています。■ 展開
「GENETOS」の展開は、普通のSTGにおける「ある程度スクロールが進む→ボス戦」と言う展開とは少々異なります。
スクロール進行ではなく、以下の3つの条件の内、1つを満たすとボス戦に突入するのです。
- 画面下の「ITEM」ゲージが800以上溜まる
- 画面左上の「NORM」だけ敵を撃破する
- 画面左上の「TIME」が0になる
普通は、「なるほど、じゃあプレイだ。」で済んでしまう説明ですが、「稼ぎ」の観点から見ると、この点は非常に重要になります。稼ぎの点から見ても、攻略の点から見ても、1番の条件をクリアした方が絶対的に有利になっています。速攻プレイが、そして「ITEM」を逃さないように、ステージ構成を考慮したプレイが必要となります。
速攻プレイの有利さは、ボス戦時には、より顕著になります。「GENETOS」では、ステージクリア時にTIME×1000点のボーナスが入ります。また、従来のSTGの稼ぎ頭となる「ボス戦中に無限に出て来る雑魚を叩いて稼ぐ」事を防ぐため、進化後には雑魚が無限に出てこないようになっています。(ただし、ロックオンの練習を兼ねたSTAGE 3は除きます。それでも、STAGE 3はボスキャラが大きいため、ロックオンで稼ぐようにすると、必ずボスキャラも巻き込むようになっています。)
稼ぎの面からしても、従来の「長くプレイして稼ぐ」ことを否定し、「速くプレイして稼ぐ」コンセプトにシフトしているのです。■ 得点
「GENETOS」のステージクリア時には、ステージ固定のボーナス、上で触れたTIMEボーナス、そして残機ボーナスが入ります。しかし、従来のSTGであったボムストックボーナスは存在しません。ボム自体も、時間に従って自動ストックされるようになっているため、ボムりまくることが推奨されているのです。
ボムで消した敵弾は、得点アイテムとなり、「GENETOS」では貴重な稼ぎ要素となります。また、ボムで撃破した敵は、ロックオンと同じくコンボボーナスが入ります。ロックオンが装備される第4世代以降は、ロックオン→ボム→ロックオン→…と繰り返すことで、ロックオン単体(最大でも32発まで)では不可能なほどのコンボボーナスが稼げます。
ただし、ボムによる稼ぎにはコツがあります。ボムボタンを押してから実際の攻撃判定が出るまでは、約1秒のブランクがあります(しかも、このタイムラグは、いくら進化しても短縮されません)。ボムによる稼ぎを有効活用するためには、従来のSTG以上に敵の配置を覚える必要があるのです。どのタイミングでボムを押し、どこを爆破すれば、一番稼げるのか、探る必要があるのです。■ 今後
原稿執筆時点(2009.11.08)では、本作「GENETOS」は、まだ体験版です。最終ステージとなるSTAGE 5および様々な要素が未実装の段階です。私は、それでも、このゲームには高評価を挙げます。
この時点でも十分遊べるボリュームにあること、私のような非シュータであっても、数回のプレイで全クリできる難易度から、作者自身も「限界」と言う超高難度まで、幅広いプレイヤーにあわせた間口の広さ、そして何より、BGMの神っぷりに、非常に感動したからです。
私としては、非常に完成版が待ち遠しい作品です。最終ステージとなるSTAGE 5では、どんなグラフィックになるのか、自機はこれ以上の進化を見せるのか、楽しみであります。
昨今のSTGの流行を考えると…まさか、美少女(CAVE的な意味で)!?…イヤイヤ…。
《 777 》 ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:9
おめでとう!インベーダーはファミコンふうにしんかした!
個人的には体験版がイチオシに載るというのもかなり驚きでしたが…
これほどグラフィックや操作性が変わるゲームもなかなか無いでしょうね。思えば長いこと続いているシリーズ物というのはFCやGBなどのかなり古い機種が始まりです。
マリ○とか、ドラ○エとか、ファ○ナルフ○ンタジーとか、○ケモンとか…。
それが今ではWiiとかPS3とかNDSとかでリメイクも交えつつ時代の最先端を行ってるわけですな。
この「GENETOS」と言うゲームはそんな時代の流れを1本のゲームで表してやろうという意欲作です。ザコ敵から出てくるパワーアップアイテムを集めることで自機がパワーアップ…とだけ書いては特徴もへったくれもないですが、
見た目から攻撃力、機動力まで劇的に変化します。それもそのはず、厳密にはパワーアップではなく進化なのです。
最初のうちはひとたび進化すれば敵が可哀想になるくらいの差が出ます……が、
ステージ3あたりからこちらの進化に合わせて敵も本気を出してくるので、進化したからって安心はできません。オプションも結構充実していて、インベーダー達に最新鋭の機体でホーミングレーザーをぶっ放せる強くてニューゲームは勿論のこと、
旧式機どころか廃棄物と言える代物で絶望的な戦いを挑むことも、ショット一発の威力を1倍から100倍まで上げることも…最後に、ちょっとだけ不満点を。
ステージ4の序盤はちょっと敵の弾が見えずらかったかな…。クリエイターレベルともなると、弾の密度も相当なもので、それが見えないとなるとちょっと辛い。
弾が光ってるのが原因かもしれません。完成版ではこの辺の調整もしてくれると嬉しいです。……なんとかクリエイターレベルもクリア出来ましたが、ボス戦とかで運良くかわせた場面も多かったなぁ…。それでも残機0ボム1だったけど。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:8
時を溶かし始まったNext Stage
- ハマリ度 : 8 / 10
- まだ体験版だとは思えないほどの完成度。クリア後評価、リプレイ、フリープレイと、現時点で欲しい機能はすべて揃っている。
反面、オリジナルモードの展開はほとんど固定されていて、繰り返しプレイをすると飽きがきてしまう。- グラフィック : 8 / 10
- こざっぱりとキレイにまとまった印象。30年の間に激変してきたSTGグラフィックに、一定の方向性を持たせることに成功している。
しかし、1stや2nd Stageの時代を懐かしむプレイヤーには「粒子感が足りない」と言われそうではある。1st Stage以降、ビジュアルに大きな変化が起きている気がしないのも問題。- サウンド : 8 / 10
- BGMはすべてオリジナル。ややチープさが鼻につくが、むしろ悪名高いMSGS音源でよくぞここまで頑張ったと言うべき。
しかし、効果音も含め、全体的なパンチ力不足は否めない。うーん……少々しょっぱい評点になってしまいました。
一言で言えば、小さくまとまっちゃってるんですよ。
すでに洗練されていて、完成度も高いんだけど、なんとなく物足りない。取り立てて悪い点もなく、かといって飛び抜けてる点も今のところ見あたらない……
いや、これで完成してるんだったら、ここまで辛辣なことは言わないんですけどね。でもこれ、まだバージョン0.6じゃありませんか。
今できあがってるものをちょっと突き抜けるくらいの勢いがほしいんですよ。
せっかくですし、「こうなったらいいな」的な妄想を言いたいだけ言ってみることにしました。
「こんな意見もあるのか」程度に考えてもらえれば幸いです。
◆ルートは複数ほしい !
「進化するシューティング」って発想は、とても面白いと思うんです。
「自機はどう進化するんだろう」「次はどんなステージになるんだろう」って期待感があります。
しかし、今のオリジナルモードだと、展開がほとんど固定されちゃってて、
ザコを倒してアイテムを集める
→800集めると強制的にボス出現、画面上の敵もアイテムもすべてリセット
→ザコや支援ビットをチクチク倒してアイテムを集め、1000を越えると自機が進化
→進化するとザコの供給が絶え、あとはひたすらボスを攻撃する……
これの繰り返しです。
敵より早く進化しろ ! と宣伝しておきながら実際にはそれができないのは、さすがに問題でしょう。
一応「アイテムを集めずにクリアする」縛りもできますけど、何も面白いことは起こりません。
進化って、一通りじゃなく、環境に適応していろいろ変化するから面白いと思うんですよ。
特殊なプレイに対応して、特殊な進化をしてほしいじゃありませんか。
システムもある程度柔軟性を持たせて、ボス出現タイミングをずらしたり、ボス出現前のザコやアイテムが持ち越せるようにして、タイミングとか、特殊なアイテムとかで分岐する……やり方はいくらでもあると思います。
そこまで何通りもルートを作る必要はありませんが、Minishoterみたいに正規ルート以外にもう1つルートがあるだけで、遊びの幅はだいぶ広がってくるはずです。
◆正統派じゃないステージがほしい !
本作、第一印象はちょっとイロモノっぽいですが、ステージ構成もグラフィックもガッチガチの硬派です。
統一感があるのはいいんですが、そればっかりだと……正直、飽きも早いってところです。
ゲームなんですから、もうちょっと遊びがあっていいと思うんですよね。
何が言いたいのかっていうと、つまりパロディウス系への進化です。
「それじゃ雰囲気ぶち壊し」 ? ええ、それはわかってます。
しかし、シューティングの歴史って、硬派でメカメカしいゲームだけが作ってきたワケじゃないんですよ。
「シューティングの進化を辿る」ってコンセプトなら、生物的なドロドロしたゲームも、ギャグパロに走ったゲームも、等しく扱わなきゃ不平等じゃないですか。
本作にはきっと、そんな清濁併せ呑むくらいのポテンシャルがあるはずです。
そして、どうも作者さんの雑記などを見ていると、そっちの方向でも十分イケるんじゃないかって気がするんですが。……ダメですか ?
ここまで言えば、次に何を言いたいのか、だいたいわかりますよねー。
◆おんにゃのこがほしい !
……だって、そうでしょ ?
本作はまだ最後のステージ、つまり現在に最も近い時代が実装されてません。
現在のシューティングと言ったら、もはや東方を避けては通れないじゃありませんか。
つまり萌えですよ、萌え。
東方じゃなくてもいいです。オトメディウスでもらじおぞんででもクドリャフカでもなんでも。
開発が膠着しちゃってる今、それを打破するために残された手は萌えしかないでしょ !
あざとい ? 別に構わないと思いますよ私は。
シューティングの原点は「撃つか、避けるか」の二択……
どんなに時代を経ても、シューティングの根本はまったく変化していないことを、本作は見事に証明してくれました。
そこさえクリアしていれば、パロディも萌えも、ちょっとした風味や装いの違いに過ぎないとさえ言えるのです。
さあチャレンジ !
……いや、ムチャ振りってことは自覚してますけどね。
着眼点はとてもいい作品なので、このままじゃもったいないな、と思ったまでです。
本作自体がどう進化していくのか、楽しみにお待ちしております。