■ 漢気ヤンキース
作者 [ うぶげのことり さま ] ジャンル [ 育成シミュレーション ] 容量・圧縮形式 [ 97MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 配布元
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 8 /10 9 /10 8 /10 49/60 赤松弥太郎 7 /10 9 /10 8 /10
タイマンはるなら強敵(ダチ)! タイマンはったら親友(ダチ)!
「漢気ヤンキース」…キャラ・舞台・UIを見ての通り、「実況パワフルプロ野球」シリーズの育成コンテンツ「サクセス」をリスペクトした育成シミュレーションです。
パワプロシリーズに限らず、数多のゲームに取り入れられたシステムの育成シミュレーション。その中で本作「漢気ヤンキース」の特徴と言えるのは、前半部・後半部で大きくセオリーが異なる育成方針にあります。
前半部で重要なのは仲間集め。前半部は主人公自身の育成よりも、「うろつき」で仲間を集めていくことの方が重要になります。
ただし、その「仲間になる条件」も様々。幾度もの交流、一定量のステータス、ミニゲームのクリア…などなど、4月~7月の16ターンで網羅するには、事前知識・運・(最低限の)育成と、相当数の研鑽が必要となります。
ここまで仲間集めに必死になる理由とは…後半部以降のバトルパートで重要となるスキル「友情ブースト」が、この「仲間の数」によってブーストされるためです。
前半部では戦闘スキルはほとんど手に入らず、初期スキル「全力ストレート」が戦闘の要と言われるほど。「友情ブースト」を強化しないと、前半部から後半部への壁となる「虎臣拳介」にすら手も足も出ないバランスになっています。
うまく前半を超えられれば、そこからは全国制覇のため、己と仲間を鍛える時期。前半部ではあまり利用しないトレーニングや仲間との交流で、ステータスやスキルを伸ばしていきましょう。このように、本作はかなりの知識が要求されるゲームです。そして、それらの知識は本来数多くのゲームオーバーを積んで学ぶというスパルタなゲームでもあります。
そんな仕様になっている理由は、2つあります。
1つは、本作はオートセーブではなく、ターン毎に任意でセーブできる点。コマンドが上手くいかなければ、F12でやり直すことができます。
もう1つは、本作の乱数がリセットでは変わらない点。私のプレイ時の経験でも、作者に問い合わせた回答でも、「乱数は『はじめから』を選んだ時点で固定される」仕様とのことです。御宝船先輩を仲間にするサイコロ勝負で何度リセットしても出目が同じ点だったことから、割とすぐ実感できることでしょう。
リセットでは変化しない乱数を調整するためには、行動が必要です。そのターンの行動を変え、狙い目は次ターンに回すのが一般的でしょうが、本作のターン運びはかなり繊細。イベントの頻度も期限も厳しく、トレーニング失敗のペナルティが大きい(途中退場すらありうる)仕様では、無駄なターン消費はそれだけで敗北に直結します。
ターンを消費しないアイテム使用・男磨き(強さ→漢マーク)を上手く利用して、乱数がうまく運ぶよう祈りましょう。本作、スマホゲームなどでお馴染みの育成シミュレーションながら、その調子で色々な育成法にチャレンジしていくと、崩せぬ壁が至る所に生えてくる高難度の作品です。「発生する期間が短く、それまでに一定量のステータスを求められる=期限までの行動も規定される」イベントの多さを考えると、自由度も高いとは言えません。
何しろ、スマホゲームではおなじみの「友情トレーニング」など、最適な行動をビカビカ光って教えてくれる仕様も存在しないのです。「最適な行動」は、行動結果・会話イベント・ゲームオーバー後のさりげない…本当にさりげないヒントから屍を積んで学ぶ他ないのです。
効率の良い育成のためには、特定日に発生するイベントもクリアする必要があります。
スマホゲームならば、選択肢もしくは乱数で決まる簡単なものですが、本作のイベントは特定ステータスが基準値を超えていないと失敗=ボーナス低減という仕様。しかも、どれが要求ステータスなのかは、選択肢はおろか結果が出た際にも一切表示されない仕様。これも、推理しながら周回を繰り返すほかありません。
本作の難点も、そして面白さも、「短い周回プレイに隠された、数多のパラメータおよびイベント」にあります。ただ、それを味わうための関門を突破するために「数多のパラメータおよびイベント」の攻略法が固定され、また、その固定された攻略法を見つけるために数多のバッドエンドを見せつけられる悔しさが、より大きな難点として襲い掛かってきます。
パワプロを初めとした人気ゲームだと充実した攻略Wikiから情報を探れるのですが、本作の攻略情報は(2023.08.13時点では)外部には載っていません。己の経験か口コミ以外に頼れる物がないのも、また本作の難点です。
これらの通り、本作は難点が多くあります。もし、本編の育成に疲れた場合は、1周クリア後に解禁される「RPG編」にチャレンジしてみるのも一考です。「RPG編」はシステムがシンプルになり、セーブ&リセットによる攻略法の探索もやりやすいため、本作の「入門」として大いに役立つでしょう。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:7 グラフィック:9 サウンド:8
奇跡を起こすというなら 普通の手段じゃムリでしょ
本作は色々と難のある作品ではあります。
初見じゃまずクリアできない。ごもっとも。
バトルが単調で逆転要素に乏しい。まったくそのとおり。
キャラゲーなのに女の子エンドが無い、イベント回想も未実装。せめてこの点だけはなんとかして欲しかったなあ……
中でも一番の問題は初見で何をすればいいのかわからず、8月でゲームオーバーになる点だと思うので、玉砕した皆さんのために8月までの攻略法を書いていきます。
当然ネタバレは全解禁でやりますので、お嫌な方は一度エンド2をクリアしてきてください。概ね同じ結論に辿り着くでしょう。
まずクリアできるようになって、せめてその上で本作の味わいを知ってもらいたいと思います。
なお当攻略はセーブ・ロードをフル活用しますので、そのつもりで。慣れて刺激が足りなくなったらセーブロード縛りもいいでしょうけど、1回もクリアしてない人はやめた方がいいです。死ぬから。
◆本作の乱数調整
いきなりですが、本作の乱数の性質について。
セーブデータに保存される乱数と保存されない乱数、両方が使い分けられるウディタですが、本作の乱数はセーブされる乱数1つだけで全てまかなわれています。
トレーニング・アルバイトの成否、ギャンブル、ドキドキ草、戦闘中の行動、ありとあらゆるランダムな行動で状況再現します。
セーブデータをロード後、まったく同じ行動をすれば、まったく同じ結果になることが保証されます。
では、乱数を変えるためにはどうすればいいか。
1ターン使えば、ターン開始前のランダムイベント判定で乱数が進みます。が、ターン消費の意味が非常に重い本作では、できるだけターンは使いたくないんですよ。
一番影響が少ないのは戦闘中の行動を変えることですが、本作では戦闘する機会が多くありません。
ターンを消費せず乱数をずらす方法として最も手軽なのは、漢気を使った強化でしょう。
漢気を30消費してスピードを上げれば、それで乱数を1つ回すことができます。やる気上昇は乱数を消費しないためNG。
漢気はとても重要なリソースですが、ドデカべんとうを購入すればターン消費無しで回復できます。金さえあればなんとかなるのです。
他にはドキドキ草の使用も候補になりますが、体力・やる気・漢気と与える影響が多大かつ多岐に渡り、あまり気軽には使えません。
入手法も、ターン開始前イベントで沢田から購入するか、校舎裏の草むしりで1ターン使うしかありません。
乱数を大量に回せる、というメリットはあるので、使い所を見極める必要があります。
◆8月までの目標
なんとなく提示はされるんですけど、初見だと優先順位がわからないんですよね。
- 仲間集め、女の子フラグ立て
- スキル習得
- (2.に必要な)金稼ぎ
- (1.に必要な)ステータス上げ
以上の優先順位になります。
特に1.は7月中に完了必須のタスクで、8月最後の虎臣戦の難易度に直結する他、エンド2達成には仲間を8人以上集める必要があります。
何もしなくても仲間になるのは沢田と島本だけなので、それだけでターン数の厳しさがわかりますよね。
女の子4人全員のフラグを温存したいなら、8月はそれだけで潰れることも考慮しましょう。
あまりにも虎臣が強大に見えて、ついついステータス上げをしたくなるところですが。
虎臣戦直前、仲間が多いほど効果が上がる、友情パワーによる強化イベントがあるので、それで十分タイマン張れます。
1人で鍛えるより、みんなの力で強くなるというのが本作の一貫したコンセプトなので、それに乗りましょう。
ただし、加入条件にステータスが絡む仲間が2人いるので、そのためのステータス上げは必要です。
◆初期ステリセマラ
とは言っても、これはあまり重要では無いのですが。
こだわるなら、仲間加入条件に関わるパワーと根性は吟味した方がいいんでしょうが、まあ許容範囲です。
それよりも影響が大きいのが、以下の2点。
- 初期所持金(2,000円→10,000円)
- 「センス◎」スキル習得
センス◎は初期習得以外、他の習得手段が無い非常に強力なスキルです。
効果は、漢気使用強化の使用量を7割にする、というもの。
乱数ずらしへの効果がとても高いわけです。スピード上げに必要な漢気をドデカべんとう1つでまかなえるのは大きい。
漢気満タンを要求されたパワー上げが、70消費でできるようになるのも素晴らしいです。
所持金+8000円の恩恵もかなり大きく、4月からドデカべんとうを使った乱数調整ができるようになります。
最初に「根性ハチマキ」を購入して、根性上げの効率化を図るのもいいでしょう。
◆習得したいスキル一覧
8月までに習得できるスキルの中で、有用なのはこんな感じ。
- 無尽蔵・超ガッツ・馬鹿力・ド根性・インテリ・火付け役
- 『トレーニング』で各ステータスが上がりやすくなる。
強化アイテムを購入することで習得できるスキルです。金さえあれば習得できます。
コンプに総額56,000円必要です。値切り◎習得後なら39,200円で済みますが、できればその前に習得したい。価格の高さと有用性は概ね比例する感じです。- 愛嬌◎
- 仲間とのなかよし度が上がりやすくなる。
9月以降、攻略の要になる超重要スキルです。誰もいない状態の教室で発生する、オニセンとのランダムイベントで習得できます。
仲間が少ないほど発生しやすい気がするので、序盤のうちにこれだけは必ず、忘れずに習得しましょう。- 値切り◎
- アイテムを通常より安く買えるようになる。
具体的には3割引きです。8月のみなみイベントで習得できます。
このイベントを起こしても、他のヒロインのイベントは潰れません。よほど妹と関わりたくないとか、そういう事情が無い限りは、習得した方がいいでしょう。- 鉄人
- 『トレーニング』と『アルバイト』で体力が減りにくくなる。
全てのトレーニング・アルバイトで、体力消耗を一律7だけ軽減します。8月の妙子イベントをこなせば、結果如何に関わらず習得できます。
このイベントでも他のヒロインのフラグは消えません。効果は地味ですが、9月以降トレーニングが増えてくるとありがたみが増します。- 大食い
- 特定アイテムの体力回復量が増える。
戦闘中ではなく、シミュレーション画面でアイテムを使用したときに効果が出るスキルです。具体的には、ビッグおにぎりの回復量が30→50、もりもりラーメンが50→80に増えます。
序盤のうちは、体力は重視しなくていいパラメータです。イベントで現在体力以上に体力を消費しても、何も問題なくイベントは進行します。
ただし、トレーニングやアルバイトの成功率には大きく影響するため、特に9月以降はウェイトが増します。休息する暇なんて無いので、アイテムに頼りがちになります。
誰もいない状態の食堂でのランダムイベント「利用者1000人目キャンペーン」で習得できます。4月中に起こせた方がいいですね。ここから下は、優先度が下がります。
- 金運◎
- 『アルバイト』でもらえるお金が増える。
なんと倍増という凄まじい効果です。誰もいない神社で50円の賽銭を投げ、「お金持ちになりたい!」と願うことで習得可能。
ただ、セーブ・ロードをフル活用するこの攻略だと、アルバイトをする機会があまりありません。後述。
習得したいなら、4月第1週が狙い目です。後回しでもいいけど、9月以降は神社で頻繁にキャライベントが起きるので、なかなか習得の機会に恵まれないでしょう。- 快男児
- 『アルバイト』で漢気が上がりやすくなる。
誰もいない川原のランダムイベントで、ビジネス書を拾うと習得可能。具体的には漢気上昇量が+20されます。
正直、金運◎習得してドデカべんとう使った方が早い気がしてなりません。9月以降も習得機会はあります。- 栽培上手
- 植物の栽培が得意になる。
それに何の意味があるのか? 正直ボクにはよくわからないスキルです。
誰もいない校舎裏のイベントで習得可能、というより、ドキドキ草を拾うとおまけで付いてくると言った方がニュアンス的に近いです。
先に述べたとおり、ドキドキ草は大味で影響が大きすぎるアイテムなので、積極的に拾いに行く機会は多くないでしょう。◆サイコロ賭博
アルバイトしないなら、金策はどうするのか? もちろんギャンブルです。
5月第1週に、賭場食堂でのサイコロゲームが解禁されます。御宝船先輩を仲間にするのに必須のイベントです。
どうせ1回は遊ぶんだから、ここで尻の毛一本残さずむしり取るのが礼儀というものですよ。ねぇ?
……ここは賛否両論あると思うので、縛りたい方は縛ってください。
乱数によって出る面が決まり、選んだサイコロに応じた目が出ます。
つまり、「普通のサイコロ」で6が出るのを確認した後リセット、ロードし直した後に「謙虚なサイコロ」を選ぶと6が、「強欲なサイコロ」を選ぶと10が出る、というわけ。
「強欲なサイコロ」でも勝てば賭け金は1.2倍になりますから、できるだけ勝ち進むことが肝要です。
まあ、「強欲なサイコロ」でも勝てない局面もありますが、その時は日にちを変えるなり、乱数調整すればいいのですから……
普通のサイコロだけで5連勝すれば32,000円。強欲なサイコロだけで5連勝すると、驚愕の243,000円です。
ただ、このゲームをクリアするのに必要な金額は、そこまで多くはありません。強化アイテムを全て買い込んでも、80,000円あればおつりが来ます。
運が良ければ1回で、運が悪くても2回くらい5連勝すれば、クリアまでに必要な金額は稼ぎ終わるでしょう。
◆仲間集め
基本は、アイコンが出てる場所をうろついて、漢気なり提示される条件を満たせばいいのですが。
ただし、期限だけは注意してください。
龍見・月梨・来栖・由利の4人以外、任意のフラグ立てが必要なキャラ全員7月になるとフラグが折れます。この4人も7月が終わればフラグが折れます。
フラグ立ての条件が厳しいキャラを数人ピックアップします。
- 友希・叶
- 本作で1・2を争う仲間にしづらいキャラ、そしてスタメン最有力候補です。
仲間にする条件は、まず5月第1週開始時のランダムイベントで遭遇すること。イベントが不発だと二度と会えません。
このイベント、発生条件は純粋に運なので、4月第4週の時点でうまいこと乱数調整しましょう。発生率はそれなりに高めです。
その後、6月までに教室にいる友希と会い、7月第2週終了時に発生するイベントで漢気を55消費し、タイマン張って勝てば仲間になります。
と、かなり手順を踏むように見えますが、実際消費するターンは1ターンだけです。
何しろ必殺ワザ「リザレクション」が唯一無二の戦闘不能回復、他のワザもバランスが良く、ステータスにも穴が無い、と超強力なキャラなので、手間を掛けるだけの価値があります。
友希を仲間にするのは叶先生の必須フラグになっているため、その意味でも回収不可避です。- 虎臣
- 仲間にしづらいキャラのもう1人、そしてもう1人のスタメン有力候補です。
火力が完全に飛び抜けており、スピードが低いという弱点も、ターンが回る前にみんなでバフを掛けまくれば恒常的に4桁ダメージが期待できるという利点になります。
ほとんど隠しキャラ扱いで、フラグのヒントはシナリオ中にほとんどありませんが、条件自体はシンプル。
アルバムのオニセンヒントの通り、具体的には5月第4週終了時点で、パワー85以上ならOKのはず。
序盤イベントスキップをONにしてるとスキップされちゃうイベントですが、終わった時にリスクゲージ上昇が2ではなく1ならOKです。
この数字は結構意識しないと達成できないノルマです。
トレーニングだけで狙うとターン数が嵩むので、間に合わないなら漢気使用強化で補う必要があるかも。- 河崎・龍見・島本・蒲・来栖
- この5人はちょっと条件がごちゃついてるので解説。
河崎・島本・蒲の3人は、5月以前、教室を最初にうろついたときの3択で1人、あと6月第1週開始イベントで1人仲間になります。
6月第1週開始イベントでは、が加入します。
- 島本を仲間にしてなかったら、島本
- 島本を仲間にしてたら、河崎か蒲かどちらかランダム
龍見加入の前提条件が河崎加入、来栖加入の前提条件が蒲加入。
つまり、島本は必ず加入する、あとは1年組か3年組かの択一、となるわけです。
どちらがオススメかで言うと……1年組かなあ。
龍見の必殺ワザ「闘魂注入」が唯一の他者掛けパワーバフで、火力増強に一役買うからです。スタメン狙えます。
3年組は、来栖のクールマインドがピンポイントで役に立つけど、本人はやや力不足。盾役としての蒲は獅子王の方が優秀ですかね……
まあ、そこまで大きな差は無い、好みの問題だと思うので、2週してどちらも体験すればいいんじゃないでしょうか。
あ、でも最初に仲間にするのは島本がいいかも。
虎臣を仲間にしようとしている場合、運動会の騎馬戦でダメ押しのパワー上げが狙えます。
ここまでの情報があれば、きっと8月の決戦を切り抜けられるでしょう。
9月以降は、スタメンの3人を固定、その3人 + 攻略したい女の子のイベントを起こし、一緒にトレーニングし、怪我しないよう乱数調整してなかよし度を上げ続ければ問題ありません。
そして、そこからが本作の本領発揮でもあります。
仲良くなるにつれて、イベントを通してキャラクターへの理解が深掘りされていき、3月を迎える頃には彼らと離れがたくなっていることでしょう。
その割にはエンディングがさっぱり目なのが、やはり残念に思われるところです。
雰囲気は本当に好きなんですけどねー。
- ハマリ度 : 7 / 10
- 行動の選択肢が多すぎる、かつ「正解」が狭すぎる、というのが問題の根本。上の攻略のような最適化された行動をすれば楽々クリアできるが、方針がズレるとまるで歯が立たない。誘導もほとんど行われていない。魅力を伝える前に投げられてしまってはトライ & エラーもしてもらえない。
こういう場合、序盤のうちは与える選択肢を狭めるのが昔からの知恵。ボクだったら最低8月まで「うろつく」以外のコマンドを用意しなかったし、クリアまで「うろつく」だけのゲームシステムにしたかも知れない。本作で一番楽しいのはキャラクターとの交流なので、そこを前面に打ち出したシステム設計にすればわかりやすさも増したはずだ。
戦闘が単調すぎてつまらないのも問題ではあるが、属性にほとんど意味が無く、状態異常を防御できないあたり、自覚的に単調にしている印象がある。キャラゲーとして割り切るなら、キャラゲーとしてのさらなる充実を目指してほしい。最低限、努力していれば挽回できる戦闘であってほしい。- グラフィック : 9 / 10
- キャラ絵の方向性はネタ元とは異なるが、可愛らしく、本作の個性豊かなキャラクターたちの魅力を引き出している。キャラアイコンがわかりやすくなるよう計算されたキャラデザインだ。
一方でUIはネタ元にだいぶ寄せている。ステータス表示が上段なのは、むしろネタ元よりも見やすいくらいかも知れない。- サウンド : 8 / 10
- 魔王魂のチップチューンを中心に、どことなくGBAっぽさの漂う選曲。ややチープな方向性が本作にはマッチしている。
まあフリーゲームには、「元が取れるまでやり込もう」なんていやらしい気持ちが働きませんから、厳しく見られる面もあります。
ボクはレビューを書く以上、できれば想定された遊び方は知りたいと思ってプレイしますけど、普通プレイヤーはそんなこと意識してプレイするもんじゃありませんからね。
でも、きちんと最初に魅力を伝えて、プレイして良かったと思わせるだけの何かを用意すれば、きっとプレイヤーは最後まで楽しんでくれると思うんですよ。
ボクはボクなりの楽しみ方を書きました。ボクなりの感想も書きました。
あとは読者の皆さんが、自分でプレイして、自分なりに楽しめばいいと思うのです。