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■ もえくり

タイトル
作者 [ さくらもっち さま ]
ジャンル [ 戦術シミュレーション ]
容量・圧縮形式 [ 65.4MB・ZIP ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

編成画面 戦闘 フリーバトル

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 9 /10 7 /10 74/90 B
銅たぬき 7 /10 10/10 8 /10
kiliko 9 /10 8 /10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:7

「萌え」る「クリーチャー」、「燃え」を「クリエイト」。

今回のイチオシ作品「もえくり」は、ルールこそターン制戦略SLGですが、実際の見た目は、「LOV」「悠久の車輪」などのアーケードカードゲームのような印象を受けます。…というか、キャラクターの見た目や「主人公ユニットが倒されたら終了」というルールは、アーケード版「アクエリアンエイジ」と酷似しています。
部隊編成やユニット運用も、非常に「カードゲーム」的です。
6つの属性は「>>>>>>」という強力な有利不利があります。CPU対戦はまずレベル差でねじ伏せることは不可能なため、単色デッキは組みにくいし、単色デッキにした場合のアドバンテージもありません。
必然的に、属性がバラバラの幅広い運用をした方が強くなります。

戦略SLGでおなじみ「地形効果」も、ユニットの属性が大きく関わってきます。「もえくり」の地形は、各6属性で色分けされており、同属性なら移動力UP、苦手属性ならほとんど移動できなくなります。
序盤のメインストーリーは「アスファルト」に例えられるような無属性の地平だらけで、ユニットが作り出す地形効果以外は、ほとんど考慮する必要がありません。しかし、フリーバトルでは様々な地形が最初から設定されています。ユニットを自分の属性上に乗せないと、地形効果と相手のZOCの影響で一歩も動けないままボコられる事態になりかねません。

その他、「もえくり」では、考えなければならない要素が豊富にあります。その中には、従来の戦略SLGとは異なるルールも含まれています。
シミュレーションRPGツクールなど、従来のマス目型戦略SLGでは、移動→攻撃/スキルという順序で固定されており、(スパロボなど)ゲームによっては、移動後には出せないスキルもあります。
対して、「もえくり」では、移動・スキル・召喚(クリーチャーの場合は「帰還」)は、好きな順序で出せます。射程内に来た敵を叩いてから安全圏に逃げる…という戦術は基本ですし、「魔術師」などの後衛タイプのマスターは、召喚ユニットを盾にして限界いっぱいまで逃げる…なんて機雷戦法も使ってきます。

本当に、「もえくり」で考えなければいけない要素を上げていったら、誌面がいくつあっても足りません。
それらの豊富なシステムがしっかり練りこまれたバランスの上に成り立っているため、「慣れれば幅広い戦略が取れる」という本格さにも繋がっているのですが、その分、初心者・物忘れの激しい人・長時間プレイしなかった人には覚え(直さ)なければいけないことが多い短所にもなります。
何せ、マニュアルでも網羅できないほどの要素なのです。加えて、(2011年5月現在)「もえくり」のWikiや攻略資料集は作られていません。肝心の情報などは、ゲーム画面で確認して覚え続けなければいけません。

「ミスに不寛容」なのも、このゲームが「初心者」に不向きな点です。普通の戦略SLGは、攻撃前なら移動のキャンセルができますが、移動・攻撃が完全に分割されている「もえくり」では、移動を取り消すことができません。
クリックミスで移動先が1マスずれただけで、攻撃が届かなかったり、逆に味方まで巻き込んだりして、丸々1ターンが無駄になる事態さえ起こりうるのです。
1ステージのプレイ時間が短いので、「降参」でやり直す方法でも充分ですが、やっぱりアンドゥ機能は欲しいと思いましたね。個人的に。

初心者向けに、最初のステージは易しめで、ちょっとミスしても余裕で勝てる程の難易度になっています。しかし、そのままの気分で2,3ステージ進めると、途端にバランスがカツカツになり、1つのミスで「降参」の余地もないほどの敗北につながります。
対処のためには、フリーステージでユニットのレベルを上げ、ストックを増やすこと、マニュアルとゲーム画面を隅から隅まで見てプレイヤー自身のレベルを上げること、双方が必要不可欠になります。ユニットのレベルや個体数はいずれカンストするため、必然的にプレイヤー自身のレベルアップが重要になります。

決して、このゲームが面白くないわけではありません。理解すればするほど味が出てくる絶妙なバランス、ユニットを「コレクト」するというヤリコミ要素など、長く遊べば遊ぶほど面白いゲームです。
ただし、対人戦が主なゲームと同様、「敗北に耐えられない人には辛い」作品であることも確かです。マニュアルにも「負け回数を記録したくない方」への対策が「小ネタ」にわざわざ書かれているくらいです。
正直言って「勝ち負けにこだわる」ようなカツカツさは、この「もえくり」には不向きです。負けても経験値やBPは手に入ります。「勝っても負けても恨みっこなし」というスポーツマンシップこそ、この「もえくり」をプレイするのに必須なのかもしれません。
そう思えば、美少女イラストばかりという軟派なグラフィックスも「そう肩ひじ張るなよ」というメッセージに見えてきます。

<ES的蛇足>
「もえくり」では、OGG形式の楽曲をBGMに利用しています。ただし、DLLとの相性問題で、通常ではBGMが鳴らない環境も出てきます。
(…というか、私のPCがその「通常ではBGMが鳴らない環境」でした。「サウンド」の評価が低めなのも、そのせいです。)
そういう場合は、「設定」で音楽再生を「その2」(OGGをWAVに変換してから再生)に変更しましょう。起動時間が長くなる欠点がありますが、ほぼ確実にBGMを鳴らすことができます。
「その2」に変更したらフリーズした…という場合は、config.iniをテキストエディタで開いて、「OTO=0」を「OTO=1」に変更して「もえくり」を再起動すれば、設定が反映されます。

 《 銅たぬき 》  ハマリ度:7 グラフィック:10 サウンド:8

十分燃えます

一般的なカテゴリとしては「シミュレーション」に当たりますが、私にとってのカテゴリは「カードゲーム」でした。
もちろん属性による相克関係、地形・天候によるボーナス/オーナス、ZOC、範囲攻撃などが入っておりシミュレーションとして非常に凝ったつくりになっています。
あと、高さの概念が加わったら戦術シミュレーションとしての要素はほぼ網羅したといえるでしょう。

しかしなんといってもこのゲームで最も魅力的なのは130体の個性あふれるクリーチャーたちです。
すべてが異なる能力・スキル・(絵)を持っており、さらには組み合わせることでコンボとして機能するものもいます。

コンボを狙わなくても、
軽量クリーチャーを集めて速攻戦術を取るのか、
1体だけで場を制圧できる重量クリーチャーの召喚まで耐える戦術を取るのか、
多属性を揃えてどんな属性にも対応できるようにするのか、
あえて単属性に絞って、同一属性クリーチャー召喚数が3以上で発生するボーナスを狙うのか、
等々、いろいろな戦術が立てられます。
この130のクリーチャープールから6体を選び、さらにはスキルをカスタマイズして最強の戦術を作るのがこのゲームの醍醐味と感じました。

ちなみに戦術を重視したい人はレベル50のカンスト状態でプレイしましょう。クリア後の「うらめん」とか。
どんな戦術もレベル差が大きければねじ伏せられますから。

えっ「萌え」ですか?
そんなものは飾りであります。偉い人にはそれが(略
いや「僕は気に入った娘たちとキャッキャウフフしたいんだ」という動機で組んでもいいと思いますよ?(遠い目)

というわけで全体評点です。

ハマリ度 7/10
カードゲーム的な要素を持つゆえにあらかたのクリーチャーが揃い、大体勝てる戦術ができてしまうとプレイのモチベーションが上がらなくなる点、ストーリーが一切ない点でハマリ度は若干低めにしました。
「NPCを守る」とか「規定の場所に脱出する」とか「主人公のそっくりさんと戦う」といったステージがあるので簡単にでもストーリーがあるとより良かったかなと思います。
ストーリーやバックグラウンドはプレイヤーの皆さんで脳内補完だぜ!
グラフィック 10/10
130体全てのクリーチャー+ファミリア+マスターすべてに立ち絵とユニット絵がついており文句なく10点でしょう。
えっ「たんころりん」ですか?ほら枯れ木も山の うぁなにをすqwえrt。
サウンド 8/10
編成→戦闘→編成でBGMとしては単調になりやすいのですが、戦闘パートBGMが複数用意されており飽きがこないように工夫されています。
蛇足:「ぼくのかんがえるこんぼでっき」
攻撃能力はバカ高なのに、1ターンに移動と攻撃の片方しか行えないデメリット「鈍足」持ちの軻遇突智から疫病神のスキル「スキルトレード」で「鈍足」を引っこ抜いて(もちろん疫病神のデメリットはあらかじめ相手に押し付けておく)アスラの1ターンに2回移動・攻撃ができる「倍速」を付与する。
今まさに軻遇突智無双が始まるぜ!
浪漫溢れるコンボですが、実際はあまりに手間がかかりすぎるため役に立たない…。

 《 kiliko 》  ハマリ度:9 グラフィック:8 サウンド:8

 ポケモンとか、スパロボとか、あと萌え要素とか。

■概要

 もえくりは、プレイヤーの分身であるマスターと、マスターの召喚するクリーチャー(なぜか愛らしい女子の姿)を操り、ひたすら勝利を目指すストイックな戦略SLGです。今ジャンルを確認したら戦術SLGと書いてありましたが、書いてる人には戦略と戦術の違いがよくわかりません。ごめん。
 萌え要素とか言っておきながらストイックとか名乗る資格はねえ、と仰られるかもしれませんが、そこはそれ、やってみれば頷いて貰えると思いますので、ここでは説明しません。上記した作品群をお気に召す方ならば、きっと楽しんでプレイすることが出来るはずです。

 ゲーム性に関していくらか踏み込んでみますと、ルールはステージクリア形式、勝利条件はステージに寄りますが、その多くは「マスターの撃破」、こちらの敗北条件もマスターの死亡とされているのが概ねです。フリーマップが搭載されているため経験値稼ぎなどは自由、いわゆる詰みの状況になることはまず皆無と言って良いでしょう。

 ステージには、マスターと、最大6人の仲魔ことクリーチャーたちと共に挑むこととなります。
 ところが、このクリーチャー、初めからマップに並んでいるのではなく、召喚しなければ一緒に戦ってくれません。たぶん、そういう契約なんでしょう。ぼくと契約して魔法少女になってよ!

 閑話休題。
 マスターが1ターンに召喚出来るクリーチャーは1体、おまけに召喚するにはマスターのSPなるポイントを消費するので、考えなしに戦っているとあっさりジリ貧です。なぜなら、クリーチャーもまたSPなるポイントを消費して技を使うのですが、このSPが0になると死んでしまうので、定期的にマスターの元に「帰還」して休憩させなければなりません。そして、再び戦わせるには再度の召喚が必要です。帰還させずしてクリーチャーのSPを回復する技を使えるクリーチャーも、いるにはいるのですが。
 マスターは毎ターン、雀の涙ほどではありますがSPが回復するので、これを頼りに頑張りましょう。あんまり頼れませんが。

 して、クリーチャーの召喚に際しては、重いクリーチャーほどSPを多く消費し、長いターン数を要します。軽量級のクリーチャーならば即時召喚が可能、しかし、重いクリーチャーは2ターン、3ターンと待たないといけません。
 前述した様に、一度召喚した強力なクリーチャーといえどもSPが切れたら帰還せざるを得ませんからね、また何ターンも待たされるなんてことにならないように、SP回復技を所有するクリーチャーをセットに組み込んでおくのが作法かと思われます。
 面白いですよねこの辺のシステム、こういったゲームでしたら二回行動とか出来るクリーチャーの方が強いのが当たり前、でも複数回行動したらその分SPが減るのですから燃費は鼻水が出るほど悪い、よってそういったクリーチャーを組み込んでおけば良いという訳でもない、そんなお話。

 さて、ここまでで粗方の仕様はさらったかと思われますが、あっさり流してる部分があるかも無いかもしれません、ごめんなさい。
 その、なんというか、マニュアルとかどうぞ。

 では、戦略部分には触れたので、次はそれ以外の部分に関して。
 ステージクリアする度に手に入るBPという通貨を利用してユニットを強化、技数の制限なども存在しておりますのでパーティーメンバーと相談して自分好みに調教改変、そんな育成要素が搭載されている次第、完全にストイックかと言われればやはり否ではありますが、そこはそれ、むしろこちらを楽しませてくれる要素でありますから喜んで受け入れたい所。
 ストーリーとかは特に無いですし、おまけに敵ユニットを撃破したら容赦なく「死亡」というメッセージがポップアップする始末、死亡って。容赦が無さすぎて濡れます。クリーチャーに人権は無ェと言わんばかりです。あんまりだよ! こんなのって無いよ!

■もっと楽しむ

 失敬を致しました。
 そんなこんなで「もえくり」は、ギャルゲーっぽい味付けをしつつも中々歯ごたえのあるSLG、と説明を済ませることが出来なくもないのです、が。
 このゲームの恐らく肝要な所、長い間プレイしたいと思わせる最大の動因、即ちハマり要素。
 プレイヤーにとって佳作か良作かの分かれ目となる一点。
 それは、「お気に入りのキャラあるいはパーティーに愛着を持ってひたすら育てたりしたい」というプレイヤーの衝動にあるものと考えられます。

 妖怪だか怪物だかになぞらえた物らしき名前を付けられた女子達の中から自分の「お気に入り」のキャラを見つけ出す、そういった積極的な姿勢でプレイしなければ、やっとクリアできたあああやったあああおしまい! とプレイを打ち切られてしまう可能性が無きにしもあらず。そもそも人格や性格設定はそれぞれのキャラに一切与えられていませんし、先に申しましたように、ストーリーも存在していないという体ですので。
 そんな状況で果たしてキャラ萌えなど出来ようものか? と疑問に思われる御仁もいらっしゃることと存じますが、そこはご安心、何の問題もなく(と自信満々に言ってますがぼく個人の勝手な思いつきです)これらのキャラクターに愛着を持てるのですよ。

 例えば私のような設定厨の手にかかれば。
 それはもうWiz世代も真っ青になるほどの勢いで。
 そもそも、女の子の絵が付随するユニットは、セリフを喋ってくれるわけでもないので、ただのユニットに過ぎません。
 つまり、記号です。性能の数字に大なり小なり差異の与えられた記号でしかありません。冷静に見れば、それを一つのキャラクターとして見るのは難しい感が無いでもないのです、ゆえに、頭のネジを緩めてプレイしてみるが吉というもの。

 持ってる杖がなんだかそれっぽいので魔法少女☆まじかるノームとか名づけてみたり、雪ん子と一緒に作ったかまくらの中で七輪でおもち焼きたいとか、弥々子の見た目がそこはかとなく巫女っぽいからてっきり狐かと思いこんでたんだけどなんか尻尾ぴょろっとしてるから猫? 猫なの? ね、ねこー! ねこだいすき! とか、まあ、そんな感じで、勝手に自分の脳みその中でキャラ付けしてみれば良いんだと思います。設定が無い? なら自分で付ければいいじゃない。と、まあ、そんな精神で。

 でも、あまり人様の前で公言しない方が良いだろうな、と、ここまで書いて、思いました。
 プレイ意欲の向上に少しでも役立てば幸いにて。
 一段とクリーチャーたちに愛着を持てることだけは、無駄に保証させて頂きます。

■ハマリ度:9/10
 上の方でだいぶ頭のおかしいことを申し上げてきましたが、特段、頭がおかしくなくても、プレイ意欲を促進する要素は存在致します。
 まず、育成要素。何より敵を育てたいキャラで倒さなくても育てられるということがありがたい。どれだけ弱いお気に入りの娘も、セットさえしておけば経験値が入ってきますので、愛さえあれば無問題。
 そして、収集要素。最初から全てのキャラを使える訳ではなく、ステージを進めていく内に獲得したり、BPを消費して身請けしたり。お気に入りの娘を血眼になって探し回るのも一興、それぞれのユニットに異なる特性が付随しますので収集家魂を煽ってくれる塩梅。
 ユーザーインターフェイスに問題は見受けられず、さくさく遊べる上に、各種オプションも完備。説明書を見ずにゲームを始める私のようなものぐさでも問題なく遊べる事は高ポイント。
 属性相性などもちょっと遊んでいる内に明快に理解可能、難易度も歯ごたえがあるものですが程々に収められ、実に良心的であると言えます。
 強いて難があるとすれば、プレイする人間の性癖によって勧められるか否かは大幅にブレる、ということです。娘っ子とかどうでもいいんだ筋肉持ってこい、とか言われたらお手上げですし。
 そんな訳で、個人的な点数としては9点を付けさせていただきました。
 息抜き程度に1ステージ、そんなプレイスタイルに何ら問題が見当たらない気軽さが素敵に楽しいです。
■グラフィック:8/10
 プレイ意欲を引き上げる物として十分な質と量であろうという判断により、8点をば。
 この絵かわいいなー、と自然に受け入れられる具合ですが、やはり萌え絵ですので、合うかどうかは人に寄ります。
 その手の輩であるところの私にとっては無問題、しかしダメな人にはやはりダメなのかもしんないです。
 でも、絵だけで敬遠しちゃうのはちょっと勿体無いなあとも思いますです。
■サウンド:8/10
 ストーリーが存在しないため、場面との相乗効果などは望みがたく、記憶に克明に残るほどではありません──と言いたい所ではありますが、最終面は反則だと思う。
 そこの所はさて置いても、全体的に聴き心地の良い曲が揃えられていると思います。総じて優等生、という評価が正しいのではないかと。
 確かフリー素材? ですよね。違ったらごめんなさい。
 ボスっぽい相手には重々しい曲を、そういった使い分けは成されているので違和感を来たすことはほとんど無いと思われます。

 クリア後要素? もちろんあるよ^q^

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