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■ 星空プリエール

星空プリエール
作者 [ くりちほ さま ]
ジャンル [ 百合?コメディ?正統派?RPG ]
容量・圧縮形式 [ 861MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

(補足)
2021.09.23:現在の最新バージョンは1.11

星空プリエール 星空プリエール 星空プリエール 星空プリエール 星空プリエール 星空プリエール

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 9 /10 8 /10 50/60 B
赤松弥太郎 8 /10 8 /10 9 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:8

運命<セーブ&リセット>を操れ

本日のイチオシ「星空プリエール」、オープニングから襲い来るベイリーの蛮行にヒいた方もいるでしょう。
本作は、そのストーリー面のアクの強さを持って、ゲーム面での難易度に耐えられる人を選別する、あえて好みを分けさせる作りになっています。
それほど、ゲーム面の難易度は、何の対策も施さないと即座に全滅する、対策さえ完璧なら割と楽レベルに設定されています。

本作の問題は、この「対策」が取りづらい仕様になっている点です。エネミーのステータス・耐性・傾向は、戦闘画面の「敵の情報」やメニュー画面の「アイテム(左から2枚目のフラスコ)>スマート本」で分かりやすくまとめられていますが、問題は「これらの情報は戦闘に突入しないと閲覧できない」という点です。
他の難易度高めのRPGならば、ボス戦前に耐性・傾向などを記した看板などが立っていて、そこで対策が取れます。しかし本作では、戦闘画面に突入しないと敵の情報が得られないため、入手した直後ではメンバー交代以外の対策が取れません。装備面・スキル面で対策を立て直すためには、全滅かF5(リセット)で戦闘前に戻るしかないのです。
本作では「対策」で考えるべき装備・スキルも豊富に揃っており、それらをメニューから取捨選択する楽しくとも重い作業が必要となります。豊富なストックから耐性・ステータス上昇量ともに必要十分な装備を選別し、ボスキャラの必殺攻撃を打ち消せるスキルをCPと相談してデッキセット、そもそもレベルが足りているのか…本作は敗因となるべき要素も膨大、その対策も膨大、その調整に使う時間も膨大と、ストーリー本編・戦闘本編よりも事前準備に時間を使うRPGなのです。

そんな膨大なシステムの中に、更に「仲間」まで膨大になる「冒険者ギルド」まであるのです。しかし、この「冒険者ギルド」の役割は、ぶっちゃけ「やり込み要素」でしかありません。大抵の対策はスタメン…特に主人公のプリカとベイリーで事足りるためです。

ストーリーで仲間になるキャラだけでも「不足のないパーティ構成」になっています。この中で更に「冒険者ギルド」で仲間を増やすとなると、かなり管理しづらくなります。ギルドの仲間も、(スタメンと同じく)装備はこちら持ちですし、(スタメンと同じく)戦闘や経験値鉢での育成も必要です。
ギルドの仲間には「レアリティ」が存在し、レアリティの高い仲間ほど強い…と思われがちですが、そんなことはありません。むしろ、レアリティの高い仲間は「アンデッド特性を持つため、HPが0になっても活動できるが、アイテムやスキルでは回復できない」など長所短所ともに厄介な特性を持つキャラばかりで、扱いやすさという意味ではむしろ難易度が高くなっています。

本作は、ストーリーのみならず隠し要素も膨大で、なおかつ隠し要素は本編よりも難易度が高く対策の取りづらいダンジョン・戦闘ばかりです。何しろ、一番大事な「適正レベル」が全く分からない状態で挑まざるを得ないので。
膨大なやり込み要素を含めて「試行錯誤を楽しめる」方には、本作は打ってつけと言えるでしょう。私もそうでした。そして「ゲームにあまり時間を割けない」という方には、本作は勧めづらい作品です。私もそうでした。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:9

この愛をだれにあげよう あなたにはあげない

 楽屋裏開放まででタイムアップ。ここまでで20時間、もう少し遊びたかったところですが、なかなか満喫できました。

 本作の最大の魅力を一言で言えば、お気軽さでしょうか。
 スナック感覚でポリポリいけるゲームです。
 ちょっとしたスキマ時間、小腹が空いたからちょっとだけ囓るつもりで袋を開けて、気がついたら一袋食べきってた、みたいな中毒性のある作品です。

 そうです、決してガツンと腹に溜まるゲームではありません。
 システムはよく見慣れた構成で、斬新さはありません。ダンジョンもオーソドックスな作りです。
 ストーリーもほとんどお約束進行で意外性はなく、メタネタをしょっちゅうぶっ込んで来るので、のめり込める気がしません。
 テキストのほとんどが、仲間内のわちゃわちゃとした無駄口に費やされています。
 それが本作の良さなんです。
 どこまでもお気軽なノリを貫いくため、プレイヤーを深刻にさせないように徹底してます。

 まあ、さすがにボス戦は、お気軽に勝てちゃう、というわけには行きませんけれど。
 ただ本作、敵が強い以上に味方が強いので、そこまでストレスはありません。
 本作はスキルセット制で、味方がどんどん覚える強力なスキル群を、キャパシティの中でやりくりして組み立てるシステムです。
 各キャラのできることがかなり広いので、ヘンに偏らせなければ、割とどんな状況でも対応できるパーティが作れるはずです。
 自分がピンと来る、「これ!」と思うキャラでパーティを作っていきましょう。
 全滅ペナルティーがほとんど無いので、悩むくらいなら吶喊、どうしても無理ならザコで稼ごう! という割り切りでクリアできるはずです。

 どの仲間も強力ではありますが、スタメン最有力候補は、やはり主人公2人になるでしょう。

ベイリー  認めたくない気持ちでいっぱいですが……ベイリーはもう1人の主人公と呼ばざるをえないでしょう。
 プリカに年中無休でいやらしい視線を注ぎ、口を開けば看過できないセクハラ妄言の数々とあふれ出るフローラルな薫り、ととても乙女とは思えない立ち回りをしている彼女ですが。キスティス先生って言ったヤツ屋上
 「悪いやつではない……多分」とシステムにすら断言してもらえない彼女ですが。
 口先だけというか、実害をさほど出しているわけでも無いんですよね。
 むしろ、彼女のシナリオ面での貢献は多大なるものがあります。だいたいコイツのせいという意味で。
 基本的に悪意の薄い世界なので、彼女みたいに引っかき回してくれる人間がいないと、なかなか話が前に進まないんですよ。引っかき回しすぎて停滞することもあるけどね。

 クラス名がマッスルメイジ、使うスキルは筋肉魔法、重装備可能でメイン武器は斧……
 戦士だか魔術師だかわからないけど、ともかくアタッカーとしては超優秀で、パーティから外す理由がありません。
 何せこの筋肉魔法、火力も高い上に、装備する武器によって属性が変わるから全属性対応可能、という、他の誰にもできないことができちゃいます。
 敏捷性の低さだけはカバーしづらい欠点ですが、ターン制の本作ではさほど問題にはなりません。MPの低さは後々スキルでカバーできます。

 そしてこやつの真の問題点が、対プリカ専用セクハラスキルの数々。実際超有用なので本当に困る。
 「ガチレズウォール」は対プリカ専用かばうスキル、これがあるだけでプリカの生存力が段違いに上がります。後々パッシブ化すると、滅多なことではプリカに弾が飛んできません。
 それでも落とされてしまった時には、対プリカ専用蘇生スキル「まうすとぅ~まうす」がありま……毒食らってるんですけど。
 プリカがかわいそうなので、できれば使いたくないんですが、プリカとベイリー、どちらかが生きていればリカバリできるチャンスがあるというのは、正直に心強いです。
 これはもう、2人はペアにして運用しろ、というシステムからの強烈なメッセージだとしか言えません。

プリカ  プレイヤーがどう思うかはさておき、大切なのはプリカ当人の気持ちですよね。
 まあ、本当に良く付き合ってると思いますよ。大概のことにはきちんとツッコんでくれますもの。
 小さい村の社会で、こんな奴と幼少期から一緒に育ったプリカの認識が、すでに汚染されている懸念もあるわけですが。
 しかし、なんだかんだ言って強い拒絶反応もせず、仲良くしているのは間違いないです。

 彼女については、とても常識的なアコライトです。
 棍棒も一応装備はできますが、力がまるで伸びないため、中盤以降殴りアコは無理です。ラリアットできません。
 ヒーラーとしてはとても優秀で、パーティの大黒柱として活躍します。
 さらに敏捷性がとても高いので先制して回復可能です。パーティが崩れることを未然に防いでくれます。
 まあ、主人公がヒーラーだから、敵もそれに合わせて攻撃力高めに調整されてるのですけど。
 HPが低く、火力が出ないので、ベイリー込みで超優秀という評価になってきます。

 ベイリーにはプリカ専用スキルが多数あるけど、プリカの方はどうなのか、というと。
 ……実は、あります。超バフスキルが。
 プリカがちょっと応援しただけでも頑張っちゃうだろうベイリーが、もう完全にぶっ壊れてしまいます。
 ただし、このスキルを覚えるのはレベル的にクリア後、敵もそれなりにぶっ壊れてきているので、これのフル活用が求められます。めげずに頑張りましょう。

 本作には、彼女たち2人の他、ストーリー上仲間になる4人、さらに冒険者ギルドで仲間にできる30人、合計36人ものプレイヤーキャラがいます。
 それぞれの個性を活かし、人それぞれ、様々な戦略が立てられるはずです。多分。

 ごめんなさい、ボクはプリカとベイリー、リアン、サクヤ、チェルシーの5人しかまともに戦闘に出してないので、他のキャラのことはほとんどわかりません。
 他のキャラのプレイ感まで確かめようとしたら、20時間で済むわけがありません。
 でも。5人しか使わなくても、クリアできちゃうんです。
 やり込もうとすれば無限の組み合わせがありますが、本作はやり込まなくてもいいんです。

 それは別に、本作のプレイヤーキャラが没個性だという意味ではありません。
 本作のキャラは、それぞれできることが2つ3つあって、むしろ「できないこと」で差別化されてる印象があります。
 例えばベイリーは回復ができない。プリカは生存性能が低く火力がない。だから両者を組み合わせるとピッタリはまります。
 この2人を組み合わせても、バフができない、という欠点があります。だからボクはアタッカー兼サポーターのサクヤを組み合わせました。
 相手がバフを乗せたり、状態異常ばらまいたりする不安はありますが、そこは殺られる前に殺る方針でリアンを入れたり、稼ぎ目的でチェルシーを入れたりしたわけです。
 他のキャラの苦手をカバーすれば、自分の強みが生きるのです。
 4人を妙に偏らせなければ、自動的にだいたいバランスが取れるようになってます。

 本作は、ターン前にパーティ編成可能で、ベンチメンバーも即座に戦闘に出すことが可能です。
 このシステム自体は目新しくはない、既存のプラグインです。過去にメンバー交代を使いこなさないとクリアできない、キャラの個性を前面に出したゲームもレビューしたことがあります。
 じゃあ本作の場合どうなのか、というと。
 ボクの場合、戦闘中にメンバー交代したことがほとんどありません。
 上の5人以外のメンバーは装備も調えておらず、仮に戦闘に出したところで弾除けにしかならない有様でした。
 でも、クリアできちゃうんです。
 本作は控えメンバーを含む12人でパーティ編成できますが、その枠をフル活用しろという意味ではありません。
 いろんなメンバーがいた方が、色々試せて楽しいでしょう? という意味なんです。

 アイテム収拾も同じです。
 敵を倒した時に手に入る、ランダム宝箱にのめり込んでしまう気持ちはわかります。
 本作にはベイリンノートという、いわゆるアイテム図鑑要素があり、プリカとベイリーの夫婦漫才込みで楽しめる仕上がりになっています。
 しかしこれ、コンプリート特典は無い、オススメしないプレイスタイルだと明言されています。
 コンプリートしようとすると、ランダム宝箱から手に入れるしかないアイテムが多数あり、とっても時間が掛かってしまうのです。

 プレイスタイルによっては、これだけは手に入れておきたい、というアイテムもあるのかも知れません。
 でもだいたいの場合、強力なアイテムは、ランダム宝箱以外の入手手段があります。
 例えばボスのドロップだったり、イベントアイテムだったり、ザコの素ドロップだったりで手に入る装備は、その時点で必要不可欠な効果を発揮します。
 ランダムで手に入る装備がそれを上回ることはありますが、そこはあくまでプラスアルファの部分で、やり込まなくてもいいんです。

 まあ、ひとたびヤリコミを始めると、底なし沼のような懐の深さを持っていそうなのですが。
 さすがにボクはそこまで確かめるつもりはありませんよ!
 浅く表面を触っただけで気付いた部分の評点です。

ハマリ度 : 8 / 10
 細々としたバグが多め、特に図鑑の既読フラグバグはとても残念。本作の魅力のひとつをかなりスポイルしている。またメニューの使いづらさ、特にセーブを選ぶのが面倒くさい点もなんとかして欲しかったポイント。ぜひカーソルはループさせて欲しい。
 細かいことを気にせず楽しめるように調整している、そのバランス感覚はお見事。休日に一気にプレイするより、ちょっとした空き時間にちょこちょこプレイしていくと、前回躓いたポイントも乗り越えられていく感覚で楽しめた。
 ゲーム進行上ストレスになったのは、カギというオーソドックスなシステムを使った結果、最後のカギを手に入れる頃には、どこに対応する扉があったか覚えていない、という古典的問題も引き継いでしまっている点くらい。
グラフィック : 8 / 10
 ゆうひな立ち絵に地獄カバ敵グラと、よく見覚えのある安定感ある素材選び。キャラドットの解像度が揃っていないのは仕方のないところ。
 メニュー画面のグラフィックは、よく考えられて整えられている。
サウンド : 9 / 10
 これも安定した選曲だが、昔懐かしのRTP楽曲のリミックスから最近の曲まで、振り幅があるのは楽しめるポイント。
 雰囲気のあるマップ曲は、エンカウントを避けたくなる心理効果もあって良い。

 個人製作は、ともすると力を込めた作品を作ってしまいたくなるところで、プレイヤーに気軽さを与えるのはとても大切なことだ、と気付かされました。
 気軽さを楽しむためにも、余裕を持ってプレイしましょ。

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