■ モックバトル
作者 [ もつく さま ] ジャンル [ アクションRPG ] 容量・圧縮形式 [ 20MB・ZIP ] 製作ツール [ HSP ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 現在の最新バージョンは3.34 (2018.07.15) ] 配布元
- (補足)
- 2023.04.14:現在、本作の配信は終了しています。
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 9 /10 8 /10 8 /10 50/60 赤松弥太郎 9 /10 8 /10 8 /10
棒人間からアーマーへ。次はどうなる…?
今月のイチオシ「モックバトル」は、かつての大人気シリーズ「ロックマンEXE」のバトルシステムを応用し、カードゲームのデッキ構築を組み合わせた作品です。
私が実際にコレ系のゲームに触れたのは、1年ちょっと前のイチオシレビュー「お怒り信長」が初めてでした。
ボッコンボッコンに潰された思い出しかない「お怒り信長」を踏まえてしまい、正直、第一印象は戦々恐々としていました。
しかし、実際に触れると、かなりマイルドに楽しむことができる作品になっていました。
- 敵の攻撃判定が見て分かる
- スキルが出せない場合も、無条件で出せるショットでフォローができる
- ダメージがかさんでも、ボタン一発の帰還や勝利時に回復できる敵の存在で、それほど損害はない
- なおかつ、序盤はダメージは抑えめで、ある程度ゴリ押ししながらプレイ感覚を学べる
それでいて、スキルを鍛えることで得られるご褒美も豊富です。
- ダメージを少なく、そして早くバトルを終了することで、ドロップ品が豪華になる
- 敵の攻撃モーション中にスキルを当てることで「カウンター」が発生。敵をスタンさせる利点のほか、カウンターで止めを刺せばモックシードが手に入る
- 時々バトルフィールドに出現するアイテムを壊さずにバトルを終了できれば、さらに豪華なドロップ品が手に入る
- 1章中盤に解放される「ピースフュージョン」で、漫然とスキルを投げるのではなく、手札を整えることも重要になっていく
- ビティの攻撃は遅めで当たり判定が分かりやすいものの、ストーリーモードのボスや対人戦は自分と同じ攻撃速度で襲ってくるため、読み合いがより重要になる
プレイを進めていくごとに、段階的にスキルを得られる構成になっています。
ストーリーは現在(Ver.3.34: 2018.07.15版)では2章までと短めですが、クリア後専用の高難易度ステージがプレイヤーを待っています。
そして、本作の本質はWeb対戦にあります。序盤から使えるデッキ固定の「オタメシタイセン」から、上級者がひしめく「マッチング」まで、本作を第2章以降も楽しめた方なら、もっと楽しめること間違いなしのモードです。1章中盤で「ピースフュージョン」「C.O.S.」とシステムの追加が多く、それ以外にもモブとの会話の中で軽く流されてしまう「重要な情報」が数多くあります。
そんな場合は、ゲーム内のメニューからソーシャル→ハルキメモで、主人公のハルキ自身がより詳細に分かりやすくまとめてくれます。それ以上の…ピースフュージョンの組み合わせなどの「ネタバレ」に該当する情報も、公式HPである「モックバトルwiki」に分かりやすく記載されています。
- ハマリ度: 9/10
- 先述の通り、間口が広く、上級者向けのやり込み要素もそろっている点で申し分ない。
1点の減点は、やはりストーリーの短さ。ここは後の更新で期待したいところ。- グラフィック: 8/10
- すべてオリジナル素材で、複数名が参加している。
バージョンが上がるたびに、実はグラフィックは大きく変わっている。プレイヤーの歩行グラも今のようなロックマンEXE風になったのはたった10か月前の話。
この1か月で追加された3.33→3.34のアップデートでも、地上マップの追加・顔グラの高精細化など、かなりグラフィックの質が上がっている。
ただ、グラフィックが高精細になったことで、デッキのアイコンが逆に見づらくなった印象も受ける。ここも後の更新で調整してほしい所。- サウンド: 8/10
- こちらも全てオリジナル素材。
ロックマンEXEの時代(2000年代)よりレトロな印象を受ける楽曲が多く、ともすれば耳障りに聞こえる点が難点か。もう少しバリエーションが欲しい所だが、今後のストーリー追加で間違いなく追加されるであろう。しかし、本作をきっかけに久しぶりに「お怒り信長」をやり直したわけですが、本作と見比べてみると、
- 属性の表示が1秒ほど出た後、当たり判定への警告もなしにノータイムで攻撃
- 初期500の最大HPに対し、最弱のザコが平気で100~200のダメージを放ってくる
- 普通に数分歩き回るだけで満杯になるストックが、最初のダンジョンクリアまで増やせない
…という「お怒り信長」の仕様は、やはりユーザフレンドリーとは程遠いなぁ…と改めて感じました。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:9 グラフィック:8 サウンド:8
くすぐったいほど夢が 胸の中で踊ってる
更新履歴を見ると、ここ1年間の本作の進捗には驚かされます。
もちろん、バトルシステムの練り上げに努めてきた、それまでの時間があったからこその躍進です。あとはアドベンチャーパートを作れば完成できるところまで来ています。
ストーリーは、まだまだ始まったばかりですが、2章に入ってキャラクターの数も揃ってきました。いよいよ盛り上がっていくところです。
さて。
キャラクターの数が揃ってきた今、気になるのはヒロインレースですね。
それはもう、数々の魅力的なキャラクターが、プレイヤーの目を惑わせてくれるのです、が。
肝心のハルキ君が完全なモックバトル脳、色恋にまるで関心がなさそうなのが大問題です。
このまま進んでしまうとヒロインは、あのおっさんに決まってしまいます。
紹介しましょう。現在のヒロインレーストップ、アキラさんです。
ハルキたちが住む学生寮・レンゲ荘の管理人。その実態は重度のモックバトル廃人。
「俺は無敵だからな」が口癖で実際無敵、という、かなりどうしようもない実力を持っています。
ハルキはアキラを師匠と呼んで慕っており、一方アキラもハルキを一番見込みのある弟子として可愛がっている、という関係。
2人が顔を合わせると、ただちに無駄に暑苦しい男の世界が展開されます。
ハルキから見て最も近い関係にある人間です、間違いなく。
しかし、やられたフリをして退場、ハルキの実力を見るような大人の汚さを、堂々とネタばらししながら行使してくるのは、どうか。
いや、ハルキ君の心証としてはまったく問題ありません。お互いに「わかってて」やってるノリは、もはや夫婦にすら見えてくるので、末永くイチャイチャしてればいいと思います。
問題は、あまりの強キャラオーラに、狼少年効果まで加わってしまって、早くも負ける気がしないことです。
だって、師匠ですら傷つき倒れてしまった絶体絶命の状況、師匠を超えなければ師匠を助けることはできない! ヒロインを救え!! というのが王道展開というものでしょう?
アキラの場合、よほど説得力のある状況でないと、「どうせ手を抜いてただけ、本気なら勝てただろう」と思われてしまい、フラグが立たないのですよ。
なんにせよ、なんらかの形で師匠越えイベントはあるはずですから、どういう仕込みをしてくるか、今から楽しみなところです。
このように、難点は若干あるものの、現在のヒロインレースはアキラが一歩抜き出た形です。
しかし、ハルキとアキラのカップリングなんて、あまりにも暑苦しいしホモホモしい。ボクとしては正直食傷ですよ。
一応曲がりなりにも男子高校生なんだし、もうちょっと華のあるお付き合いを夢見てもいいんじゃありませんか?
他のヒロイン候補のみなさんにも奮起を促したいところです。阻止しなきゃダメだぞ!
ボクが一番心配していて、より一層の奮起を促したいのが彼、ミキトですよ。
設定上はハルキのライバルにして同級生、頭脳派のクールガイ……ということらしいですが。
対戦しても(控えめに言って)強くないし、超高校生級の頭脳というわけでもない。ハルキの人付き合いは広く浅く、その中でのミキトの優位は全くありません。
第2章にして既に影が薄いというのは、あまりにも危機的状況と言えます。
このままでは解説役になることすらおぼつかないでしょう。貴重なさわやか青年なのに!
かといって、今時点でミキトに打てる手があるのか、というと……非常に厳しいものがあります。
導入用のキャラとして、現状はとても妥当なバランスに仕上がっています。これ以上初期状態を強くするわけにはいかないでしょう。
しかし、ハルキのまわりの人間が全員モックバトル脳で、どこまでも突っ走っていってしまう現状、(比較的)目配りのできる彼のポジションは非常に貴重です。なんとか堅守してもらいたい。
くれぐれも、途中でフェードアウトしたり、再起不能になったり、悪堕ちしたりしないように……残念ながら、その可能性は高いと考えられます。こればっかりは祈るしかありません。
ピンク髪のメインヒロイン候補、サクラは……頑張っているんですけどね。
ハルキに趣味を合わせるために、モックバトルを始めようとした矢先に誘拐される、という流れは、まさにメインヒロインの動きなのですが。
しかし、あまりに受け身すぎるせいで、色恋にはまったく鈍感なハルキにはまったく通用していません。
一言でいうと、アピール不足。
アキラの独走を許している原因は、かなりの部分ミキトとサクラの不甲斐なさにあるので、どうしても評価は厳しくなってしまいます。
具体的にどこが悪いのか、開幕早々、モックバトルを始めるまでの流れを見てみましょうか。
ハルキの勉強を心配して、注意するものの、ハルキはどこ吹く風で、かえってサクラにモックバトルを勧めてくる、というシーン。
おそらくこのシーンは、サクラがハルキの友人である以上、今まで何度となく繰り返されてきた日常だったはずです。
それが、今日に限ってサクラが、モックバトルを始めると決意した瞬間、本作の物語が始まる。非日常にシフトする瞬間なんですよ。
その決定的なシーンを、「うーん…ハルキくんが言うなら…」で済ませてしまうのは、まったくもったいない。
多少ためを作って、悩んでいるようなそぶりを見せた程度では、男心はなびきません。言葉と態度に出しましょう。
例えば、「ハルキくんはいっつもそれだよね……」とため息をついてから、改めて「ハルキくん。私にもモックバトル、教えてくれる?」と言い直す、とかでもいいと思います。
いくら鈍感のハルキでも、(なんで今日に限って積極的なんだ……?)と疑問に思う、それだけの積み重ねがあるはずなんですよ。
「ハルキくんに言われたから(仕方なく)」ではなく、「自分の意志で(ハルキくんに近づきたいから)」モックバトルを始めたんだ、というアピールが、どうにも不足しているのですよね。
まだまだ挽回は十分できるポジションだと思います。
カエデからのサポートもフルに活用して、なんとかインパクトのある活躍をしてもらいたいです。
一方こちらはサブヒロイン候補、カエデ。この娘は安定感があって安心できますね。
ハルキ・ミキトとは喧嘩友達といった感じで、前からモックバトルをしていました。実力はミキトより上です。ミキト……。
一方でサクラとも仲良しの友達同士で、サクラがハルキに寄せている好意についても、感づいている描写があります。恋のキューピッドポジションというわけ。
しかしそれは、苦労人ポジションということでもありますがね。
ラーメン屋のバイトをしながら、高校生活に、モックバトルに、いつも全力で取り組んでいるカエデは、間違いなく努力家です。
その努力が恋愛でも報われると良いのですが……
どうやら彼女、アキラが好きらしいんです。
とはいえ、彼の前だと固まってしまって、アプローチらしいことも何もできず、おそらくその気持ちに誰も気付いていない、という哀しい状況になってしまっています。
でも、仮にアプローチが上手くいっても、ゴールできる未来が見えないんですよ……相手が悪いとしかいいようがない。
いつかは傷つく報われぬ恋だとして、それを止めることはボクにはできません。
ただ、傷ついた彼女の側に、その時誰がいるのか、それは気になるところです。ハルキじゃない気がするのですが。
そして、満を持して第2章から登場したのが、ハルキの妹、コハルです。
普段は実家暮らしのコハルですが、ハルキのモックバトル大会を応援するため、レンゲ荘にやって来ました。一週間間違えて。
出迎えがないとぐずってみたり、暖房の付け方がわからないと呼びつけたりする、手の掛かる妹ですが、ハルキは邪険にはしていません。お兄ちゃんですから。
モックバトルもハルキの練習台になる程度に強いですし、何より料理上手なのがズルいポイント。
身内に料理上手がいると、参入障壁がすごく高くなるんですよ。
こうしてハルキは、順調にコハル好みに餌付けされていくのでした。
妹というだけでも相当なアドバンテージがありますし、十分すぎるヒロイン力の持ち主です。
当然支持する人も多かろうと思いますがしかし、ボクには気になることがあります。
ハルキがアキラの話をすると、「ああ……ハルにいの大好きなアキラ師匠ね」「アリだと思うよ私は」などと供述しており……
シャア、謀ったな! シャアァァァ!!
高校生とは思えないあどけなさも垣間見えるハルキの今後が、みなさんもだいぶ不安になってきたかと思います。
ここで取り上げなかったキャラも沢山います。まだまだ物語は始まったばかりですから、見守ろうじゃありませんか。
そういう意味でも、そうじゃない意味でも、今後が楽しみな作品に違いありません。
- ハマリ度 : 9 / 10
- システムは現状でも十分に練り上がっている。今後のロイドトランスやピースの追加が楽しみ。
先月のアップデートで、現実世界マップが複数追加され、「今日も(リアルでは)部屋から一歩も出なかったよ……」という悲しみは過去のものになった。世界観にも広がりが出ている。ぜひ完結を。- グラフィック : 8 / 10
- 棒人間を卒業して1年足らず、クォータービューになって半年あまりとはとても思えない発展ぶり。先月の更新でもグラフィックが刷新され、ピース画像も綺麗になったが、アイコンサイズではわかりづらくなってしまった。細かい調整を繰り返せばさらに良くなると期待できる。
モックロイドは個人判別しづらいから顔アイコンを出している、と設定で明記されているのだし、表情差分があればより一層はかどる。- サウンド : 8 / 10
- 音色といい、音質といい、曲調といい、実に「それ」っぽい。強いこだわりが感じられる反面、「それ」に思い入れのない身としては、長時間イヤホンで聴くのがややつらい。
お怒り信長と比べた時に、ゲージ満タン音が無いだけで、ここまでプレイ感が変わるのかと驚く。ピースへの依存度が高い本作の場合、視覚だけで使用可能になったか判断するのは厳しい。ボクはロックマンエグゼをプレイしたことはないのですが、本作は独立した作品として評価できる水準にあると感じています。
だからこそ、ぜひ完結を。完結したときにこの作品は、「オリジナル」の「モック」バトルとなることでしょう。