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■ ラハと魔法の園 - the graystory -

ラハと魔法の園
作者 [ kotonoha* さま ]
ジャンル [ ファンタジーRPG ]
容量・圧縮形式 [ 153MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ Ver1.25時点のレビュー ]
配布元 ダウンロード先

(補足)
2018.02.14:作者様HPへのリンクを変更
2019.11.23:現在の最新バージョンは3.02です。

ラハと魔法の園 ラハと魔法の園 ラハと魔法の園 ラハと魔法の園

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 9 /10 8 /10 9 /10 75/90 B
hoikoro 8 /10 8 /10 9 /10
赤松弥太郎 8 /10 8 /10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:9 グラフィック:8 サウンド:9

魔法の園は、生きている。

本日のイチオシ「ラハと魔法の園」は、オーソドックスながら先が気になるストーリーが特徴の一つとなる作品です。
OPで語られる戦い、そこから繋がる、魔法学園に流れ着いたラハの謎、そして、ラハが成長する中で培われる学友たちの絆…。
ピンチにつくピンチと、それを自らの手で解決するカタルシスが次々と味わえる、上質のエンターティメントとなっています。

しかし、そのピンチを解決する戦闘や謎解きは、意外にギリギリのバランスになっています。戦闘のバランスはオープニング時に調整できますが、なんと、最も高い難易度に「ノーマル」と名付けています。もっとも簡単な「ドラマ」にすれば戦闘はほぼスキップも同然になりますが、属性関係や状態異常を使いこなしたい魔術師タイプのプレイヤーは、ぜひとも「ノーマル」で挑戦してみましょう。
属性・状態異常の弱点耐性については、レギュラーキャラのチャタが持つ「ズム・チャタ・チェック」である程度分かります。特にボスキャラほか厄介な防御魔法を使う敵については「ズム・チャタ・チェック」のヒントが必要不可欠になります。初めて見る敵には、必ず掛けておきましょう。

そう、このチャタを始め、仲間になるキャラクターは、戦闘面でもストーリー面でも「心の友」となるよう、しっかりと設定が考えられてあります。
本作のホームページを初めて見たときはびっくりしました。仲間となるキャラのみならず、魔法学園で生活する人々、その全てに対し、膨大な設定が記載されていたのです。
「自由行動で話すだけで、特にイベントシーンには関わらない」レベルの人さえ、どういう背景があって、何が得意で、どんな性格で、どんなふうに困ったちゃんかが、余すことなく記載されています。
本作のワクワクするストーリーは、ここから始まる緻密な設定によるものだと感じざるを得ませんでした。

本作には、戦闘とストーリーだけでなく、謎解きも出てきます。特に、3章の謎解きは中々に変化球でした。最後の謎解きは、ラストバトルが意外にてこずり、「あれっ、答え間違えたかな?」と一度リセットしてしまったほどです。
難易度の山場となるのは、この3章と次の4章でのB級昇格試験でしょう。その後はクライマックスに向けて、ストーリー中心の展開となります。
ただし、普通にクリアした後にも、評価満点クリアという関門が待っています。これは、序盤から積極的にイベントを起こしていかないといけません。まず初見では無理なので、2週目のお楽しみとしておきましょう。ストーリー展開も、評価満点クリアは2週目前提として作られています。

とにもかくにも、ストーリーと多彩なキャラクターで魅せる作品です。
間もなく公開される次回作「Choice×Crisis」は、「ラハと魔法の園」とは世界観が異なる作品ですが、こちらもストーリーと一風変わった戦闘が楽しみです。作者様のサイトには、他にも多数の短編作があり、本作のキャラクターを使ったスピンオフにも期待したいところです。

 《 hoikoro 》  ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:9

今回は【ラハと魔法の園 ~the graystory~】というゲームをプレイいたしました。
ストーリーに重きが置かれており、短編というよりもやや重みのあるほど良いボリュームのRPGといった感じです。

本作品では設定がかなりしっかりと積み立てられており、しっかり全貌を隅々まで見つめるようにプレイするとかなりの総量のテキストが存在します。
あやふやなままの設定が少なく、魔法の存在する世界としての常識や思想が豊富なテキストからはっきりと伺えます。
狭い学校内(といってもかなり広いですが)のみで繰り広げられる舞台でありながらも、外の世界がどのような情勢であるのかが想像できるため
ファンタジーとして高い魅力を持っています。

難易度設定があるためか、ノーマルの難易度が意外に高く、レベリングや装備を適当にするとかなり苦戦します。
特に序盤はかなりきつい戦闘を強いられるため、先生を憎みながら適切にレベリングを行いましょう。

ストーリーとしては、主人公のラハが学校内で授業を通して成長していくことと、学校内外で発生した謎の事件とが並行して進行していくものとなっております。
なぜか強い力を持つ主人公と万年劣等生の友人たち(にしては強すぎると思うが)、そして主人公をなぜか気に掛ける学校最高峰の天才少女。
この世界に存在する異質な法、ミステリアスな校長、様々な要因が主人公に絡んでいきます。
最終章では少し駆け足過ぎるのではないだろうか?と思う場面が多々存在するものの、それ以外は終始適切なバランスでゲームが進むためプレイしていて理解しやすいイメージを持ちました。


・ハマリ度:8/10

魅力的なキャラクターが多く、モブキャラに見えるキャラクターでも設定ではなかなかに特徴的な人物だったりと面白い。
比較的よくあるストーリーでありながらも最終章で明かされる真実はかなり意外性があり
もっと短編や、もしくは長編のどちらでもこの作者様ならばうまくストーリーをまとめることができるであろうと思える、高いストーリー構成力があった。
やはりネックなのは戦闘か、全敵に調べる魔法を使いたい派なのだが、この魔法のウィンドウはボタンを押していると見ることができずに消え、少々ストレスになってしまう。
また、そもそも調べる余裕がない場面もあったり、気になる部分が多い、調べる魔法自体の豊富なテキスト量は魅力的だが。

・グラフィック:8/10

自分は今回が初RPGツクールMVだったのだが、中盤の同じ学課生と戦うシーンなどはプレイしていてとても面白く感じた。
ヒロインの顔グラだけやたらかわいかったり、力が入っているなと少し思った

・サウンド:9/10

学校らしいBGMが多く使われており、場面ごとに適していると感じた。
何度も全滅したわけではないが、なぜかとてもタイトルBGMが耳に残った、このゲームと非常にマッチしていると思う。


どう見てもギャグキャラのデブの友人が終始頼りになる友人ポジションだったのは笑いました。
また、ダンジョン内でとある魔法を選択する場面があるのですが、あれは個人的にものすごく悩んでしまいました、あれは難しいでしょう

最序盤の購買から伏線が張られていたのだ…!

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:8

迷いは捨てて目指す場所へ トップギアで

 みんな大好きジャンプ三原則、ボクも知ってますよ。
 友情・努力・勝利ですよね。
 互いに信じる友と力を合わせて難敵に挑み、ピンチに陥りながらもついには勝利を掴むカタルシス! 他では得がたい爽快感があります。
 ボクも、決して嫌いなわけではないですよ、ええ。たまには素直に、ストレートな熱血ものを楽しむことだってありますとも、ええ。

 公式のあらすじとか、導入部を読むと、まるでサスペンスもののような印象を受けるのですが、実はこれ、ちょっとウソ。
 たしかにメインストーリーに殺人事件が絡みますが、サスペンス的展開は終盤の香りつけ程度です。
 本作はどちらかと言えば、コテッコテの王道バトルマンガのノリの娯楽作品です。浅学なボクが知っている範囲で言うと、ノリが一番近いのは……
 もう我慢できないからハッキリ言ってしまおう。
 ぶっちゃけハリー・○ッター! それも1,2巻あたりの!

 当たり前ですが、キャラの立て方とか舞台の作り方とかはだいぶ違いますからね。念のため。
 オープニングで最初に貰うアイテム、生徒手帳。そこには先生方からの評価点と、出会った学内の生徒・教職員のプロフィールが赤裸々に綴られていきます。
 ってこれ、生徒手帳じゃなく閻魔帳じゃね? 院長間違えて渡してね?
 個性に溢れたプロフィールは全60人に及び、眺めているだけで圧巻です。それぞれの人間関係まで含めて設定した作者さんに頭が下がります。

 気になるのはメガネの割合ですが、なんと9人!
 そのうち4人も顔グラ持ち、準レギュラー級以上の扱いです! 素晴らしい!!
 今回は9人の中から5人を選び、みなさんにも本作のキャラ立ての素晴らしさを実感してもらおうではありませんか。
 誰一人として、テンプレ的なのび太君などではありませんぞ!

ナルニス=ギズモンド
 はい、いきなり来ちゃいましたナルニス君です!
 「ラクリス先生ファンクラブ」初代会長。身長130cmのいたいけな先生をヨシヨシする、字面で十分犯罪的なニオイがする団体ですが、創設者はいたって大まじめ。
 勝手に怪我をしては医務室に入り浸る、不埒な変態どもの危険行動を禁止、守り切れた人に写真集をプレゼントしよう、という志は確かに立派です。
 でも、やってることは高い会費で自作の盗撮写真集を売りつけているに過ぎないですからね!
 生徒手帳には、「ナルニスの写真撮影はわずか0.0007秒で完了する。では撮影プロセスをもう一度見てみよう!」といった、執念しか感じられない記述もあります。

 それでも彼、まっすぐに物事に打ち込む姿勢では、決して誰にも引けは取らないのです。
 ラクリス先生が担当教官と聞いて、実力ではとても歯が立たないかに思われた進級試験に名乗りを上げ、愛と執念の力で勝ち残っていく姿は感動的ですらあります。
 そう、これも青春。
 傍目に見てどれほど馬鹿げていても。打ち込むって、そういうことでしょう?

 そりゃまあ、チャタみたいな奴は許せんでしょう。許せんでしょうよ。
 チャタと共通する部分も多くありながら、しかし内面的には表裏を成すポジションのキャラです。

クラリス=パッヘルベルト
 お次はメガネ黒髪の三つ編みさん! クラリス!
 ただいま学院の七不思議研究中とのことで、石像に張り付いてなにやら調べています。
 他にも何人か、学院七不思議を追いかけている生徒がいますが、何かのクラブというわけでもなく、横のつながりはほとんど無い模様。
 これもまた、傍目から見て馬鹿げた努力、ということでしょうかね。

 しかし、生徒手帳には色々と気になることも。
 両親ともに別の魔法学院で講師を務める、いわばサラブレッドであること。
 そして彼女自身も戦闘魔法のエキスパートで、戦闘魔法だけで言えば学年トップに比肩する実力者です。
 彼女も学院講師を目指しており、凄まじい努力家であることが窺い知れるこのプロフィール。
 七不思議研究は、そんな彼女のささやかな息抜きになっているに違いありません。

 普段はおっとりした、人の良さそうな顔をしてますが、ひとたび牙をむけば鬼となります。
 その攻撃魔法の腕前は、ぜひ味方として発揮していただきたいですね。いやはやまったく。

エリノール=アスランタム
 この通り、本作は生徒手帳を見るとまったく印象が変わることが度々起こります。
 本作のメガネっ子たちの中で最もギャップが激しいのが、たぶんこの娘、エリノールでしょう。
 主人公たちの一歳上、学内でも10人しかいないAクラス魔法生の1人。
 学院祭実行委員を務め、上のようによくできたことを言うものだから、下手をすると「優等生」みたいな印象を残しそうです。

 そこで生徒手帳の出番ですよ。
 生徒手帳をめくれば、「お前肉担当な!」呼ばわりされた、笑撃の経緯が出てきますから。
 そりゃ肉体労働もガンガンこなせるわけです。エネルギーを無駄に蓄えてる、どこかのチャタとは違ってね。
 彼女ほどの魔法の腕前なら、テント設営くらいは魔法でサッと済ませることもできるのですが、「額に汗して働くって楽しい」んだそうで。
 「働く! 肉食う! うまい!」ってことですか? わかりません!

 体育会系肉食メガネ、最近は増えてきてる属性なのかしら。
 彼女の作る肉料理はさすがの旨さ。学院祭開催は終盤になってからですが、試してみましょう。

チャタ=シュトラウス
 さて、そろそろ本作の主人公を紹介しましょう。
 え? いやだって、チャタこそこの物語の主人公でしょう?
 ゲーム的な主人公はラハですが、この物語で最も活躍し、成長したのはチャタなんですから。

 まあ、第一印象は悪いでしょうなあ。わかりますよ。
 口先ばかりで何もしようとしない、典型的な無気力デブにしか見えないし、実際そうなんですから。
 ラクリスファンクラブ会員一号でありながら会費を払わず除名、にもかかわらずサボって医務室にたむろする彼は、誠にクズです。
 当然授業には落ちこぼれ、幼なじみの女の子からも無視される。身から出た錆ではあります。
 しかし、自分の中に目標が見つからないからといって、落ちこぼれとして突き放していいことにはならないでしょう?
 ましてこの学院、この世界では義務教育の扱いなんですから。全ての学生に対して、何らかの教育をせねばならないはずです。

 彼の動機は常に自分の外、他人の中にありました。
 これは、自分の正義で行動するラハや、自分の野心のために動くナルニスとは根本的に違う性質です。
 流されやすい、とも言えるかも知れません。しかし人のことを第一に考えられることは、決して悪いことではないでしょう。
 素質として他の人に劣っていたわけではない。行きすぎた自主防衛社会の中では、彼の性質を活かせる場所がなかっただけなのです。

 きっかけを掴んだあとの彼は、メキメキと頭角を現します。
 が、どうしてもフィジカルの打たれ弱さは一朝一夕に改善できないものでして。
 攻撃属性に偏りがあり、一部の敵に手を出せないラハ。回復魔法が使えない月花。そして攻撃も回復もできるが打たれ弱いチャタ。
 この凸凹トリオをうまく運用するのが本作の戦闘の醍醐味ですが……正直、一番使いづらいのはこのチャタかも知れませぬ。
 しかし、メンタルの強さはまた別です。
 どうにも死に急ぐ傾向がある他のメンバーと比べ、地に足の付いた考え方をする彼は結局、みんなの精神的な主柱だったと言えるのです。

 さて、ここまでで4人紹介しました。
 最後を飾るは、やはりこの人しかいないでしょう!

ルクシエ=フランメール四世
 はい、ルクシエ学院長でーす。きゃーエロメガネー!
 チャタがメガネをかけても色気なんて、ほんのちょこーっとしか上がらないんですが、どうしてこの人がかけるとエロオーラ全開になるんでしょうか!
 結構なトシのはずなんですが、特定の女性は未だ存在しない模様。秘書のミランダ先生(趣味:メイドコスプレ)とか医務室のラクリス先生(ペット系小動物)とかに気ままに粉を掛けては遊んでます。
 どうせ本人が思ってるほどモテちゃいないんだから、さっさと身を固めてしまえばいいのにって、ボクそう思いますよ。

 上の台詞で端的に出ているとおり、ズルい大人代表です。
 中盤の「見ていたよ?」なんか、ほとんどホラーでしたよ。鳥肌立ちました。恐怖で。
 「四世」ってことはおそらく代々、このルクシエメールなんて妙な名前の学院をやってたんでしょう。由緒ある家柄のようです。
 しかし、彼の武器はその家柄でも、現在生きている唯一のSクラスという称号でもありません。その政治力です。
 この世界の統治機構・魔法教会でさえほぼ誰も逆らえない強い発言力。いったいどのように維持されているか……あまり、考えたくはありませんねえ?

 「名ばかりSクラス」を自称していますが、ここまでバレバレの大嘘はかえって気持ちいいですね。
 予想通り、ジョーカーとして動いてくれます。期待してOKですよ。

 さてさて、こんな調子で60人ですよ。
 仮にNPCであっても、顔グラの無いサブキャラであっても、丁寧にちゃんと背景を作り込んであるのです。
 長いゲームではありませんが、イベント進行に応じて台詞は細かく変化していきます。
 最初こそただの道案内キャラだったとしても、やがてスポットが当たることもある。
 注目を浴びることがなくても、そこには確実にそれぞれのキャラの生活がある。
 ボクはそんなRPGが大好きなんですよね。

 ただ本作、キャラ設定は魅力的なのに、その運用についてはちょっともの申したいところもある。
 まとめて評点していきましょう。

ハマリ度 : 8 / 10
 胸がスカッとする王道ストーリー。小道具やシステムに目新しさこそ無いが、バランスを崩すことなくストレートな熱血ものとして成立させている。
 キャラの行動が全般的に唐突だったり、王道展開を重視するあまりつなぎが強引だったり、こなれていない点も散見される。短編であるが故に具体的な努力の描写が少なめで、主人公達ばかりが優遇されている印象を受けるのも、学園ものの「お約束」の一言で済ませられたものか迷う。「お約束」としての楽しみや爽快感は存分にあるのだが、それでも引っかかりは少ないに越したことはなかろう。
グラフィック : 8 / 10
 キャラクター生成の 力って すげー! な素材群。画風が統一されていなかったり、輪郭がぼやけ気味だったりする弱点もそれに準ずる。ツクールMVのデモンストレーションとしては大いに参考になるだろう。
 書き下ろしはタイトルとエンディングの一枚絵だけのはず。こちらは見ての通りの品質。
サウンド : 8 / 10
 ツクールMVの標準素材に追加素材、そして音作りで親和性の高いPeriTune曲を加えた構成。統一感はきっちりと取れている。声優さんはかなり頑張っていて、章間のメリハリになっている。
 SEはほとんどが良く聞いたツクールSE、2000からまったく進歩していない。音量のバラツキが大きく、音量調整が大雑把に過ぎるところが弱点。

 本作、初のツクールMVイチオシということでプレイしたんですが、実際MV製であることを意識する場面はあまりありませんでした。
 大きいマップで複数キャラが動き回る学院一階など、VXとどちらが軽いかわからないくらいですし。むしろMVの方が軽かったりしないかしら。
 でも、F12キー……お前のことは忘れないからな!

(管理人補足)ツクールMVでは、リセットがF12からF5に変わりました。ご注意ください。

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