■ 嘘つきジニーと磔刑の国
作者 [ うた さま ] ジャンル [ ダークファンタジーRPG ] 容量・圧縮形式 [ 17MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクールVX ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 現在の最新バージョンはVer1.1 ] 配布元
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 7 /10 10/10 9 /10 131/150 hoikoro 9 /10 9 /10 10/10 ろっとん 10/10 10/10 10/10 赤松弥太郎 7 /10 8 /10 9 /10 アンサンブル 8 /10 8 /10 7 /10
《 ES 》 ハマリ度:7 グラフィック:10 サウンド:9
不死者と人間、勝てるはずの無い戦に、何故彼女たちは望むのか。
本日のイチオシレビュー「嘘吐きジニーと磔刑の国」は、うた氏の作品の中でも最高難易度の作品だと、私からも保障しておきます。
序盤ボスであるメデューサ戦でも、強力な全体攻撃武器である「蛇剣」を手に入れた上で、攻略も参照し、溜めた貨幣でLPをできうる限り強化した状態でも、運悪く攻撃が前衛1人に集中し、メンバーが欠けた瞬間に、全滅に一直線していました。
「嘘吐きジニーと磔刑の国」の「レベルの無いRPG」と言うのは、「永続的な強化がLPと装備スロットしかなく、多数あるアイテムから耐性・特色・ステータス強化量を把握して凌いでいくしかない」と言う、かなり頭を使う上、リアルラックまで必須と言うものです。
おなじ「レベルの無いRPG」と言っても、「停滞少女」では、「戦闘後に得られるポイントで自由にステータス強化ができる」です。同じく装備品しか強化要素の無い「イブの日に死んでしまうアナタのための走馬灯機構」でも、3属性を利用した分かりやすいシステムになっていました。
本作のシステムは、かなり分かりづらい上に、取り返しのつかない失敗を引き起こす箇所も多くあります。先述の「蛇剣」も、隠し部屋にある(これまた弱点を突かないと勝てない)中ボスを倒してやっと手に入る素材を「武器」に「練成」しないと手に入りません。うっかり「防具」や「消耗品」に練成してしまうと、大幅に泣きを見ます。
素材を2つ使って更に強力なアイテムが作れる「精霊石」にどの素材を入れるかと言う取捨選択は、パターンを知る楽しさ以上に、うっかり必須アイテムを逃した場合の悲劇の方が強く、どうしてもセーブ&リセットを強いられます。
たまに手に入るレア素材も、どうやって使えば強力なアイテムに練成できるかが不明なのが怖いです。単体で練成しても、一般的なドロップ素材でできるアイテムと同じものしかできないし、「精霊石」は数が限られているため、軽い気持ちで試すわけにも行きません。
とにもかくにも、「攻略法」を知っていないとどうしようもない作品です。先述の「前衛が死んじゃったら、もう立て直せない」と思い込んでいたのも、「LPは奥義ポイントだけではなく、0になるまでは回復薬で蘇生できる」ことを知らなかったためです。(序盤では)攻撃力の低い屍人はアイテム使用役&盾に回し、余りがちな素材を回復薬に練成し、倒れないように必死で回復することで、何とかクリアできました。
話が進むと「薬をガブ飲みして全滅を回避」作戦をその辺のザコでも使用しないと勝てなくなります。このゲームは、ステータス強化値よりも、属性耐性や状態異常対策の方が重要になるため、対峙する敵の特徴をしっかり覚え、一戦ごとに装備を換えていく必要があります。
本作の難しさは、一戦で対峙する敵の物量が半端ないのも一因です。トループの人数も、一人ひとりの手数も多いため、運悪くそれらの攻撃が一人に集中すると、1ターンでHP満タンからでも死んでしまいます。万全の対策を詰んだとしても、それが確実な勝利とはならないのです。
本作を楽しめるのは、良くも悪くも、ゲーム的な試行錯誤を楽しめる人です。うた氏の作品は、キャラクターやグラフィックも魅力的ですが、それに惹かれて力押しにプレイすると、大きく泣きを見る作品です。
《 hoikoro 》 ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:10
何度も死にながら答えを探すRPG(麻痺衰弱)
【嘘吐きジニーと磔刑の国】今回レビューさせていただきました。
RPG、フリーゲームのRPGは本当に大好きです。なんといっても作者さまの思いがひしひしとダイレクトに伝わってくる。
思いの載せられた作品を見ること、これ以上に個人への強烈な刺激を自分は知り得ません。
その筆頭の最筆頭がRPGだと思います。
今作品は特徴的な、”どのようなアイテムも装備可能””敵を味方にできる”という2つのシステムを最大限に利用して進んでゆきます。
どのようなアイテムをいくつでも装備可能、と言うのは魔王物語物語やアンリミテッドサガのシステムにも見られた点です。
このシステムは装備の自由度を劇的に高めることが出来、戦略に幅の出来るいいシステムでありつつ。
良くも悪くも戦闘の難易度を大きく上げてしまいがちになるシステムでもあります。
その分、新アイテムに対する期待が大きく、探索し素材を集める作業の楽しさにもつながります。
実際、このゲームはなかなかに難易度の高い戦闘を強いられるRPGです、ゲームオーバーこそ無いものの、死亡時にこのゲームの通貨である魂を半分落としてしまいます。
この魂はかなりたまりにくくかつ大量に使用するため、必然的に慎重にならざるを得ないといえるでしょう。
ただ、今作品では逃走は殆どノーリスクでかつ100%成功なので、中盤に差し掛かるまではそうそう全滅することは無いです、壊滅は何度もありますが。
中盤以降からはかなり厳しい戦闘を繰り広げることになります、敵が三体連続して全体攻撃を打ってきて全滅、二回行動の敵が2体出てきて全滅、戦略を適切に組まずゴリ押しでは途方も無い数の屍の山を積み立てることになるでしょう。
また、ボスとは別に中ボスのような青いシンボルの敵がいるのですが、これらも適切な攻略法が前提のかなり強い敵です。
これらを乗り越えて、強すぎる敵を味方にして…という流れで最後まで進んでいきます。
ストーリーは説明が割と省かれた、要点と回想のみをこちらに伝わってくるような、ある程度自分で考察して成り立つものになっております。
主人公のジニーはこの国の贄になるために囚えられ、声を失った少女。
そして、兄であるマルタの助けを借りて、この国からの脱出を試みます。
それまでの道筋には幾人もの意志を持たぬ人間が居て、殺すことも逃すことも出来ます。
本当にこのくらいです、会話もあまり多くなく、解釈次第では全く別の取り方も出来るといえるでしょう。
陰惨とした世界観、死が存在しないこと、それらが価値観を大きく変えてしまっています。
ダンジョンの各地に書かれた断片的な情報から、そこがどういう施設なのかがうっすらとプレイヤーに伝わりますが
価値観や世界観が異なることから、正しい解釈ができているとは到底思えませんでした。
最後の敵を乗り越えたジニーとマルタが、どうなるのか。
もしかすると道中の人間をどうするかによって変わったのかもしれませんが、自分にとってはこのエンディングはあまり納得の行くものではありませんでした。
特にジニーの兄への感情を考えるに、かなり違和感がありました。
最後までジニーのことはわからずじまい、ということだったのでしょうか…
一つだけ注意点をば
このゲームをやっていて最後の最後まで気が付かず、最後の最後の最後でようやく気がついたバグ?として
何故か”射程距離が短の武装が後列の状態でも威力が下がらないまま運用すること”が出来ました。
このバグのお陰で、自分は後列にいながら通常攻撃回数2回クリティカル率30%の暴れん坊と完全鉄壁のコンボで最後まで駆け足で通り抜けました。
そして、とある場所で戦闘したタイミングで何故かそれが解除され、ダメージが驚くほど減少したのを見てようやく、それがバグであることに気がついたほどです。
てっきり装備の隠し効果かと…
結局条件がわからず再現もできなかったため、どういうことなのかはわかりませんが一応そのようなバグがあり、多少バランスブレイクしていたということは伝えておきたかったので…
・ハマリ度:9/10
割と短めのプレイ時間にもかかわらず、プレイ後に伝わってくる感情は激しく大きい。
操作も快適で、目新しいシステムのどれもがかなり分かりやすかったです。
状態異常が敵味方を飛び交う戦闘は斬新で、かつ適切なバランスというのは大変素晴らしいものでした。
もう少し魂の取得数を増やしてくれてもいいのでは…?と思うところもありますが
実際ダンジョンを1つクリアする度にだいたい1つ分の装備枠を開けるくらいにはたまっている、という事を考えるに
その点も実に適切だったのだと思われます。
・グラフィック:9/10
登場キャラ数も敵数も少ないながらも、主人公やマルタたちのキャラチップは可愛く
マップもどれも丁寧な装飾があり、移動できるフィールドであるということとは別に、マップそのものや敵の配置に考察しがいがあります。
一枚絵はどれもとても綺麗、エンディングのデザインもとても鮮やかです。
・サウンド:10/10
BGM一つ一つが場所によくあっていて、SEも適切でした。
ぜひ音楽室を追加して欲しい。
ここから書くことは全て隠し要素?についてです。
大体第2階層くらいで、最初の場所の牢屋を爆弾で破壊できることに気が付き、戻ってきました。
するととんでもないくらい強いボスがいて、ああ、隠しボスがこいつなんだろうなぁ…と思い、ゲームをクリアした後にまたここに来ました。
当然ながら図鑑も全て埋め、LPもMAXまであげました。そのためにかなりの魂を集めさせられましたが、後々を考えるとそれが良かったみたいです。
…まだ強い、とても強い!しかし炎耐性さえ何とかなっていれば耐えられないほどではない!!!
そして倒した先には外の世界が…!
すると兄が足を止め、これ以上進んではいけない、と言いました。
なるほど、EDも間際なんだなぁ…とか勝手に思い込んで進む。を選択。
案の定兄がついてきてくれる。そうだと信じてたよノーマルEDでの君を見るにね…!
さぁて、これがトゥルーエンドか…!!と思った直後、唐突なサイレン。
脱走者を捕らえろ!!??確かに脱走者だけども!!!
そして戦闘開始、雑魚だと思って侮っていましたが、何故かここで上述のバグが効果をなくし、ボロボロになってセーブ地点に
バグが無くなって、雑魚が雑魚じゃないことに気が付きましたが、戦略さえ練ればそこまで強い敵ではない、難なく一蹴。
その後もさくさくと進み、ついに来ました隠しボス、すばる団ことプレアデス聖団。
コイツラが本当にとんでもないくらい強い、っていうかゲームが違う。
一瞬で終止符を打たれ、対策が必須であることを理解する。強すぎだろ!!!!
詳しい戦略は一番上のとおりですが、はっきり言って勝率5%くらいの運ゲーでした、乗り越えた時はガッツポーズを取らざるを得なかったですね。
更に倒したと思ったらまだまだ余力があった様子…何ぞコイツラ…もしかして作者さまの過去作品に関係がある…?
実際彼らとの戦いの鍵を握ったのは機械仕掛けの夢、でしたし…そこら辺は知識不足なのかもしれませんし割愛。
彼らを退けて、そこでようやく真のEDを迎えるわけです。
ここまで見ることによってタイトルの嘘吐きジニーの意味が判明するわけです。ただ嘘をついていたわけではなくて…
そして、めでたしめでたし!
最後に、Answerというボス討伐の記録のテキストが入っているのですが。
これがどういう意味を持ち、何を意味しているのか、ここまでプレイしてきた今ならそれがはっきりと理解できます。
ああ、ジニーは兄のマルタをこう思っていたんだなぁ、と!こっちの方がノーマルEDでのジニーよりはるかにジニーっぽいぞ!!と!!
ここに書いている時点でおかしな気もしますが、やっぱり隠しボスを倒すことがフリーゲームのRPGの醍醐味ですよね!!!
ハッピーエンド万歳!!!
6丁拳銃フルバーストガンマンスタイル系女子は流行る
《 ろっとん 》 ハマリ度:10 グラフィック:10 サウンド:10
「お兄様が殺されちゃった!」「この屍人(ヒトデナシ)!」
(※序盤の戦闘風景です)■可愛らしいグラフィックと、絵柄にそぐわぬダークな作風
マテンロウ計画様の作風といえば「可愛い絵柄」「ほのぼの会話」「ダークな内容」の3点セットでおなじみです。
本作も主人公達の会話には和やかな雰囲気が漂っていますが、それと裏腹に世界観は残酷です。
ダンジョンに点在する凄惨な器具や、死骸からのメッセージ、家畜として育てられた人間達……終始陰鬱としています。
そして、苦難だらけの脱走劇の果てには衝撃の展開が…
■雰囲気抜群の演出
プレイヤーを飽きさせない、演出面の力の入れようが印象的です。
各シーンごとの心情にマッチしたBGMを押さえたり、キャラクターの動作にSEのタイミングを合わせるのが実に上手い。
また台詞回しやスキルの端々にさりげないセルフパロディが見受けられ、過去作をやりこんでいるほどニヤリとさせられます。
ちなみに練成のSEがモロに「ねるねる○るねのCM」のSEなんですよ。
これは同作者の「トネリコさん」シリーズの鉄板ネタをセルフパロディしているかと思うのですが
シリアスな雰囲気で装備を強化するたびに鳴り響く「テーレッテレー!(ンマイ!←脳内音声)」に腹筋が崩壊しそうです。
■軽快で独特な戦闘
●マテンロウ計画おなじみ、レベルの上がらないRPG
本作ではあらゆる消耗品や武具が種類関係なく装備でき、ステータスやスキルを付け替えられます。
さらに探索や合成で強いアイテムを獲得し、戦力を底上げしていくのが本作の成長進行となります。
「全部武器」だとか「全部防具」だとか極端にロマンに走った装備ができるのも面白いところです。
●何度も死んで覚える、骨太な難易度
雑魚すら一筋縄ではいきません。各層ボス戦なんて笑えるぐらいポンポン死にます。
回復薬を惜しみなく消費してサイクルを回していくのが良いでしょう。
同作者の「トネリコさんとアンダーグラウンド」のように、HPがゼロになってもLP(いわゆる残機)さえ残っていれば回復薬で再起可能な仕様なのですが、それでも足りないぐらい敵の攻撃が熾烈。
前衛や召喚の仕様上、序盤は特に最初にお兄様(マルタ)が倒れてしまうことでしょう。彼の体力管理が重要になります。
●斬新で強力な状態異常
状態異常の重ねがけによる重症化という、ありそうでなかったシステム「深度」。
そしてこのゲーム、戦闘スピードが早いため気を抜けばすぐ重篤な状態異常に…。深度二桁なんて目も当てられません。
シールドや回復技で状態異常を防いだり軽減しつつ、相手に状態異常を叩き込むのが鍵です。
●使い捨て使役システム
敵を倒すと得られるのはアイテムだけではありません。
なんと本作では敵自体も拾得され、倒すたびにストックが溜まっていきます。
事前にセットしておけば、開幕からストックを消費して手数を増やすことが出来ます。
味方アンデッドは勝っても負けても消滅するので、一戦ごとに全力で活躍させましょう。
■最後に
「嘘つきジニー」というタイトルに反して、ジニーちゃんは無垢で無言な女の子です。
そんな彼女に隠された“嘘”とは…?
そしてジニーとは逆にあからさまに隠し事をしている兄マルタの本心は…?
※この兄妹には末永く…いえ、末無く幸せでいてほしいものです。※
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:7 グラフィック:8 サウンド:9
誰か護るためなら 邪魔なもの 壊し続けていい?
苦労してなんとかエンディングに。自然とトゥルーエンドでした。殺害はペナルティがありそうだと思ったので……。
いや、いいものでした。いいものでしたけど、あっという間に終わってしまって、「え、これで終わり?」というのが正直な感想です。
もうちょっと、(レビューを書くネタとして)なんかないものか……。
この作品、設定はすごく面白そうだと思うんですけどねー。
いや、ボクはマテンロウ計画の他の作品、たとえば代表作の停滞少女とかプレイしてない上での感想ですけど。
屍人によって人間が支配され、家畜化されてる世界って、ディストピア万歳ですよね。
だいたい屍人って、不老だったり、人間よりも力が強かったりする代わりに、とろかったり、脳みそプーだったりすることが多いんですけど。
でも、本作の屍人は非常に文明的な生活をしてらっしゃいます。知能の面で人間に劣るとは考えにくい。素早さも決して遅くはない。
となれば、完全に人間の上位種族ってことになります。こりゃ勝てなくて当然です。
しかし一方で、屍人は単独で繁殖することができないのが重要。社会存続のためには、人間をリソースとしてうまく管理しなきゃならないのですね。
本作の社会制度はなかなか細かいところまで設定されている様子で、妄想がはかどります。
いっちょ考えてみようじゃありませんか、屍人たちの理想郷を。
まず教育制度が重要ですね。永遠の命に対して肯定的であるほど優良な屍人になれることがわかっています。
将来を担う屍人候補生たちには、屍人に対する憧れと畏怖を持ってもらわなければなりません。年上は敬え、ということですね。
憧れを持ってもらうためにはやはり、屍人には憂いのない、自由な暮らしを保証しなきゃいけません。「屍人になれば何だってできる!」と思ってもらうことが重要です。
仕事をぐちぐち言いながら、いやいや勤めに行く大人を見て、どこの子どもが大人になりたいと思うでしょうか。年金不安や健康不安ばかり言う老人を見て、若者が敬意を払うでしょうか。
これの難しいところは、適度な憧れと敬いを持ってもらうところです。行き過ぎた不平等感は反乱に繋がります。
支配する側にとっては、「家畜でも楽しきゃいいもん」と思ってもらった方がうまくいくんですよ。江戸時代の安定した治世も、誰も武士階級に憧れを持っていなかったからこそ続いたわけですし。
しかし、将来の屍人たちについては、そんな低い意識では困る。
……やはり、人間どもの間にも階級を作らねばなりませんね。『1984』に学びましょう。
すなわち、人間のうちの9割以上は家畜階級として、教育を一切与えず、強制労働と繁殖にいそしんでいただく、と。
対価として安価で低俗な娯楽を提供し、ゆめゆめ反抗心を抱かないよう調教を施します。
人間のごく一部のみを、将来の屍人候補として選別し、支配階級にします。
彼らの仕事は家畜どもの監督です。家畜どものヘイトを一身に集めてもらう。
一方で、支配者としての教育を授け、自由恋愛と結婚を認め、家庭を持つことを認める。また文化的活動も制限を付けて認める。
屍人になれば仕事もしなくてすむ、永遠に文化的活動ができる、家族とともに暮らすことができる、というエサで釣るわけです。
無論、「こんなことなら家畜の方が楽でいい」「永遠の命なんか要らない」などと、将来の屍人にふさわしからぬ価値観に染まった場合は、即刻処刑せねばなりません。
中間支配層が下層民を従えて、上級支配層に反乱を起こす繰り返しが歴史だ、と『1984』あたりに書いてありますが。
それが事実として、これはなかなか安定するんじゃないですかね。
なにしろこの場合、中間支配層には将来、上級支配層になれる未来が約束されているのですから。
支配階層が世襲制ならさらに良いですね。反旗を翻そうとしたなら、父母から祖父母に曾祖父母、先祖代々の連中が止めに掛かるとか。
完全世襲にしてしまうのも遺伝的に弱くなりますから、家畜の子であっても一定数は支配層に抜擢しましょう。生まれた時点でランダムに。
たとえば金銭など、実際にはまず通れないレベルの細い道は残しておくのもアリですね。
もちろん、認めるのは子どもを特権階級にすることだけです。家畜はいつまでも家畜のままです。
やあ楽しい! ディストピアを支配者視点で設計するのはとっても楽しい!
こういう遊びの時は、自分が被支配者だったら、なんて微塵も考えないで済みますからね。
たとえば日本社会に置き換えて、「支配階級は繁殖できなくなった元人間……?」とか考えるのは禁則事項です。遊びなんだから、ね?
……評点行きましょうか。
- ハマリ度 : 7 / 10
- シナリオに牽引力が無いために、システムだけでプレイヤーを引っ張る形になっている。そして本作は難度が高い。
高難度ならではの魅力も確かにあるのだが、地道な稼ぎや調査のための捨てプレイを要求される、ストレスフルな作りはプレイヤーとしてはつらい。「何度も死にながら、答えを探すRPG」でありながら、全滅ペナルティが地味に大きい。
運要素がかなりあることも要注意。レベルアップなし、「答えを探す」というキーワードから、精密な戦術に従えば必ず勝てるゲームのように誤解すると辛くなる。むしろ柔軟な戦略を試す方向性である。
階層を降りるごとに設定が明らかになり、徐々に世界観は鮮明になっていくが、予想外の展開や目を引く新情報はないため、牽引力としては物足りない。情報量も少ない。
そして何より、エンディングにむけての伏線がない。どのエンドであっても唐突に、しかもなかなかにニッチな着眼点の展開になるため、プレイヤーはついて行きづらい。コープスクレイドルの追加程度では根本的解決になっていない。
せっかくこのダークで耽美なエンディングなのだから、もっとじっくりとこの世界観に浸りたい。観念的なシチュエーションだけではなく物語が、肉体的な情動がほしい。- グラフィック : 8 / 10
- ほどよい暗さがちょうど良い。爆弾で壊せる壁が、注意すればわかる程度になっている。安定して見やすいことは評価したい。
一方で派手な演出が無く、変化も少ないため、単調なのは否めない。4階層の個性は差別化されておらず、先に進める楽しみにはなっていない。- サウンド : 9 / 10
- 選曲に外れが無い。特に未知考学さんのボス曲、そして鳥白さんのラスボス曲・隠しボス曲はしっかりと聞かせてくる。
道中の曲も決して地味ではないのだが、しかしシナリオ・グラフィック面の単調さを覆すのは難しかった。ジニーにしろ、マルタにしろ、えらく個人的な動機で社会転覆を謀る本作。
しかし結局、社会を変えることだってなんだって、個人的な情動から始まるのだと思います。
社会的な正義や悪も、絶対的なものじゃない。誰にとっても正しいことなんて、きっとどこにもない。
だとすりゃもう、自分の情動を突き詰めて、問うていくしか無いのではありませんかね?
……やった! なんとか作品に関連するっぽい文章が書けたよ!
《 アンサンブル 》 ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:7
- あらすじ紹介
- 磔の城から兄妹が脱出する話
- 自分が経験してしまった注意事項
- 練成する前のセーブはできうる限りバラバラに(場合によっては詰む)
- 万遍無く強化で強くするよりも役割分担をしっかり(敵によっては即殺される)
- 人を殺すか生かすか放置かを選択する前にセーブを(まさかのルート分岐)
- 強くて二週目がない
- 感想
- 雰囲気が独特の世界で脱出を目的として戦っていく
独特なのは嫌いではないがシステムも独特ゆえに詰む可能性があるところを考えるとつらい
エンディングが複数あるが二週目が無くまさかの一からやり直し- タイトルのある嘘つきですが最後までいけばそれは回収されるようになっています
- 話そのものが暗いため明るいのが好きな人にはオススメしません
それ以外の方なら問題なく遊べると思います- ところでFAQに
・勝てません。と書いてありますがボスに勝てない場合はどうすればいいのでしょうか
→練成を試してみたり、強い装備の組み合わせを考えたり、道具を消費したり、
ボスでなければ逃げたりしましょう。時には戦わないことも重要です。
と質問したくなるほど強いボスがいます
今回の感想はバージョン1.0を基準に書かれています- ハマリ度 8
- システムとして死んでやり直すことを基準としているゆえに難易度が高い
道中のストーリー性が弱いなどやや残念であったが練成システムのおかげでクリアまで頑張れた
ただ複数のエンドを全部見る気持ちにはなれなかったので8- グラフィック 8
- 敵が全て頻繁に見かける素材なのが残念
しかし主人公たちだけはオリジナルなので8- サウンド 7
- 全体として暗めの曲が多く
悪くも無く良くもなく耳に残らないので7
(1.1裏ボスを除く)最後にジニーはヤンデレなのだろうと考えてしまった文で終わりとします
「憐れなわたしをずっと見ていてくださるの。」