■ Cresteaju

タイトル画面
作者[ Shou さま ]
ジャンル[ ファンタジーRPG ]
容量・圧縮形式 [ 5.95MB・LZH (通常版) ]
[ 278MB・LZH (MP3版) ]
ダウンロード 作者様HPへ

アシッドミスト グラスシード アドマニッシュ 神堕雷 伝説の陣形

(補足)
2007.02.19:当サイトにて、「AMEL BROAT」「Cresteaju」楽曲集の代理アップロードを開始いたしました。
レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 10/10 8 /10 10/10 151/180 B
ckck 8 /10 7 /10 10/10
銅たぬき 10/10 7 /10 9 /10
K’(カズ・ダッシュ) 8 /10 6 /10 8 /10
赤松 弥太郎 10/10 8 /10 10/10
或野 吟山 7 /10 7 /10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:10 グラフィック:8 サウンド:10

時を経て失うもの。そしてなお失われぬもの。

ハマリ度:10/10
私の初レビューから5年以上経った今も、飽きることの無い作品である。
王道の予想を裏切り、王道の期待は裏切らないストーリーは、今なお色あせない。
グラフィック:8/10
戦闘時の3D表現など、グラフィックの見せ方には光る物がある。
グラフィックそのものは…まっ、まあ、ALL自作のこの作品で、あまり多くを求めるのはと言う物ですよ。
サウンド:10/10
現在も音楽活動をされているだけあり、質・量共に最高である。
時折、「CresJuke!!」でBGMにしているくらいである。

※ 本編をご覧になる前に、投稿レビュワー時代のレビューをご覧ください。

■ 若かった、あの頃

私ことESが「Cresteaju」に触れたのは、今から5年以上も前のこと。
まだ「フリーゲーム」と言う存在に馴染みが薄く、PC版RPGツクールの存在すら知らなかった時代。そんな中、「Cresteaju」との出会いは衝撃的ですらありました。
マップ兵器のような魔法、それを有効活用するための陣形の組み立て、戦闘の楽しさは、私のレビューを見れば、十分お分かりだと思います。
また、アクの強いキャラクターたち、彼女ら・彼らが織り成すストーリー、その面でも私は大いにハマりました。
そして何より、この作品が個人で作成された物であること、および、この作品が無料で提供されていること…未だ「ゲーム=商品」と言う認識が残っていた当時の私は、このゲームから「フリーゲームと言うもの」を学んでいったと言っても、過言ではありません。

当時は、まだまだ投稿レビュワーとしては新人だった時代。この衝撃を、いち早く初代に伝えたいと思い、ほとんどヤリ込む事無く、急いでレビューを書いてしまいました。
そのため、今見返してみると、「何でこんなアホなこと書いたんだろう。」と思う部分も出てきます。
たとえば、「(主人公たちの使える)すべての魔法には、何らかの属性がついています。」と言う一文。当時は、隠しダンジョンで手に入る無属性魔法の存在すら知らず、ラスボスをテラジャッジメント連発でヒーコラ言いながら倒していました。

それ以外にも、かの伝説の陣形を持つ紳士の存在、最終武器を手に入れる隠しイベントの存在などなど、当時では知らなかったイベントの数々を知るにつけ、他のゲームに追われて失われつつあったCres熱が頭をもたげてきました。

■ 時は経ち…

実を言うと、私、レビュー後もその作品を遊ぶことは、非常にマレなのです。「Moon Goddess」「魔壊屋姉妹。」も、レビュー時点から、ほとんどストーリーを進めていません。
そんな私も、「Cresteaju」は何度もプレイしました。比較的時間の余っていた学生時代には、落ちているアイテム全て手に入れる程までヤリ込みました。このレビュー執筆時点でも、最初から進めて、今現在ストーリー後半部にまで行ってしまったぐらいです。

しかし、そんな私でも、やり遂げきれなかった事はあります。強力なザコ敵しか落とさない激レアアイテムの確保、ラスボスを第一形態で倒す…ネット界で見つかる数々のやりこみプレイの前には、「参りました。」と土下座せざるを得ませんでした。
それだけ、私以上に「Cresteaju」にハマった方と言うのは多数存在していたのです。(例:この方

■ そして、現在

商業作品でも、5年も経てばレゲー扱いされるこの時代、「Cresteaju」もその流れから逃れることはできませんでした。諸行無常…と言えばそれまでなのですが、長年ファンだったこの身としては、「さくらやまスクエア」の閉鎖は、非常に寂しい物があります。
そんな現在でも、「フリーゲーム最萌トーナメント」での優勝などを見るにつけ、「まだまだ、Cres熱は失われていない。」と感動に震えました。
閉鎖後もVectorにて、本作、および前作「AMEL BROAT」のDLはできるようになるそうです。今フリーゲーム界に入ったばかりの皆様も、ぜひプレイしてください。時の流れに依らない、フリーゲームが持つ面白さ、そこに込められた作者の執念…とも言うべき情熱、その他モロモロが体感できること請け合いです。

 《 ckck 》  ハマリ度:8 グラフィック:7 サウンド:10

伝説の冒険が今ここに

ハマリ度8/10
魔法習得や隊列の選択など、戦闘を盛り上げるシステムがぎっしり。
反面、そのシステムが機能しない序盤はやや苦しい。終盤に集中するサブイベントを多少回しても良かったか。
グラフィック7/10
魔法や能力のエフェクトにもう少しバリエーションがあれば、一層ゲームが引き締まったと思う。
高レベルの魔法を習得しても、今までのそれと見た目に大差ないのは辛い。
サウンド10/10
長い冒険に見合った曲数があり、場面に合わせた選曲がなされている。
300MB近いが、ぜひともMP3版の高音質を味わっていただきたい。

面白さの配分を考えるなら、「竜頭蛇尾」くらいがちょうど良いと誰かが言っていました。
小説にしろゲームにしろ、序盤が面白くないと最後まで進めてもらえませんからね。長編なら特に。
途中でギブアップされるくらいなら、多少強引でも最初の一手でガッチリ引き込むのも有効な手段と言えるでしょう。

何でこんな書き出しと言いますと、「序盤は」皆が言うほど面白くは無いなと侮っていたんですよ。
ストーリーはやや王道的で意外性は少なく、割と先の読める展開。戦闘も魔法の効果範囲や隊列等のシステムがなかなか生きず、最大MC(MP)がやや少なめということも加わって、どうしても通常攻撃主体の戦い方に。バトル中にキャラが動く分、どうにも雑魚戦のテンポが悪い気も
これはどうしたものかという気が─


したんですが。

プレイしていくにつれ、これがまた良い意味で裏切られました
先が読めると油断していたストーリーは、中盤から急展開。序盤のうちに張っておいた伏線を回収しつつ、終盤へ向けての期待感を煽る見事な手法を発揮。キャラの立て方も上手く、それぞれに強力な自己主張を持たせながらも調和させ、ギャグとシリアスを上手に配分しています。
特にクレイシヴ先生にはやられました。予想GUYにも程がある

冗長に感じた戦闘も、魔法の種類が揃う辺りから劇的な発展を見せます。
キャラごとの役割を考えた魔法を習得させ、単に敵の弱点を突くだけでなく、味方の連携でより強力な一撃を繰り出せるようになるともう止まりません。
恐ろしく強いボスでも補助魔法の使い方次第で完勝できたり、回復を怠ると雑魚戦でも死人が出るゲームバランスにもうメロメロ。テンポの悪さに感じていた間も、緊張感を煽るのに十分な効果を発揮するのだから始末に終えません。


面白いなあ畜生。

「竜頭蛇尾」ではなく、「蛇頭竜尾」なこの作品。
序盤だけプレイして放り出した方は、せめて中盤くらいまではやっていただきたい。
序盤から面白いと感じる方は、終盤にはとてつもない名作となっていることでしょう。

 《 銅たぬき 》  ハマリ度:10 グラフィック:7 サウンド:9

名作は色褪せない

■少し長めの前置き
「cresteaju」といえばフリーのRPGでは有名な存在である。
発表は2001年。次世代ゲーム機が発売され、 ゲームがよりリアルに、よりゴージャスになっている現在(2007年1月)を考えると見た目の物足りなさ感は否めない。
しかし、むしろ今だからこそ、このゲームを取り上げる意味があると思う。なぜなら「cresteaju」は、ストーリー型RPGとしての基本が他に類を見ないほど完成されているためである。本当の面白さは見た目の美しさによらず、時を越えて不変であること をこのゲームは教えてくれる。

■ストーリーの秀逸さ
「cresteaju」の最大の魅力はそのストーリー展開の上手さにある。
RPGにおいて、「Nepheshel」や「Moon Goddess」のように最終目的だけが提示され「後はご自由に」という形式をとらないのであるならば、そこには何かしらのストーリーが必要である。しかしストーリーに魅力がないと「早く続きを知りたいから先に進む」という気持ちがわかず、ハマリ度が低くなる。

その点、本作では

主人公であるルナンの故郷が「エターナル」という宗教集団に滅ぼされてその救援を求めにいく、という万人に共感できる「起」
ルナンが仲間たちと共にエターナルに挑む「承」
裏で暗躍している素振りを見せていたクレイシヴが直接行動を起こす「転」
そして彼の真の目的が明らかになりそれを阻止するために戦う「結」

以上のように「起承転結」がはっきりしており、ストーリーにメリハリを与えている。ストーリー展開の上手さに驚いたのは「ラーゼルの風」以来であった。
実際、中編以上のRPGでは「起承転結」がはっきりしないとダラダラとした印象を受けてしまい、やる気が失せてしまうものである。

また、RPGは基本的に
新しい町に行く → 近くにダンジョンがある → そこに行って敵を倒すor何かを取ってくる → 次の町へ
というサイクルの繰り返しであるが、本作ではそれがただのフラグ立てや作業にならないように、伏線を入れたり仲間との出会いを入れたりと工夫が凝らされており、テンポよく町から町への旅を楽しむことができた。
特に失われたルナンの過去、不可解なクレイシヴの行動 という2つの謎に関わる伏線がメインに張られておりプレイヤーをストーリーに引き込むのに大きく寄与している。

さらに細かいことではあるが、各町に特徴や主要産業があったり、地域によって気候が違ったり、という些細な情報が世界観の構築に一役買っている。こういった情報はプレイには一切関係ないが、あるとないのではその世界のリアリティが大きく違ってくる。こういった細かいところまで手を抜かなかったShouさまには敬意を表したい。

■戦闘システムについて
本作は戦闘システムにおいても飽きないように工夫が凝らされている。
まず、魔法や一部の攻撃の効果範囲についてだが、うわっなにをするやめrアqwせdrftgyふじこlp

… … … …

-目が覚めたかね。銅たぬきくん。

何者だ!あんたたちは!!

-我々は「ルナン様親衛隊」 今日はフリーゲーム最萌トーナメントで優勝されたルナン様の素晴らしさを君にじっくり教えてあげよう。

そんな勝手が許されると思って…

-このレビューは我々がジャックした。命が惜しくば君はそこでおとなしくしていることだ。
 さて、それではまず、ルナン様の容姿についてだ。

まぁ、あれだな。美麗なグラフィックは3時間で飽きるが、粗いグラフィックは3時間で慣れるというやつだな。

-なんと不遜な…。おい、少し体に教えてやれ。

―しばらくお待ちください―

-つまり、詳細にグラフィックを描き込まずに特徴のみ捉えたグラフィックにすることより、我々に想像する余地を残されているわけだ。デフォルメは萌えの重要な要素であることは君も認めるところだろう?

は、はひ、ぞのどうりでずね。ずいませんでじた。

-次にルナン様の気性だが、非常に激しくていらっしゃる。敵の真っ只中に単身突入し、敵の首領亡霊山の神様 にさえも臆さない超強気。強気な女性、好きだろう、君も。そしてたまに見せる弱気な一面、それだけでご飯3杯はいけるのではないか?

気丈すぎて弱みを見せるシーンなんて2回くらいしかないがな。

-さらにお茶目な面も持っていらっしゃる。ネーミングセンスがなかなかに独特なのだ。ピエールに「ピエ作」、ジュリアスに「ジュリえもん」、アサシンに襲われた際に使った偽名が「シュレーディンガー子」、このセンスは稀有のものといえるだろう。これもまた、ルナン様のチャームポイントの1つだ。

さすがにこのセンスには度肝を抜かれたが…、チャームポイントなのか?!

-以上から、総合評価はもう決まったようなものだろう。
ハマリ度、これは10点に違いない。ルナン様の活躍から目を離せるときなど存在しないのだからな。
グラフィック、これも10点だろう。ルナン様の容姿に文句の付けようなどないからだ。
サウンド、これも10点のはずだ。ルナン様の活躍を盛り上げるBGMに隙などないからだ。
では、総合評価をお願いしようか、銅たぬきくん。もちろんどう答えればよいかはわかっているね?

くっ、では総合評価っ
ハマリ度:10/10
このストーリー展開の上手さは驚嘆に値する。戦闘や魔法習得にも独自要素があり、飽きさせないつくりになっている。
グラフィック:7/10
実際は6点というところだが、6年前の作品であること、戦闘シーンの3Dグルグル回転を考慮して7点。
サウンド:9/10
昨今ではオリジナルというだけで高評価をあげてしまいそうであるが、それとは関係なく、文句なく音楽はイイ。

計26点。


-この状況下でそのような評価を下すとは…。どうなるかわかっているんだろうな。

悪いな。私はエアーの読めないレビューワーなのだよ。

-読む気すらないくせに…。最後に言い残したいことはあるか?

うっ、無口で陰のある女性、シンディさん萌えです!!

―響き渡る銃声、そして何かが飛び散る音―

-ああ、ソレはドラム缶に詰めて東京湾にでも沈めておけ。さて、それでは次のレビューワーのところへ行くとするか…。

 《 K’(カズ・ダッシュ) 》  ハマリ度:8 グラフィック:6 サウンド:8

実は私、RPGは……苦手です

*各スペックレビュー

・ハマリ度
ストーリー運びは凄い。戦闘シーンもフリーソフトとは思えない程の出来。
・グラフィック
一瞬、RPGツクール95製かと思ったのは秘密だ!!
戦闘シーンはそこそこだが……。
・サウンド
安定。MP3版?興味ゼロ!

*まえがき~

まず始めに。実は私、RPGは苦手+嫌いです
特にコンシューマ系RPGは……つか、プレイは殆どしません
グラフィック偏重型のRPGは飽きました。故にこの頃はフリー系の作品ばかり
「ばとね」とか「フェイレン」とか「リーフ村」とか……。
そんな私が久々に手を出したRPG。さてさて……?

*正統派。

いや、これしか言い様が無いんですが。ボキャの無さにorz。

全くもって正統派。純粋且つ素晴らしいストーリーテリングは脱帽モノ。
所々にギャグや洒落を持ち込むのも、ストーリーの清涼剤として効果抜群。
また、この全盛期(といっても2001年の作品だが)に製作環境がツクール系ではないのも珍しい。
戦闘では、3Dグラフィックによるなかなか派手な魔法演出はいい感じ。
魔法習得システムは一瞬グランディア2とか(微妙に違うか……)思い出しましたが、
キャラクター別に個性が付けられていますので、個人で色々な魔法を覚えさせられます。
ま、筋肉馬鹿は(攻撃)魔法は苦手なのはお約束ですが。

*けってん……

やや温い作品になれていたせいか、難易度がやや高めに感じるのは私だけでしょうか?
ボスにウィンドオーブ3連発喰らって3人死亡とか、魔力がすぐ底を付くとか
ザコも結構厳しい魔法を使う敵が多い為、レベル上げの必要性が出てきます。

あと、致命的な点と言えば、グラフィックの地味さ
戦闘時の魔法のエフェクトは中々なのだが、ツクール95かと見間違えるほどのフィールドは……。
仕方ない、といえば仕方ないのですが。

*そーひょー+蛇足。

で、総評。
名作……と言いたいのですが、グラフィックの地味さ+難易度の高さ(私が下手なだけか?)がかなり足を引っ張ってます。
どうしても見た目でかなり損をしてしまっている故に、微妙に低めの評価をさせて頂きました。
あ、つまらない訳ではありません。むしろかなり面白いです
が、現行でのグラフィック偏重主義のコンシューマRPGに慣れた人には、正直厳しいかもしれません。
家がナローバンドなので、MP3のサウンド評価が出来ない(ファイルでか過ぎじゃぁっ!!)のが残念ですが、
某大作RPGよりは楽しめますのでご安心を(毒)。

クリア?……察してorz

*補足

・RPGは苦手+嫌いです
……どっちかと言えばSTGとかS・RPGとかが好きな私。
「ばとね」とか「フェイレン」とか
れびゅ参照。自分がレビューしているのですが

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度 : 10 グラフィック : 8 サウンド : 10 <世界遺産認定>

全フリーゲーマーが泣いた! 感動のRPG超大作!

寄せられた反響より :
公開継続決定!! 詳細はVectorでご確認下さい。


 以上で本作のレビューを終了します。
 引き続き、赤松弥太郎独演会をお楽しみ下さい。

今 旅立ちの君へ

 新年。別れと、新たな出会いを続けつつ、歳月は巡っていきます。
 今月、フリーRPGを代表する名作「AMEL BROAT」「Cresteaju」の配布元、さくらやまスクウェアが、歴史の1ページに加わります。
 さくらやまスクウェア、それは、私の青春そのものでした。さくらやまは、沢山のことを私に教え、そして残してくれました。私が今、こうしてフリゲレビュワーとして活動しているのも、さくらやま、そしてCresteajuなしでは考えられないことです。
 感謝の意を込めて、Shouさんの新たな門出を心からお祝いしたく、筆を執りました。

 しかしながら、私はあまりに深くCresteajuを愛してしまい、他の作品と同じ俎上にあげてレビューすることが、どうしてもできません。
 そこで、レビューという本サイトの目的からは若干外れてしまうかもしれれませんが、私のCresteajuへの思いを、ただ語ることにします。
 私の歌声はお世辞にも美しくなく、ジャイアンのリサイタル状態になるかもしれません。しかし、たとえ音痴でも、気があれば心が通じることを信じます。

僕はルナンが嫌いだった

 昨年開催されたフリーゲーム最萌トーナメントで、本作ヒロイン・ルナンは、見事優勝を果たしました。公開から5年を経た作品であるにもかかわらず、振り返れば、序盤こそ強力な相手とのデッドヒートも繰り広げたものの、終盤は余裕すら見せての優勝でした。皆さんにとってこの結果は想定内でしょうか?
 ルナンと「萌え」という言葉が結びつかない私にとって、この結果は全くの予想外でした。私は、5年前のさくらやまでのクレス人気投票の時点で、「ルナン嫌い」を公言しています。Shouさんが2年半の制作期間中ずっと考え続けた、思い入れの強いキャラであるのは承知しています。しかし私は未だに、どうしても好きになれないでいます。

 「好き嫌いに理由はない」のですが、私なりに思うところはあります。
 ルナンは18歳。大人として扱われる年頃です。しかし、箱入り娘同然に育てられてきた彼女の人生経験はとても浅い。そんな彼女が突然故郷を失い、たった1人で先の見えない旅に放り出されるところから、物語は始まります。
 多分、「はじめてのおつかい」としては最高難度でしょう。しかし、それにしても、ルナンはひどい。最短ルートをわざわざ避けて、道もわからず遠回りをする。実力もないのに、買わないでいい喧嘩を買い、首を突っ込まなくていい騒動に首を突っ込む。この時期の彼女は、危なっかしくてとても見てられません。生きてるのが不思議なくらいです。案の定、お使いが失敗すると、やけっぱちになって「エターナルと戦う!」なんて無茶を言い出し実力行使、殺されかけます。

 この物語で一番成長しているのは、ルナンではなく、ディザでしょう。初回登場時こそ、ルナン同様、周りが見えていなかった彼ですが、それ以上に危なっかしい人が近くにいたら、やはり放っておけません。彼はルナンを気に掛け、自ら学んでいきます。ルナンはそんなディザに甘えている。物語が後半に入るまで、ディザはルナンの保護者役です。「恋人」みたいな対等な関係じゃない。
 対してルナンは、見ていて実にまどろっこしい。表面上は明るいんだけど、内面は浮き沈みが激しくて、はずみで行動するかと思うと、一旦悩むとすごく長い。つまり情緒不安定。自分の核になるものがあやふやだから、言動に一貫性がないんですね。彼女は彼女なりに現実と向き合っていくのですが、物語は彼女を待つことなく進んでいきます。
 エンディングで彼女がした「選択」について、否定的な意見をよく聞きます。全くの自己矛盾ですが、私はむしろ、ルナンだから許せます。否応なく世界の命運を背負わされてしまって、成長を急がされても、彼女自身はまだ子どもだったのですから。
 そして、やっとルナンが自分の物語を始める直前で、ルナンがルナンになるまでの話であるCresteajuの物語は終わってしまうのです。

 こんな具合に言語化できるようになったのは、ファン同士の交流を通じて出会った、さまざまな意見・考察を聞いてからです。考察のおいしいところをつまみ食いし、自分の味付けにして、なんとか落ち着けているところです。初回プレイ時はなぜか自分でもわからないまま、気がもめて仕方がありませんでした。
 ここまで気がもめるキャラは、私は他に知りません。ルナンに感情移入できる人もいるでしょうし、ルナンを見守るディザの目線で物語を読む人もいるでしょう。しかし、私にはどちらもできません。アルヤくらい人格破綻者になっちゃえば、「しょうがないよな、アルヤだからな」とむしろ開き直れるんですが、そこまでデフォルメされたキャラではない。
 少なくとも、これだけは言えます。「ルナンが好き」という感情は「萌え」とは違う、と。萌えだとしたら、嫌いな理由は一言で言えるはずですから(例えば、メガネじゃないから、とかね)

とっても深刻なストーリーです。笑わないで下さい。

 ストーリーテリングには、「キャラから話を作る」「話からキャラを創る」の両面があると思うんです。
 例えば、AMEL BROATの場合、世界観やプロットができる以前に、アルヤとセイルのキャラはできていたと聞きます。「キャラから話を作る」の好例ですね。なにせ2人とも人格破綻……げふん、強烈なキャラなので、放っておいても勝手に話を進めてくれる。対抗上周りを固めるキャラもどんどん濃くなり、自然とボケとツッコミに溢れたハートウォームな物語ができあがる、というわけ。
 ただ、その傾向が強すぎると、ストーリーが単線的で薄っぺらくなったり、結末がぶっ飛んだりして、悪い意味で「キャラゲー」と呼ばれてしまいます。AMELはその点、ストーリー展開もよくできている方です。そこかしこに伏線があり、謎があり、プレイヤーを飽きさせません。しかし、クリア後どんなゲームだったか振り返ると、見事にギャグシーンしか覚えてないや、レビューどう書こう、みたいな事態になりがちです(←あくまでたとえ話、ですよ!)
 Shouさんはその反省から、本作は世界観を最初に創り、そこからストーリーやキャラを組み立てたと言います。「話からキャラを創」ったわけです。

 この世界は、悲しみに満ちています。
 故郷を奪われたルナンは、たくさんの人の悲しみに触れることになります。
 両親を殺された兄妹。父親を捜す娘。多くの人を死なせてしまった戦士。人々の声、声、声。
 多くの人が、漠然と不安を感じて生きています。
 もし盗賊に襲われたら、もし病気が流行ったら、もし作物ができなかったら、どうすればいいのだろう?

 エターナルは、その不安に立ち向かうために作られた組織でした。
 (エターナルは宗教ではない、と私は理解してます。アズグレイはあくまで「党首」、教祖ではないわけですし、どうも私には、エターナルを宗教と呼ぶことを、Shouさんが慎重に避けているように思えてなりません。宗教→怖い人達、自分には関係ない、みたいな、マスコミが広めた見方でエターナルを見るのは、非常にもったいないと思って、この段落を書いてます。)
 エターナル党首、アズグレイの考えはこうです。

 なぜこれほどの不安を感じるのか。助けてくれる人がいないからだ。人と人との結びつきが弱いからだ。都市がバラバラに自治し、人が好き勝手に生きているから、絆が薄まっている。ならば、目指すは大陸統一だ。都市の自治を廃止し、強力な国家を築き上げ、その下で誰もが平等に助け合う、幸せな社会を実現するのだ。

 ……驚きです。ファンタジーRPGで福祉国家を論じる人がいますよ。アズグレイは時空を越えた天才ですね。
 しかし、残念ながらここはファンタジーRPG。彼の理念を理解できたのは、1人いたかいないかくらい。エターナルが実際やったことと言えば、「エターナルになれば幸せになれる」と人を集め、従わない街を武力攻撃するという、まったく本末転倒なこと。
 結果ルナンは故郷を追われ、世界は更なる悲しみと不安に包まれます。

 そんな悲しみのどん底から、クレイシヴはやって来ます。
 彼が何者なのか、目的はなんなのか、それは皆さん自身でお確かめください。彼は目的の為なら手段を選ばない男です。人を利用し、人心を煽り、利用価値のない邪魔者は斬り捨てます。比喩ではなく、本当に斬って捨てるのです。
 彼は平然と大量虐殺をやってのけます。実はこのゲーム、フリーRPG史上に残る大量虐殺ゲーなのです。作中で彼に殺された人間は、グラフィックで表示された分だけで優に100人を超えます。

 以上の通り、この作品の世界観はとても深く、また残酷な描写も存在します。
 正しく理解するためにも、個人的には18禁すいしょ……失礼、鼻からトマトジュース吹きました。

これだからCresはレビューしづらい

 つまりですね。この作品で、正しい理解なんて言い出すのは野暮ってもんなんですよ。
 エターナルを新興宗教だと思っていても、ストーリー理解に大きな支障は来しません。
 ディザの頭を形状記憶合金と思おうが、ルナンをトマト怪人と思おうが、誰も文句は言いません。きっと。
 受け取り方はすべて、プレイヤーに任されているのです。

 これは丸投げってことじゃありません。
 Shouさんは、Releaseの意味をよく知っているのだと思います。
 Release。「公開する」、それはつまり「手放す」ということ。
 私のように、毎度くだらん文章書いてる者でさえ、公開の時には緊張感があります。公開したら最後、それは「自分のもの」では無くなります。誰にどう受け止められるかわからない、意図しない解釈をされるかもしれないし、あるいは本当に自分の意識していないメッセージが入ってるかもしれない。
 だから、自分の言いたいことをくどくど説明してしまったり、叫んでしまったり、公開した後になってから「後日譚」とか「メイキング」とか出して、あれはこういう意味で書いたと説明したり、いろいろ野暮なことをしてしまう。
 すると、受け手としてはつまらないのです。作者の話を一方的に聞くばかりだから、反発も起こりやすい。そして、自分で想像する余地がない。話が広がっていかないのです。作品は作者が生かすものではなく、結局受け手に生かされるものなので、これは作品の生命の危機と言えます。
 「話からキャラを創る」場合、最も気を付けねばならないことです。

 たとえて言えば、子どもに自転車を覚えさせるようなこと。
 自力で漕げないうちに手を放せば、倒れてしまいます。
 自力で漕げるようになったら、手を放して見守ればいいのです。

 以前、あるサイトでのアンケートで、Shouさんは繰り返し、プレイヤーの主体性を説いています。

◆ 自分の作ったゲームのこだわり点

こだわりは私が語ることじゃなくて、プレイヤーが見つけてくれることです。
一番は遊んで楽しいこと!

◆ 自分のゲームで伝えたかったテーマ

自分なりのテーマはあるけど、それはプレイヤーに伝えたいものではありません。ゲームを遊んでくれる人に一番伝えたいのは楽しさです。

 このアンケート、多くのフリーRPG作者さんが参加してまして、世界観やテーマとなるとものすごく熱く語ってる方も多いんです。読むだけでも感動ものですが、一方でShouさんは世界観に対する回答はこれ1つだけ。渋いですねえ、ダンディーですねえ、こう、シルクハットとタキシードが似合……わねえっつうの。
 ゲームのレビューに戻りますと、Cresteajuは、こんな基本姿勢で作られてるので、押しつけがましさが非常に薄いのです。だからレビューも本当は押しつけくさくない書き方がいいんですが……難しいよね、それは。「ともかくいいから。やって損しないから。プレイすれば?」じゃ、レビューになんないもんね。

あんたら、ちっとは黙りなさい

 作者はあまり多くを語らない一方で、キャラはすごく饒舌です。
 ゲームファイル群の内、crmsg01.datがメッセージデータです。これは一種のアーカイブファイルで、暗号化されてるんですが、圧縮はかかってません。つまりこのファイルのサイズ≒ゲーム全体の台詞のサイズ、というわけ。
 気になるサイズは、580KBなり。
 案外少ない? とんでもない。400字詰め原稿用紙740枚以上に相当するんですよ? 文庫本で2冊に収まるか収まらないか、それくらいのスケールです。まあ、小説と比べると地の文がないし、単純に比較できないんですが。
 その中でも、最も饒舌なのはルナンとディザ。たぶん、2人の会話シーンだけで全体の3割位あるんじゃないかな?

 映画と違い、表情などの細かい映像表現が使えないゲームなので、主軸になる2人の情景描写にかなりの文字数を使わないといけないのは確かです(そのあたりの事情は、シェイクスピアの時代、舞台が暗くて役者の顔が見えなかったために、独白という形の情景描写が必要だったことに通じますが、それはそれ)
 それを差し引いても、ディザは喋りすぎです。登場時の印象で、口より先に手が出る直情型だと思っていると、さにあらず、思ったことが口に出る直情型だったのです。ルナンの「保護者」としての意識もあるのでしょう。若い彼は、いつでもまっすぐに理想を語ります。言い換えると、すごく青臭いし、暑苦しい。
 これにすんなりみんな共鳴して、みんな同じことを言うようになったら、感動的ではあるかもしれませんが、すごく押しつけがましい話です。ルナンは女の子、こういう部分で現実的です。ディザの暑苦しい考え方に理解はしつつも、「ちょっとキザすぎない?」と思ってる節があります。ディザの方もそれはわかってる。だからルナンにどう接するかは考えてるし、いろいろなやり方をしてみる。それがいつも成功するわけじゃないし、かえってルナンを追いつめてしまうことも、時にはあるかもしれません。
 こういう過程をすごく丹念に、丁寧に描いているから、どんどん内容がふくらんでくるんですね。

 ルナンとディザだけじゃなく、他のキャラもよく喋ります。無口キャラのシンディでさえ、喋る時は喋りますしね。ですが、どのキャラの話すことも、イコール作品のメッセージとはなってません。どのキャラの話すことでも、最終的にはプレイヤーが受けとめ、自分で感じることで、やっと読めてくるのです。
 最初、私は正直くどいと思ってましたし、不必要な説明が多すぎると感じてました。しかし、繰り返しプレイしていくことで、それはこの作品に必要な描写だったんだと納得しました。
 色々なことを考えているキャラが、みんな自分の思ってることに素直で、しかし仲違いせず、かといってなれ合いや付和雷同にもならず、互いを尊重していく関係を作り、見せていくには、これくらいの丁寧な描写が必要だったのです。

レビューなんて、さぼろうぜ

 あくまで体感ですが、メッセージデータ580KBの内、こうしてストーリー本筋に使われた部分が4割程度だと思います。
 じゃあ、残りの6割は何に使われたのか。

 忘れちゃいけません、サブイベントですね。これが多分、全体の3割くらい。
 Cresteajuには、サブイベントがかなり大量に用意されてます。やるもやらないもプレイヤーの自由なんですが、ついつい作者の挑発に乗って探し回ってしまうのはゲーマーの悲しい性。
 サブイベントは、世界観にさらなる奥行きを生み出して……いるとも言えないようなものも多数あります。はっきり言いましょう、ギャグだらけのサービスカットが多いのです。
 この「笑い」の部分で、本作は前作AMEL BROATと比較され、どうもウケが悪いところがあるようです。たぶんそれも、AMELとCresの作品としての姿勢の違いが現れてるからだろうと思うのです。

 AMELのギャグシーンで、一番の功労者は誰でしょう。
 アルヤ? セイル? 違いますよね。絶対不動のツッコミ役、ヒロです。
 アルヤとセイル、2人とも存在自体が不条理の塊ですから、放っておくとどうなるかわからない。それに対抗できる強烈なストッパーが必要だったのです。物語の始まりから終わりまで、ヒロは常にアルヤの側にいます。アルヤをヒロ無しで放っておいたら、たちまちストーリーが崩壊してしまいますからね。
 ヒロはAMELの理性の守護神です。だから、ヒロがツッコまれる状況、例えばラスカートで彼の衝撃の過去が語られる時など、誰もツッコめず、みんな茫然とするより他になかったのです。

 一方、Cresは、みんなヘンな奴です。
 パーティーメンバーには一人一人、例えば「トマト気違い」「タワシ頭」「徹夜の酒豪」「冬将軍」といった明らかにヘンなラベルが付いており、そのことになると何をしでかすかわからない、という危ない人達です。
 ルナンはゲーム序盤で、「類は友を呼ぶ。私の周りには変な人が多い。即ち私も変な人である」という命題にたどり着き、大きなショックを受けていました。世間知らずのお嬢様、18歳で初めて知った世界の真理です。みんな似たもの同士なんですよ、特に、暴走の仕方とか。
 そんな状況で、ツッコミ役が、誰もいません。
 どんなに誰かがボケようと、放置が基本スタンス、ルナンがかすかに心の中でツッコむ程度、という、ボケたらツッコまねばならぬという道徳の持ち主なら堪えられない状況になっているのです。しかもみんな天然なので、ボケの上にボケが重なることなんてしょっちゅう。
 そう。ルナン一行にツッコミ役がいないのならば……プレイヤーが、自分自身で、画面に向かってツッコまねばならないのです!
 ルナン一行の役割分担関係は、とても流動的です。ボケとツッコミの分担も非常に流動的で、ゆるやかにしか存在しません。メインストーリーとギャグの区分も、流動的に連続的に変化していく。Cresteaju全体の持つこのゆるさは、Shouさんの言う「だらだらぼけぼけ」の境地に通じます。

 本作の笑いのもう1つの特徴は、極めて高い内輪ネタ含有量。
 公開する作品の場合、普通内輪ネタは封印するか、知らない人が全く気付かないようなところでやるのが常道なんですが、だらだらぼけぼけの前にそんな常道はありません。Cresでは、唐突に意味のわからないネタが出てきたら、まず内輪ネタを疑うべきです。ツーリアの「加工工場」とかね。
 内輪ネタだろうと惜しみなく出すShouさんの姿勢はしかし、本作に始まったことではありません。既にAMELの時点で内輪ネタ多いですし、かつてShouさんは羞じらいもなく、クラスメートが勇者一行になって活躍する、内輪ネタ小説を公開していたくらいですから。
 こんなこと、他の人がやったら「イタい」の一言です。が、この「フジイ戦記」、非常に評判がよかった。内輪ネタしかないのに、ちゃんと他人に読ませるものになっていたんですよ。
 「だらだらぼけぼけ」の中にこそ、独特なバランス感覚があります。ドーグリのイベントを見て、元ネタになった飲食店をわざわざ探し出す、私のような暇人は放っておいて(味についてはノーコメントとさせて頂きます)、ネタ元を知らない普通のプレイヤーでも楽しめるようなネタの仕込み方。言葉で言うのは簡単なことですが……ああ、その才能が少しでも私にあれば、もう少し楽しいネタレビューも書けるだろうにな……
 いや、才能と呼ぶのは不適切かもしれません。「だらだらぼけぼけ」は心構えの問題なのですから。てきとーなだけでなく、そこには愛が必要なのです。

村人A、次のダンジョンの場所だけ教えろ

 Shouさんの愛と優しさは、メッセージデータ残りの3割、町の人の台詞で最も際立ちます。
 私は、町の人の台詞こそ、本作で最も評価すべきポイントだと思っているほどです。

 町の人との出会いは、RPGの醍醐味の1つです。
 町の人はただ、攻略に役立つ情報や、本筋に関わるメッセージだけを喋ればいいのでしょうか。それでいい、という考え方もあります(Seraphic Blueはその考えに非常に近そうです)。ですが、それははたして町の「人」との「出会い」と言えるでしょうか。情報を得たいだけなら、人である必要はないでしょう。
 新しい町に入る、新しく出会う人がいる。この人はどんな人なんだろう、どんなことを考え、どんな風に生きてるんだろう。町の人に話しかける時のワクワクが、本作でこんなに高まるのは、町の人一人一人から大事にするShouさんの優しさのためです。
 倒すべき悪である帝国に対し、皇帝万歳を叫ぶ酔っぱらいを配置するなど、AMELの頃からShouさんの町の人の台詞はセンスが飛び抜けていました。Cresではさらに、AMELでは容量等の問題で実現できなかった、ストーリー進行で町の人の台詞が変わる要素も加わり、町の人にドラマが生まれました。

 ウェスカの、ある老人の目線から、この物語を見てみます。
 彼は、息子がエターナルに入会し、ウェスカから離れたことを怒り、悲しんでいます。「あんなバカ息子、わしゃもう知らん!」という口ぶりから逆に、彼の息子への愛情と、心配がにじみ出ています。
 やがて彼の元へ、息子からの手紙が届きます。一緒にエターナルの聖地へ行こうという手紙は、きっと息子なりに父を気遣い、心配して書いたのでしょう。老人にもきっと、息子の気持ちは伝わっていたに違いありません。しかし彼は、絶対に行かないと意地を張ります。彼もまた、息子を心配しているのです。互いに心配しているからこそ、2人の気持ちはすれ違ったままでした。
 しかしある時を境に、息子は行方不明になってしまいます。
 帰らぬ息子を待ちながら、老人はただ、「息子は、どうなったんじゃろうか……」とつぶやくのです。
 彼はきっと、この時何もしてやれなかったという十字架を、一生背負って生きていくのではないでしょうか。

 エターナルも、人の集団。たくさんの人がそこで生き、笑い、働いています。
 その一人一人まで生き生きと描かれている以上、エターナルは「絶対悪」にはなり得ないのです。
 ルセイヌ帝国と戦うアルヤたちにとって、帝国は「絶対悪」です。この世界の悲しみはすべて、帝国が原因だからです。どんなにシャネインやソムヤードがいい人でも、たとえ皇帝万歳を叫ぶ酔っぱらいや、帝国を支持する人々に恨まれようと、彼らの戦いは「正義」なのです。
 しかしルナンは、「正義」を名乗るには優しすぎます。
 エターナル会員と出会い、ルナンは彼らが「普通」であることに衝撃を受けます。彼らと自分たち、一体何が違うのだろう。もし、エターナルに従っていれば、故郷も滅ぼされず、平和に暮らしていられたかもしれない。もし何かが違っていたら、ルナンも、仲間たちも、エターナルに入っていたかもしれない。
 もしかしたら、ルナンがクレイシヴと同じことをしていたかもしれない。
 ルナンは、その可能性を考えずにはいられません。しかし、「もしも」は起こらず、ルナン達は彼らと戦わなければならない。ただ自分の信念のために、自分の守りたい何かのために、ルナン達は戦うのです。

どこまでも
果てしなく
続く大地
そこには
大小様々の国があり
人々はそれぞれの
人生を歩む
(AMEL BROAT オープニングより)

 この世界には、たくさんの悲しみがあり、悩みがあり、不安があります。
 何かの「諸悪の根元」を正せば無くなるようなものではありません。
 誰のせいにもできない、消えることのない悲しみもあります。
 しかし、それでも、人々は前を向いて、その日その日を歩いていきます。
 生きている、その小さな幸せを、みんなと笑い交わしながら。

ごちゃごちゃした戦いは、好きじゃない

 システムについては、ESさんの前回レビューでも書かれているので、あまり詳しくは書きません。しかし、システムだけでも充分一本のレビューになるほど、本作は奥深いんですよね。
 こうした目に見える部分の要素もですが、その裏で、序盤から終盤まで戦闘時間がほぼ同じになるよう、しかも次第に歯ごたえを増すように計算しつくされた、戦闘バランスの絶妙さも忘れてはなりません。
 しかしShouさん、今一度言わせて頂きたい。「すばやさ」周りのシステム、あれは、少なくとも成功ではありませんね。
 AMELでもCresでも、すばやさはあまり重視されないパラメータなんです。そりゃ、すばやさが1違うだけで先制できない、とか、すばやさが同じ敵が一斉攻撃してくる、なんて、全くつまらないわけで、大概のターンバトルでは、すばやさを目安に、ある程度「ぶれる」ようになってます。すばやさが足りないキャラでも、時には先制できたりするんですね。
 しかしAMELやCresでは、その振れ幅が妙に大きいんですよね。しかも、少なくともCresの場合、敵と味方の合計数が多いほど振れ幅が大きくなることが、ソース解析の結果明らかになってます。敵が5体くらい出てくると、誰がどの順で行動するか、まったく読めません。
 さらにCresの場合、ややこしいことに、魔法を唱える時のすばやさである「精神力」と、それ以外の武器攻撃等のすばやさである「行動力」、2つに別れてるんですね。ディザの行動力とサヴィアーの精神力、どっちがどれだけ高いかなんてほとんど誰も気にしてないわけで。どうせ戦闘ではひどくぶれるんですし、気持ち先制が期待できる、程度の話。精神力は「最もどうでもいいステータス」、精神力を上昇させる魔法ソウルセンスは「最も使えない魔法」となってしまうわけです。

 どうしても先制攻撃したければ、この世にたった3つだけ存在する、絶対先制アイテムを手に入れなければなりません。
 デメリットも大きいんですがね。特に最後の1つなど……アイテムコレクターが涙を呑む、試練のイベントで手に入りますからね。しかし、それだけの価値はありますよ。

 一見ごちゃごちゃしてますが、実のところ、かなりてきとーにやっても勝てるようにできてます。隠しのアイテムや魔法など、一切使わずともクリア可能です。ヤリコんでる人には少しヌルく感じるくらいの難易度ですが、だからこそヤリコミプレイにも熱が入ろうと言うものです。
 え? 私? ……アルティネクス狙うくらいなら、宝くじ買いますよ……

ウニなのか、マリモなのか、それが問題だ

 本作ほど、グラフィックで酷評されているゲーム、私は知りません。
 紹介の度に、「ゲームの面白さはグラフィックでは決まりません」「最近のグラフィックが綺麗すぎるゲームにうんざりしている方へ」「外見で判断せず、どうかしばらくプレイしてほしい」……それって、ちょっとひどくない? そこまで言わなくてもいいと思うのだけど……
 確かに、自称「プログラマー」、絵で一番苦労したと証言するShouさんが作った本作と、前回前々回イチオシのような、絵を専門にしている作者さんのゲームを比べて、後者の絵が前者に劣るようでは問題です。昨今プログラマでなくてもゲームが作れるようになって、一番得してるのは多分絵描きさんでしょうね。そもそも比べるものじゃないと思いつつも、私自身、イチオシレビュワーの業として、点をつけないとならないのですが。
 しかし、仮に本作のグラフィックがより美麗だったら、本作はもっと良くなっていたか、と考えると、そうとは必ずしも言えないと思うのです。
 Shouさん自ら描いたこの絵も含めて、Cresteajuなんですから。

 本作のグラフィックを語るなら、疑似3Dの戦闘やタイトル画面などの技術に注目するより、むしろその「だらぼけ」係数に注目したいな、と思ってます。そう、あのライゼルの必殺技のような。
 敵キャラ200体の内、色替えを除いたグラフィックは60体分。低血圧気味な敵が揃ってます。かの名作、ミスティジェントルとエイノーを生み出した綾波FC先生にも脱帽ですが、Shouさんのネーミングセンスと愛情でさらに輝きます。ウニとかバナナとか、メジャーどころも好きですが、個人的にはダブルテイルとかリュウモドキとか好きですね。あれで龍と言い張るところが大好きです。
 もし他の人が描いていたら、ここまで世界観と一致した絵はおそらくなかったでしょう。「だらぼけ」は、綺麗さでは決して表現されませんから。
 全て自作するのが当たり前だったAMELの時代からRPGを作ってきたShouさんにとっては、当然のことだったかもしれません。時代は変わってもしかし、Shouさんの、苦手なりになんでも自分で作ろうとする意欲はきっと、これからゲームを作りたいという方への福音となるはずです。

Shouさんは風がお好き

 本作の音楽は、ただの添え物ではありません。
 前述のアンケートで「その曲1つだけがあっても成り立つように」とShouさんは語ります。AMELの時点ではまだ、音楽は良くも悪くもゲーム的だったと私は思います。名曲「満員電車のしゃけ弁当」などからは、Shouさん独特の節回しも聞こえてくるのですが、「変なセイルのための変な曲」という役割に留まってしまっているのではないでしょうか(それにしてもちょっと点が辛すぎたかなあ……)
 本作はリミッターが解除されたのか、それともShouさん自身の作風が確立してきたためでしょうか。独特の味わいがあるShou節は、ちょっと聞き違和感のある人もいるかもしれませんが、大丈夫、すぐに中毒になるでしょう。

 例えば、戦闘勝利音楽の場合。
 戦闘勝利音楽は30秒以内でループする。ほとんど鉄則になっていますね。それ以上長くても、聞く人がいません。ドラクエなんてわずか2秒ですしね……。
 一方本作の戦闘勝利音楽、なんと2分半。普通にプレイしている限り、聞くのはイントロ部分くらいまで、ということになります。後でCresJuke!!などで聞いて好きになるという、隠れた名曲です。豪華とも言えますし、もったいないとも言えます。
 使用場面よりむしろ、曲名の方が、この曲を表しているかもしれません。
 「route 134」。Shouさんの通学路だった、国道134号線をイメージした曲なのです。箱根駅伝の3区・8区で全国的に有名ですね。相模湾沿い、湘南海岸を舐めるように走る、潮騒と海風の道です(でも、実際は砂と塩害で大変……げふんげふん)。なるほど、そう聞けば、穏やかな風吹く夏の湘南を、トップギアで走る爽快感がよく表れてます。
 湘南海岸のイメージと戦闘勝利音楽が、見事にリンクする。  きっと四六時中本作の構想を練り続けただろうShouさんを通じて、生活感覚とゲームのイメージが融合します。

 「さあ、ゲームっぽい音楽を作ろう」と身構えずに、こうして日常の中で生まれたメロディーがかなり多いようなのです。
 ドライブの長旅から生まれた町の音楽。湧き出る入道雲を見て作ったダンジョン曲。カラオケっぽい曲を目指した戦闘曲、などなど……中には、ゲーム中の使用場面を決めずに作り、たまたま使ったらぴったり来た、という曲もあると聞きます。内輪ネタだろうと構わずぶちこむ、「だらぼけ」精神の臭いがしますが、かえって不思議な効果を生んでいます。
 最たる例が「Lunar Road」。道を曲がったら正面に月が見えた、車で月目掛けて走っていくイメージ、とのこと。ボス戦闘としてはかなりトリッキーな曲です。耳慣れないメロディーなので、テストプレイヤーからも不安の声が上がったとか。
 それは杞憂に終わりました。戦闘音楽を既存のものに似せないというShouさんの試みは見事にはまり、戦闘全体にメリハリがついたのです。特に「Lunar Road」はボス戦ということもあり、不思議な緊張感を与えています。ボス戦の曲は注目されないことが多い中、この曲は大ボス戦闘曲と肩を並べる、人気投票上位常連になりました。

 過去の人気投票では、全41曲のうち、無得票で終わる曲が少なかったことも特筆すべきです。
 ちょっとしたイベント曲、ギャグ曲、敵役や端役のテーマ、どれも満遍なく得票しています。必ずしも使用シーンの人気と比例してないのが興味深いところです。
 さらに、歌詞投稿サイトの成立で、音楽だけで一本立ちさせるというShouさんの目標は成就されたのです。
 つい口ずさみたくなるメロディの魅力で、数多くの歌詞がつけられました。そして多くの歌詞で、ゲーム中の使用シーンに捕らわれない、自由な歌詞が付けられています。

評点不能

 さて……いよいよ評点です。
 私はしかし、あまりに深くCresを愛してしまいました。点数を付けることさえ忍びないのです。他のゲームと比べられる目安には、とてもできそうにありません。
 しかしながら、私も激辛レビュワーとしての意地がありますので、愛するが故にこそ、できる限り厳しく評価することにしました。
ハマリ度 : 10 / 10
 プレイすればするほど、その奥深さは実感できるはず。
 思い出した時に繰り返しプレイしたくなる、人生を通じて側に置いておきたいゲーム。その魅力は決して色褪せることはない。すべての人に一度は遊んでもらいたい作品。
グラフィック : 8 / 10
 減点2点分は……察してください。
 これ以上のグラフィックは本作にはない、と思ってるのは本当です。
サウンド : 10 / 10
 効果音作成ソフトを自作、無料公開したShouさんの音へのこだわりは確かなもの。その努力と功績は認められるべき。

ゆりかごに翼がついて

 本作は、AMEL BROATの作者の新作として、公開当初から注目を集めました。
 質問掲示板には毎日多数の投稿が殺到し、研究が進められ、やがて、多数の攻略サイトができました。感想掲示板では様々な感想が寄せられ、ネタも含め多くのスレッドが立ちました。Shouさんは常に親切に、温かくもてなしてくれました。私のようなファン達の暴走を、笑って受けとめてくれました。
 Cresteajuの二次創作は、このとても恵まれた環境で育まれました。フリーゲームの二次創作家たちが、ここまでまとまったコミュニティを作ったのは、大変珍しいことなのだろうと思います。それは、Shouさんの対応もさりながら、第一にCresteajuの力です。Cresteajuには、自分で何か行動せずにはいられない、魔力的な魅力が込められていたのです。
 百科事典、曲に歌詞を付ける、アンケートといった参加型企画、ウェブリング、そして、ファンアート、小説などの二次創作。様々な形のファンサイトが、空前の規模で咲き乱れたのです。

 Paradise Lost。時は過ぎ去りました。
 多くのサイトが閉鎖し、凍結され、ファン達は巣立っていきました。
 (開店休業中のサイトを2つも抱える私にとっては、他人事ではないのですが。)
 さくらやまも縮小され、更新が停止し、閉鎖が決定しました。
 しかし、私は忘れません。
 AMEL BROATと出会って、フリーゲームに目覚めたあの時、
 ネット開通間もなくさくらやまに接続、裏サイトを探してさまよったあの時、
 Cresteaju公開前日、トップページが大陸教会の伝承に書き替えられたあの時、
 そしてCresteajuを通じた、たくさんの人達との出会いを。
 全ては過去のことになってしまったのかもしれないけれど、私が今、こうしているのは、すべてCresteajuあってこそのもの。私の人生を作った出会いでした。
 思い出は、私の血となり、骨となりました。
 そして、私の傍らには、いつでも、いつまでも、Cresteajuがあります。

 今回、ネタを封印し、文字装飾も可能な限り押さえ、純粋に文章だけで勝負するレビューを書こうとしましたが、やはり私には無駄な力が入りすぎているようです。美麗なCres礼賛文章も、Cresにふさわしい「だらぼけ」精神でのレビューも、私には書けませんでした。自分の非才を恥じるばかりです。
 見苦しく長々書いてきましたが、私の言いたいことはきっとただ1つなのです。

 私は、Cresteajuを愛していました。
 そして、これからも、ずっと。
 ありがとう、Shouさん。
 また新しいステージで出会えるよう、願っています。

 《 或野 吟山 》  ハマリ度:7 グラフィック:7 サウンド:8

サラダフィルガルトの国のトマト女神
・・・25歳以下置いてきぼりなネタでゴメンね。

 新年一発目と言うことで、今回から去年とはレビューの構成を変えて、「自分の言いたい点を数点取り上げて言いたい放題語る」という形に変えようと思います。前までのやり方を期待していた私のファン(・・・いるのか?)には大変申し訳ないのですが、ご了承をば。先月も言ったけどわたしゃ実生活で大変なのよ!(笑)


キャラクターメイキングについて

 と書けば、普通はメインキャラクターについて語るのでしょうが、これは多分例によって赤松様がやって下さっている筈なのです(←自分は期待を裏切るくせに、人は当てにするズルい大人)。というわけで、「(取説より)頼んでもないのに、敵の絵を描いていったり」した綾波FC様の名画を鑑賞したいと思います。
 なお、初めに「解説文には悪気が無いこと」をお断りしておきます。


興奮し過ぎ!エアロもびっくりだね!

 名画No.1 「のけぞり犬」

 一発目は、犬、であります。戌年は去年です。どうせレビューするのなら(そして色々言うのなら)、去年言いたかった、などと、心にも無いことを言いたくなりました。バウバウ。

・・・なんか、耐え難い違和感があるのですよ。

 名画No.2 「腕の無い竜」

 いや、なんて所詮は想像上の生物なんですから、腕が無かろうと千本あろうと構わないのですが。それでも、どうも見ていて落ち着きません。「人心を惑わす悪竜」を意図したのであれば、大成功であることを認めざるを得ません。ブルブル。

横から、 前から、 後から。何の信念があって、こんな姿勢なんだろう・・・。

 名画No.3 「ガニ股紳士」

 いくら昨今のお笑いブーム(そろそろ一段落かな?)でも、こんな古典的な衣装にポーズで受けを取ろうとする芸人を私は知りません。あと、麒麟笑い飯はいつになったらM-1を獲るのでしょう(千鳥は諦めました)。ヤイヤイ。

 ・・・言っときますが、本作のモンスターの造形は大体このようなユルいものです(褒め言葉)。ここには挙げませんでしたが、他にもマフラードラゴン(勝手に命名)とか奇妙なモンスターが続出するので、それを見て色々言うのも一興でしょう。ストーリーのシリアスさと噛み合わない点もないとは言えないのですが、私自身としては結構気に入ったものでしてね


バトルシステムについて

 このゲームのバトルシステムは、結構特殊です。特に、シミュレーションゲーム(誰ですか、『シュミレーション』などと訛っている人は)っぽい、キャラ配置が戦局に大きく影響を与えるゲーム性は、フリーゲームのRPG多しといえどもこの作品ぐらいしか知りません。「リバース・サガ」も、これほどバトル中に動き回れるRPGではありませんし。(・・・ひょっとして、私の知識が足りないだけ?だったら御免なさい。ご忠告・ご叱責は随時受け付けています)。
 具体的に説明しますと、このゲームのバトルでは、空間的には舞台が12マス四方の正方形になっており、敵も味方もこれら144マスの内1マスに陣取って、戦ったり守ったりするという感じです。時間的には、「コマンド入力→敵味方全員が1回ずつ行動→コマンド入力→・・・」と決着するまで繰り返す、いわゆるターン制になっています。攻撃の種類によっては行動順位が変動しますが、基本的によくあるターン性なので戸惑うことはないでしょう。

 さて、こうしたシミュレーション的なバトルというのは、ゾーン・オブ・コントロール(ZOC)だの攻撃範囲だのがややこしく、一般的なRPGプレイヤーからは敬遠されがちだと察します。でも、本作に関して言えば、それほど気にしなくとも何とかならないこともないので、初めて遊ぶ人もとりあえず次のことだけ頭に入れておけば良いです。

魔法や必殺技を使うなら、その攻撃範囲に気をつけよう!

 これがどういうことかということは、下のスクリーンショットを見て頂ければ分かるでしょう。

同じレベル3の魔法でも、炎属性魔法は帯状の範囲を攻撃しますが、 土属性魔法ならほぼ円状の範囲内を攻撃します。 更に言えば、風属性魔法はずっと広範囲に攻撃できるんですねぇ~。(但しダメージは低め)

 ついでに言えば魔法の場合は、威力が半減してしまうものの攻撃範囲を拡大させることができるので有効活用しましょう。あるいは、自分から一直線に射出される種類の魔法を有効活用するために、敵が一直線に並んで見えるような位置に移動してから攻撃するなど、工夫する余地があることは頭に入れておくことをお勧めします。バトルがより一層、戦略的になることでしょう。
 更に本作では、MC(他のRPGではMPと呼ばれることの多いもの)がバトル中に回復する(ので使うタイミングが肝心になってくる)など、独特のシステムが多く存在します。でも、ここでは余り多くは語らないでおきましょう。他の方も言及しているでしょうし。

 ここで、個人的な意見を言わせてもらいますと、もう少し場所取りを考えさせるようなシステムに深化させてもよかったのではないか、と思います。
 ゲーム中に出てくるあるモンスターは、こちらのメンバー全員を自分の近くに引き寄せる技を最初のターンに行ってきます。そして次のターンから、まとめてダメージを与えるような攻撃を出してくるので、こちらとしてはモンスターから離れるなり即効で倒すなりしなくてはいけません。
 しかし、こうした攻撃を使えるのは敵モンスターだけのようです。味方には、こうした敵を引き付けたり、逆に引き離したりする技はないようです。あるいは、味方全体を一気に自分の周りに集める技なんてのも、あっていいかもしれません(敵の大ダメージを与える全体攻撃を喰らった後、一旦集まって1回の魔法で一気に味方全体を回復させ、その後再び体制を整える・・・というような戦略が、有用であるかどうかはともかく、生まれる事になります)。
 とにかく、このバトルのシステムはまだまだ煮詰めていく価値があると思います。Shou様はこの度ゲーム製作から身を引かれるとの事ですので、どなたでもこのシステムを面白いと思われた方は、更なる改良を施したバトルシステムを持つ作品を創ってみて欲しいと思います(Shou様も、取説にて謝意が示される限り、バトルの改良を許して下さると思います)。

 なお、豆知識ではあるのですが、

同じレベル1炎属性魔法、縦に一直線なら攻撃範囲はこんな感じですが、 斜めに一直線だと心持ち太いような・・・。

縦か横を揃えるより、斜めの方がずっと判定が強い!何で?


総括

 いや、5年半も前の作品とは思えない面白さがある作品だと感じました。もっとも、私にはジャストヒットしなかったのですが・・・。それでも、これは語り継がれていく作品だろうと感じさせられました。それでも、5年半も前の作品を今の感覚で採点してしまうと、点が厳し目になってしまうのは仕方ないところ。その辺を考慮して、ちょっとは甘く付けたつもりなのですがね・・・。グラフィックについては、先月先々月が凄かったという事情もあるのですが。

 ともかく。  女神クレスティーユよ、永遠なれ。


おまけ



或野 吟山
作画・或野吟山

 余りにネタが無いので、お茶を濁そうといつも上橋様の作品に批評ばっかりしているので、自分の「絵心」を大衆に曝さなくてはアンフェアだと思って3、4時間程度で描いたものです。しかし、葉書の裏に描いたのを(スキャナーが用意できなかったので)愛機COOLPIX SQで撮影して取り込んだので、ただでこそ見苦しい原画がひどい事に・・・

 でも、抗議は一切受け付けません。

(一言だけフォロー。左上にあるのは一応グラウンドシップのつもりですが、お陰でに見えてくるような気がします。)


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