■ かたわ少女
作者 [ Four Leaf Studios さま ] ジャンル [ サウンドノベル ] 容量・圧縮形式 [ 433MB・インストーラ ] 製作ツール [ Ren’Py engine ] 言語 [ 英語・フランス語・スペイン語・日本語 ] 備考 [ Windows, Mac, Linuxに対応 ] 配布元
- (補足)
- 2024.08.16:Steam, itch.ioでもリリースされました。 ※日本語にも対応しています。
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 9 /10 10/10 8 /10 168/180 シュン 9 /10 9 /10 10/10 牛人 8 /10 10/10 8 /10 DECOすけ野郎 10/10 10/10 10/10 hoikoro 9 /10 10/10 10/10 赤松弥太郎 9 /10 10/10 9 /10
《 ES 》 ハマリ度:9 グラフィック:10 サウンド:8
障害は身体だけではない。一人だけのものでもない。
本日のイチオシ作品「かたわ少女」。私の第一印象としては、「数々のバッシングを受けてまで、この作品を世に出した目的は何なのか」に尽きました。
そして、実際にプレイして分かりました。本作でまず目に付く「身体障害」と言う要素は、あくまで一要素にしか過ぎません。「かたわ少女」は、「身体障害」以外にも、様々な試練が登場人物や我々プレイヤーを襲う、相当に心に来る作品です。
1ENDを見た時点で気づくでしょう。本作を世に出した理由を。「かたわ少女」は、善意も悪意も、愛も憎しみも、ありとあらゆる「念」がこもった作品であることを。攻略難易度にしても、シナリオ内容にしても「初心者向け」な笑美シナリオの時点で、久夫には破局が、プレイヤーには大きな試練が襲い掛かります。絆を取り戻せるかどうかが、選択肢一つで決まる、大きな試練を課されます。
そんな終盤に掛かる辺りになると、私は攻略対象に感情移入しきっていました。それがたった一つの過ちで崩れていく絶望感と、たった一つの努力でギリギリの幸せをつかめるカタルシスは、確かにADVらしきゲーム性です。
選択肢でのセーブや既読スキップが出来るため、ルートを戻ることは簡単ですが、シナリオコンプを目指すとなると、絶望的なBAD ENDまでコンプを強いられます。
初プレイは何とかHAPPY ENDに持っていけた笑美シナリオですが、そこから予測できるBAD ENDが、予測の時点で絶望的過ぎて、踏み出しきれない自分がいます。「初心者向け」な笑美シナリオの時点でコレなのですから、他の4名のシナリオがどれだけ「真に迫った」モノであるかは、実際にプレイして確かめるべきです。
見た目的には一番好みだった華子シナリオのBAD ENDのやるせなさ、どう見ても「恋のバトル」レベルではない静音とリリーの不倶戴天っぷり、DECOすけ野郎氏の投稿レビューでは結構いいシーンだと思ってた「ある箇所」が実はBAD ENDだったりと、とにかく「衝撃」を感じるシナリオです。
そして、この頃になると、登場人物たちの「身体的な障害」なんて些細な問題になります。真に重要なのは、その障害と共に負った「精神的な障害」の方です。
主人公である久夫も、5名の攻略対象たちも、時にはサブキャラたちまで、その「精神的な障害」に立ち向かっていきます。それは、「愛が救う」レベルの単純な代物ではありません。場合によっては、それを基準に考えるとBAD ENDに行ってしまうシナリオさえあります。
HAPPY ENDであったとしても、「その精神的な障害を抱えつつ、これからも生きていく」と言う、決して「めでたしめでたし」では終わらない読後感になっています。
「だからこそ」と言うのが、本作「かたわ少女」が数々のファンを獲得した理由、そして、恐らくは、製作陣が目指した形であると、私は考えています。作品名に「かたわ」という刺激的な単語を入れた理由も、「本作は、単純で甘いラブラブシナリオのわけがない」という宣言に思えてきます。タイトルの時点で、プレイヤーは「警戒」しますからね。
そして、いくら「警戒」していても、かなりの衝撃が来るシナリオです。普通の五体満足なキャラで出されたら、「油断」して、その衝撃がプレイヤーへの精神的ダメージ→作品への悪評に繋がっていた危険さえあります。
プレイしている最中、ずっと「重いもの」を抱えた気分になれる作品です。しかし、その「重いもの」は、登場人物たちが、そして、数多の「障害を抱えた」人間たちが常に戦っているものでもあるのです。
皆様も、戦ってください。あっ、【H】ジャンルと言うことで期待している人もいるかもしれない18禁シーンですが、ソフトコアなレベルにとどまっています。ご了承ください。
《 シュン 》 ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:10
体には障害がある。でも恋に障害はあるのでしょうか?
まだ日本語版は体験版しか無かった時のこの作品のレビュー(DECOすけ野郎氏)を見て思ったのは「何でそんな長々と語る必要が・・・」でした。
おかげで体験版すらプレイを見送る始末です。確かにかなりの長編となっており、題材も重く、見てて辛いと思う場面も多々ありました。
あのレビューでも独特なタイトルから心配させられた、と言っていましたし。
しかし最後までプレイして(回想を100%にして)初めてこの作品の意味が分かったような、そんな気持ちにさせられます。
にしてもアニメーションの出来の凄さに驚きを隠せません。これは後述。
中井久夫は憧れのクラスメートの女子に告白された途端、心臓発作を起こして倒れてしまいました。
医師から診断された病気は「狭心症」。今まで何事も無かったのが奇跡とされ、もう普通の高校生活を送ることが出来ない、とも言われました。
退院後、彼は障害者たちが通う特別学校「山久学園」に転校することになりました。
そして何かしらの障害を抱えた5人の女子生徒との出会い。他にも様々な人物の出会いが待っています。
彼はこの学校で何を見るのでしょうか・・・。
さて、この作品は「あること」を除けば一般的なギャルゲーですね。18禁なのでエロシーンも当然あります。
「あること」とは「主人公もヒロインも何かしらの障害を抱えている」ということです。身体的な意味はもちろん、精神的な意味でも。
まずは主人公。彼は感情移入できるタイプとは言い難いですが、自分なりに考え、悩み、時には無茶をして・・・。ある意味主人公らしいとも言えます。
そしてヒロインたちもみんな一筋縄ではいかないタイプです。ちょっと長くなりますが今回は一人一人、ヒロインのキャラ性やストーリーを語っていこうと思います。
まずは茨木笑美。事故で両足を失い、義足を付けて陸上部のトップランナーとなっています。
両足を失ったことを跳ね飛ばすような明るい性格(と同時に強引な性格でも・・・)で、主人公をランニングに誘ったりします。
主人公は心臓に爆弾を抱えているというのに・・・強引さもここに極まれり。
・・・ですがそう簡単に事は運ばないのが彼女。どうやら事故については今も引きずっているようです。
彼女が「誰にも頼らない」という趣旨の発言をした時には「時には誰かを頼ることも必要です!」と反応しました。
一人で乗り越えることも確かに大事ですが、誰か(この場合は他人を)を頼らないといけない時も来るのですよ・・・!
ちなみに、このキャラはハッピーエンドに進む結末の過程が2つありますが、どちらでも1つの結末へと収束するようになっています。笑美を追いかけるパターンがオススメ。
結局ラストのアレは一体なんだったのでしょうか。他のヒロインと違いハッピーエンドでもどうも後味の悪い結末です・・・。
次は池沢華子。火事で体の右半分に大火傷を負ってしまい、その痕が生々しく残っています。
しかし、彼女は心の傷を負ってしまっています。序盤、主人公が図書室で話しかけてもすぐ逃げるといいます・・・。
後述するリリー以外とは心を開こうとせず、完全に他人と壁を作ってしまっています。
彼女は他のヒロインと違い、四肢と五感に障害があるわけでは無いのですが、それ以上に心の傷が深刻です。
話の重さでは他のシナリオと比べても群を抜いており、最初の方に攻略するのは辛いものがあるため、後回しを推奨します。
それはやはり「心の傷」が関係しています。また、主人公の心臓の病気も彼女を変えるきっかけを作ることになります。
ここのルートではバッドエンドに突入する確率が高く、それもあまりにも救いの無い展開。彼女にきちんと向き合えなかった末路と考えると・・・あまりにも悲惨です。
ノーマルエンドも後味が悪い結末です。その分、ハッピーエンドは本当に良かった!と思える温かい結末でした。
主人公がヒロインの心を動かした時、最後のスチルの大胆な行動は特に印象に残りました。
恋愛物として一番王道な展開を貫いてくれたルートでした。こういう意味でも、最後の方に見ることをオススメします。
エロシーンが彼女だけ一回しかないのは何故かな?その分萌えましたけど。
その次は砂藤リリー。生まれつき盲目の彼女。立ち絵でも目がぼやけてよく見えないのが分かります。
問題となるのは目が見えないというより家族との関係が見えないということです。一体何があったというのでしょうか・・・。
華子と仲が良いですが、その理由は・・・?華子とフラグが同一であり同時攻略が可能。ある選択肢でどちらを選ぶかによって分岐します。
おっとりしていて頼りがいのあるキャラ性なのか他のキャラと比べても鬱展開などは少なめです。それでも辛い描写はいくつかあります。リリーが一旦故郷のスコットランドに戻った時とか。
休暇で北海道の別荘に滞在することとなるのですが、その辺りから関係に変化が起こり始めます。最終的にリリーは・・・。
長く続くと思われていた幸せな日常が次第に崩れていくのは見るに堪えないです。果たして2人は幸せな未来に辿りつけるでしょうか。
このルートでは全体的に見ても主人公が無理し過ぎです。確かに彼女を想うのも大事ですが自分が死んじゃったら意味無いですから!
あのシーンを見た時はまさかのバッドエンド!?と思いましたがちゃんとハッピーになれた時は良かったですね。このエンドにのみエピローグがあります。そちらもチェック。
あと、お風呂のシーンは萌えますね!このキャラのルートを見て改めて思いました。
そして手塚琳。腕がほとんど成長しないという体のため足が手の代わりになっている美術部員。
主人公に会って早々変な質問の応対をしたり、訳の分からない言動を始めたり・・・。このルートでは主人公が美術部に入ることに。
腕が使えないから不便・・・ということも無く、障害も苦にして無いタイプです。笑美と仲が良いのも分かる気がします。
そんなキャラ性に反し、話が結構重く、一時も油断できない展開になっています。
涙ひとつ流さないと思っていた彼女が涙するシーンを見た時は驚きましたね。他にも主人公のことを遠ざけたり、先生に反抗したり・・・。
ハッキリ言って彼女の考えてることは良く分かりません。一番分からないのはアトリエで2人きりでのあのシーン。それやって大丈夫ですか?
他のルート以上に彼女の心を掴むことが出来るか、理解することが出来るか、が重要な鍵になります。
余談ですが、お互い「好き」と自覚するタイミングが相当遅かったりします。ここまで来てもまだ「友達」と主張するのですか・・・。
個人的にはノーマルエンドの方が好きですね。こっちの方が2人とも幸せかも・・・。
最後に羽加道静音。耳が聞こえないため手話で伝達をすることが多い彼女はミーシャという
女子生徒と行動を共にすることが多いです。主人公が手話を覚えるまで彼女とはまともに交流できません。
2人は生徒会の一員であり(静音は生徒会長)、主人公も(強引に)生徒会に入ることとなります。また七夕祭りのシーンもあるので要チェック。
話が大きく動くのは彼女の実家に招かれた辺りから。静音とリリーの仲が悪い理由など、家庭の事情が明らかになります。
彼女の父親がホントにムカつきます。同情の余地が無くしかも反省しないタイプ・・・。DECOすけ野郎氏の怒りも分かるような気がします。
あと、意外と積極的なタイプでした・・・。耳が聞こえないから相手の事情などおかまいなしにやりたいことが通るのかな?
ミーシャ(御門椎名)には気をつけておいてください。とある箇所で彼女は「秘密」の話になった途端雰囲気がガラリと変わります。そしてある選択を迫られることに・・・。
うっかり判断を間違えると・・・取り返しのつかない事態に発展するエンドに到達してしまいます。あの親父並みに問題がありましたよ!
間違ってもこちらのエンドを後に見ないように!選択肢で推測は出来るので主人公共々後悔したく無いならここは守っておいてください。
ちなみにミーシャは攻略対象外のキャラです。彼女以外にも攻略できないキャラが結構います。
ホントにムカつきました!親父さんとミーシャをまとめてぶっ飛ばしたいです!このヤロー!
他にもサブキャラとしてメガネの悪友やメガネのドジっ子・・・決してメガネキャラばかりではないですよ?
笑美の母親とか、リリーの姉さんとか、静音の弟や親父とか・・・。良い人からムカつく人まで揃ってます。
流石にあのキャラのあのシーンを出すわけには・・・にしてもDECOすけ野郎氏は何故あの場面を?
全てのルートに岩魚子(プロローグで主人公に告白したあの子)からの手紙が届くという展開がありますが、これがまた・・・。
何を言ってるのですか!?そんなことなら送らないで下さいよ~!
攻略順としてオススメなのは笑美→静音→琳→リリー→華子。
攻略が簡単な笑美や静音は早めに攻略し、難易度がやや高めな琳や華子は後回しにする方が良いと思います(あくまで自分の意見)。
理由としては難易度もありますが、キャラの掘り下げや、話の難しさや重さも考慮したものです。
攻略法ですが、話は全4章で、基本的には1章でのフラグ立て。ルートは第1章で決定する(2章からは確定で個別ルート)のですが、
強引に決定されることもあれば、他にフラグを立ててないときにのみ突入できる場合も。
特定の選択肢によりバッドエンドになってしまうことがあり、これがまた悲惨。このエンドは一番最初に見ることをオススメします。
ルート突入前(第2章に突入する前)にはアニメーションが挿入されますが、これがまた凄いです。どうしてここに力を入れたのでしょうか・・・。
個別ルートの選択肢も様々で、1つだけで結末が変わるキャラもいますし、全ての選択肢に全問正解しないとハッピーエンドが見られないキャラもいます。
普通に進めていれば、選択肢の組み合わせを試していればすべてのシナリオを回収できますが、1つだけ苦戦するものがあります。具体的には
「特定のキャラのフラグを立てつつ、別のキャラのフラグを立てる」と見られるもの。図書室(シナリオ回想に当たる)の進捗率を100%にすると・・・?
DECOすけ野郎氏のレビューでも語られていた言葉を自分も掘り下げてみようと思います。その言葉がこちら。
「人がその障害によって定義付けられる事など無い」
これは障害で人の出来ることや出来ないことが決まっていても、その人の人格や考え方まで決まるわけでは無い、と自分は思います。
目が見えない、耳が聞こえない、腕や足が無い、しかしそのことを足枷にしているわけではありません。むしろ心の傷が一番深刻だった、ということが皮肉にも思えます。
障害があるから・・・障害のせいで・・・、と言い訳にしているわけでは無いですし、それが原因で恋愛も出来ない・・・ということもありません。
むしろここでの「障害」はあくまで要素の1つで、普通の恋愛物として楽しむのが最適解なのでしょう。
体の障害は乗り越えられないことがあっても、恋の障害なら乗り越えられる・・・のかもしれません。
《 牛人 》 ハマリ度:8 グラフィック:10 サウンド:8
なんだ、美貴か。(その子が本命ぇぇ)
18禁サウンドノベルです。テキスト量はかなり多く、すべてを網羅するには至りませんでした。
操作性は標準的で、ストレスの感じないものになっております。
本作の特徴はヒロインが皆なんらかの身体障害を抱えている事です。
そのため、心まで歪んでいるのではと思いがちですが、皆さん真っ当に青春しております。
ビジュアルと題名のインパクトからすると少々残念ですが、普通のギャルゲーと言えるでしょう。
障碍者も健常者も中身は大して変わらんという、制作サイドからのメッセージかもしれません。
エロ要素もあっさりとしており、胃もたれしている時にお勧めできます。
むしろ、この作品にエロを求める事は酷ではないでしょうか。
重ねて書きますが、センセーショナルな外見に対し、中身は非常にさわやかなものに仕上がっております。
最後にこれだけは言いたい。
オレは美貴が攻略したいぞおぉぉ!!! あと岩魚子も気になる
いやぁ、エロってほんっとうに良いものですね。
- ハマリ度:8/10
- 変に期待しない方が良い
- グラフィック:10/10
- カワイイ!!
- サウンド:8/10
- 良い
《 DECOすけ野郎 》 ハマリ度:10 グラフィック:10 サウンド:10
見よ!魂が震える!愛と生き様、そして想いがが交差する!
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
今年の4月に日本語翻訳版がついに世に出たことを知った時にはまさに欣喜雀躍、歓天喜地の状態でした。
本当にありがとう!おめでとう!
翻訳チーム関係者一同、そして関わった方々みなさま方、ありがとうございました。
【山久学園 再訪】
まるで同窓会みたいですよ。学園のストック写真がインターナショナル感が出ているわー、
と思っていたらどうやら実際にカナダ班がカナダの大学で撮影したものだったのですね。
それはさておき、登場人物全員分に対してどう感じたか、ということを率直に書いていきたい。久夫へ
お元気ですか。この物語は彼の成長していく話でもあるわけでして、いろいろと考えて葛藤しているのわけですよ。ときには難しいこともある。
ときには、詩的な言い回しが余り好きになれなかったり、修復不可能なほどバッドになる場合もある。
また、何回も屋上から・・・それはさておき。信じる力、乗り越える力、付き合っていく力、
無知だと知り、それを苦しみながらも克服していく力、未来に向かって進む力、
それが中井久夫を久夫たらしめている。武藤先生へ
お世話になりました。最初は、外見も地味だし余り深く関わることもないだろうな、と思っていました。
学生時代に、科学、および理科は興味がなかったし。それでも、話をもっと進めていくことで
「そう言えば、科学は嫌いだったけど、地質学だけは何故か興味を持って取り組めたよな。
物事を別の視点から見れば違ったことも見える、なるほど、それを武藤先生は教えたかったのか。」
としきりに納得していました。やっぱり導く人という意味では大事。非常に大事。司書さんへ
お久しぶりです。彼女については赤松さんが割いてくれるはず。(静音の弟も同様)
今後も(致命的に周りが見えていないけれども)良き司書として、今後の夢に向かって突き進んでいってください。健二へ
ああ、お前だよお前、瀬藤健二。
最初の第一印象は最悪だった、さらにそれは悪化していったと思っていたら、いきなりバッドエンドで闇を見せられたね。
あれは忘れないぜ。いろいろあったけど、悪いやつではなかったのだな。一種の清涼剤、いわばルートビアみたいなヤツだ。
ルートビア好きには悪いかもしれないが、それが真っ先に思いついたことだよ。
他の人から「え!あの宴会のシーンってバッドエンドだったのですか!」と言われたけど、そうだよ!
前のレビューではちょっといい話っぽくまとめちゃったけれども、非リアは祭りでは居場所が無いし死ぬほど自棄になるしかない、とでも言わんばかりだよな!華子へ
相手の立場にたって考えるのは本当に難しい、というのはどのシナリオでも共通点ではあるけれども、特にここでのバッドエンド、そしてノーマルエンドに良く出ていると思う。ノーマルエンドは破滅の兆しが見えてきた、実質的にバッドに近いと思う。そして、バッドエンド。
あれはねー、初めて見たときは驚いたよ。これはもうズタボロですよ。シナリオ読破率100%のために本当に申し訳ないことをしてしまったと思う。
「弱いからこそ守らなきゃ」
が、逆に縛り付けていたのだよね。ただ、以前は「かわいそう」だと思ったけど、今回は「むしろ、かわいそうだと思われることが嫌だっただろうな、すまない」という気持ちになれた。
だからこそ「意志を尊重する」(無論、それが押し付けであってはいけない)ことで、ようやくスタートラインにたてたときの喜びは、もう何事にも代えられないものでありました。笑美へ
最初、ありがちなギャルゲー的に進むから「本当に大丈夫だろうか」と思った。
ナース君も、しきりに危なっかしいことを言ってくるし、健二的な発想になりかけてきたね。
あの時は危なかったぜ。「本当に積極的なおなごだよなあ。積極的にキスもしてくるし、そのせいか生徒会コンビも『このこの~』みたいな感じで突っかかってくるし、もう完全にノリが中学生だわ」と、2章まではそういう感じに進んでいた。
そういう方面でも積極的だったとは。(前回「動揺した」って書いた箇所、あれの意味もみんな分かったと思う)前半は、何も(そそっかしいところや、多少強引な箇所以外は)あまり問題なさそうに見えるのだけども、乗り越えるべき壁というものはあったよ。久夫は白馬の王子ではないし、完璧ではないとは思う。
でも、今までの走る行為が全てを忘れさせてくれることから「新たな可能性」、つまりMost Emiになれる、と意味合いが変わったことがグッドエンドで提示されたわけだよね。
バッドエンドだと、すべてが何もなかったかのように戻り、傷だけが残るけれども。
それに、このシナリオでは他では出なかった琳が、かなり良い役割を果たしていたとも言えるでしょう。静音へ
ミーシャの私服のセンスはどうにかならないのか。
(恐らく、家族が共和党支持者なのか、あるいはお下がり、もしくはセカンドハンドで買ったものだと思われる)しかし、本当に静音の親父って本当に嫌な野郎だよな!
この作品には嫌な野郎はそんなにはいないけれども、あえて言うならば彼かもしれない。
無意識的に、出てくる場面で全部スキップしていたくらい。(後でバックログで読んでいたけど)健二はいろいろとかわいそうなところもあった、同意できるところもあるよ。
(たまには殺意を抱くことはあるけれども)。あの親父はツラを見るだけで腹がたってくるよね。静音も、本当に面倒にもほどがある奴だよなあ!と思う。思っていた。実際は弟の方が面倒なヤツだったけど。
でも、紐解いていくと、真剣で、常に他人を巻き込もうとしていて、気が強いけどユーモラスなところもあって、しかし家庭の事情がすげえややこしいわけ。おそらく、過去にいろいろあったっぽいよね、うん。でも「大事なのは今、そしてこれからだよ」ということを教えられたような気がした。
2章に入る前のムービーのタイトルがThree Stars、3つの星だったわけでしょう。
そうやって、いつまでも3人は煌く星でい続けられるのでしょうね。リリーへ
華子ルートと同じようなイベントでも、かなり違って見えてくるものだなあ。
このシナリオでは晃さんがかなりはっちゃけていたり(そう、このゲームにはいろいろ大事なメッセージがある。『避妊は忘れるな』はそのうちの一つに過ぎない)、華子が幸せになっていったりと、いろいろあるシナリオよ。見えないから、と思い込んでいたけれども実際にはいろいろと見えていて、いろいろ近いと思っていたのに何も知らなかったり、互いにすれ違っていくところは見ていてつらかったですよなあ。
だから、最後の「走れ!命に代えてでも!」の箇所はアツかったですよ。
かなり無茶をしていたと思うけど。すごいおしとやかな方だと思っていたら、ここまで情熱的な、燃えるような方だったとは思いもよらなかったです。
ほぼリード(多義的な意味で)されっぱなしな状態だからね。琳へ
芸術とは何か、何故人は芸術を営むのか。何故人間は生を受けたのか。
人間はどこへ行くのか、何が芸術なのか、何琳は琳なのか。・・・ということを考えていたら、かえって何も書けなくなってしまったため、今年、旅行でメトロポリタン美術館に行ってきたときのことを話そうと思う。
そこで、芸術に関する認識をあらためるいい機会があったわけです。一人で歩いていたら、ガイドさんがツアー客を案内していました。
普通だったら、美術館のガイドさんはあくまでも歴史、作者の芸術性、美術用語などにとどめると思うのですけどが、その人は違った。
例えば、絵画を指しながら「この人は、現在だったら『都会で敏腕弁護士をやっていたが、嫌気がさして田舎に移り住んでいる』
という設定ですね。おそらく、ロハス的『田舎移住ブログ』を1日3回は更新しています。
絵の中では畑仕事をやっていますが、あまりたいした戦力にはなっていませんねー。」「このロダンの石像は本当に嫌なやつ。サイテーで、SNSでいつもロクでもないことを言って、ともかく最悪だけれども地球温暖化だけは信じている、そういうタイプ」
(地球温暖化否定者がどれだけひどいのか、と言わんばかり)その際、話を聞いているツアー客が爆笑していて、その瞬間に環形ないと思っていた遠い過去の絵や彫刻がものすごく、ぐっと近づいていったような気がしたのですよ。
「自分の中にある芸術というものから離れてみていったからこそ、変わったものが見えていった」
ということと「芸術そのものよりも、それに意味を見出していくことが芸術である」
・・・この調子だと、さらに話が収集つかなくなる可能性がある。まとめに入ろう。そう、ここで覚えてもらいたいことがある、手塚琳ってやつがいた。
いろいろと思い悩んでいた。たまにはちょっと分からないこともあるけど、想像力があって、空を眺めるのが好きな、とても素敵な人だよ。
【運命の分岐選択】
4年ぶりに進めたら、当時と同じくバッドエンドになってしまいました。何でや!
(ここでエロシーンでの音楽が流れるのは、ひょっとして何らかの巨大な陰謀が働いているのでは・・・)
実は、このゲームでは好感度システムがあって、選択肢ごとに各好感度が+されたり-されていくという形式になっています。特に、1話は一つでも間違えると即バッドになります。管理人注:攻略のネタバレがあるため、伏せさせていただきます。
- 笑美ルート
ナースが「トレーニングした方がいいよ」というところで【はい】を選択(トレーニングフラグが立つ)
2度目のトレーニングの際に【もうちょっと頑張る】を選択すればそのまま進みます。
これ以降だと、3章でのとある選択がバッドにつながるものの、この中ではかなり進めやすい方でしょう。
(2章は選択肢が1つしかないが、どちらを選んでもフラグは立たないため。)ややこしいのは、一旦バッドエンドルート(家に招かれた際、母親ではなく笑美に無理やり聞こうとする)に入り、再度ミーシャの質問に正直に答えることでこのイベントでしか出てこない画像(&ルート)が出てくるということです。
- 華子/リリールート
途中までは同じなため、同一なものとして扱います。図書館に行く、生徒会グループの誘いを拒否し続けることでこのシナリオに進んでいきます。
華子は図書館、リリーは街に行くで分岐します。
華子ルートで好感度が下げる選択肢を選べば最悪なバッドエンド、最後の選択肢でノーマルエンド、あるいはグッドエンドに分岐します。リリールートはノーマル1、グッド1です。華子編でバッドエンドを目指すためには、2章から否定的な選択肢を選ばないといけないため、2章時点のセーブデータを取っておく必要があります(それがないと、最初からやり直す必要があるため)。
逆に、好感度が高い状態にある別のセーブデータで最後の選択肢でセーブをすればすぐに分岐するため楽に進めるでしょう。- 静音ルート
生徒会グループの誘いに乗っていけばOK。積極的な選択肢を選びましょう。
2章は全く選択肢はないものの、3章の選択肢でエンディングが分岐します。一番フラグが分かりづらいイベント(個人的感想)「緩やかな回復」は、笑美とのトレーニングフラグを立てておき、静音に好意的な選択肢を選びつつ、最後に【もうちょっと頑張る】を選択しないと出てきません。
これが分かるまで何回やり直したことか。- 琳ルート
- 華子/リリールートのイベント(リリーと買物に行き、帰り道に琳と出会う)が出てくればいいのですが、ともかく「他の好感度を上げていかない」選択肢を選ぶ必要があるため、必然的に一番最後になってしまいます。
エンディングはバッド1、ノーマル1、グッド1です。
余り乗り気でなくても、とりあえず美術部に入ってみましょう。
【そして神様は子供たちと踊る】
これでも書きたいことの40%くらいしか書けなかったですね。難しい。
点数は、前回と同じく据置き。点数どうこうの問題ではなくてこれやって何を感じたか、それにかかっていると思う。
(本当は点数をつけたくないけど、決まりだからね。仕方が無いね。)年月が経って、本当に嫌になるほど辛い時期もあった。しかし、信じてきたものや固執してきたものを手放すことにより新たな可能性を発見した、そのことでようやく前に進むことができる。
それを、かなり遠回りして発見したとも言えるかな。そういうゲームでした。最後に、これを書く際に参考にしたスピーチを引用したいと思います。
エイミー・マリンズさんはパラリンピックにも出演した元陸上選手で、現在は女優・モデルをしています。走る際には、笑美みたいな機能的なものをつけたりしています。
別のスピーチでは「ハンディは克服するものではなく プラスに増幅していくもの」と語っていましたが、今回紹介するものはまた別の視点から見たものです。
エイミー・マリンズ:逆境から生まれる機会数ヶ月前に雑誌の記事を執筆していたときに、発見したことをお話しします。
いつも類義語辞典をそばに置いておくのですが、そのときは執筆も終わっていて
「不能にする」-disabled-の類義語を一度も調べたことがないと気が付きました。
見出し項目を読んでみます。Disabled―形容詞「不具の」「無力な」「役に立たない」「体をこわした」「立ち往生した」「傷ついた」「負傷した」「めった切りにされた」「足が不自由な」「手足を切断された」「健康を害した」「疲れ果てた」「弱まった」「体力がない」「去勢された」「麻痺した」「障害を持った」「ボケた」「老いぼれの」「働けなくなった」「終わった」「やられた」「疲れ果てた」「くじけた」「除外された」
参照:「傷ついた」「役に立たない」「弱い」
対義語:「健康な」「強い」「能力がある」
私は友達に読み上げながら最初は笑っていました。馬鹿げてるんだもの。でも「めった切りにされた」と読んだ後、
私は涙声になり、言葉がもたらした攻撃からの感情的ショックと衝撃で心を落ち着かせる時間が必要でした。(中略)
そこで、すぐに2009年オンライン類義語辞典を調べてみました。特筆に値するものを期待していたのです。
これが最新版です。残念ながらさほど変わりはありませんでした。「対義語に近い」とされる二つの言葉には
特に違和感を感じました。“完全な”“健康によい”と定義されていました。これは言葉だけの問題ではありません。このような言葉が先入観を生み出します。言葉の価値観やその価値観が
いかに生み出されるかが問題です。言葉は私たちの思考や世界の見方他者を見る目に影響を与えます。
ギリシャ人やローマ人などの多くの古代社会では口に出して呪う効力を確信していました。
口に出すと現実になってしまうからです。
(中略)
先ほどの類義語辞典の件では、私たちが使う言葉は切実に望む現実へ進むことを阻止していて、個人が自らの有能さを
見る可能性を消しています。私たちが使う言葉は社会の変化に追いついていません。(中略)
適応する人間の力とは興味深いものです。逆境の克服をテーマに私と話したがる人は常にいました。
ここで打ち明けてしまいますが、逆境の克服という表現は違和感があっていつも居心地悪く感じていました。
その理由が分かり始めたのです。逆境を乗り越える、という表現が意図するのは、努力を必要とする体験の向こうに成功や幸せが現れるという考えです。
その体験から、傷を負うこともなく変わることもなく、まるで義足での生活、または私の不能さとして見られているものに
存在するであろう落とし穴を回避する力から人生における成功が生まれたような見方。でも、実際には挑戦するからこそ私たちは変わるのです。肉体的にも感情的にも変わります。
私は好ましいことだと思っています。逆境とは、生活をしていく上で回避しなくてはいけない障害ではなく、
生活の一部なのです。私は影のように考えています。くっきり見えたりほとんど見えなかったり…。
でも必ずそばにいる私は、辛苦に伴う圧迫感や負担を消そうとしているのではありません。
人生には逆境がつきもので、大変であり、相対的なものです。大切なのは、逆境と出会うかどうかではなく
いかに逆境と出会うか、ということ。ですから、私たちは 大切な人を逆境からかばうのではなく、
うまく遭遇できるよう準備してあげなくてはいけません。自らの適応力がない、と子どもが感じるのは
私たち大人の行為が裏目に出ているのです。大切な違いは、客観的に見た『私には足がない』という医療的事実と『私が障害者なのかどうか』という
主観的に見た社会的意見の差です。私が向き合ってきた唯一の障害とは、先ほどのような定義で私を表現する世界です。大切にしたい人たちに客観的で辛い予後を知らせるとき、または病気と向き合う生活を伝えるとき、
誰かを不能にしてしまう壁をつくり出さないように注意しなくてはいけません。
もしかしたら、問題の原因と処置の仕方しか見ない―現在のやり方は、病状以上の障害をもたらしているかもしれません。
人を不完全とみなして、彼らの潜在能力に気づかないと、生まれつき持ち合わせた苦悩にさらなる問題を作り上げてしまいます。私たちは、人の価値に等級をつけているのです。病状にとらわれずに人間の可能性を見抜かなくてはいけません。
一番大切なのは、表向きの欠陥と、私たちが併せ持つ最大の創造力には関係性があるということですですから、
このような苦難を避けたり隠したいものとして否定するのではなく、逆境に埋まっているチャンスを見つけることです。私が言いたいのは、逆境の克服というよりも、むしろ逆境に対して自分自身の可能性を開きその可能性を利用して、
取っ組み合いをしながら格闘し、とき一緒に踊るという考えです。もしも逆境が生まれつきのもの調和したもの、
役立つものだと分かれば、その存在はそれほど気にならないでしょう。私たちが作り上げた最大の逆境とは正常という考えだと思います。正常な人とは誰のことでしょう。
正常なんかありません。並みや典型的はあっても正常はないのです。(中略)
必要なのは、誰か1人可能性の見抜き方が伝授されれば、自分の道が開けます。極めて重要なときに
誰かに力を解き放つ鍵を渡し、門戸を開いてあげるのは人間の心の受容力を考えると、最高の育て方と言います。
自ら門戸を開くことを教えているのです。「教育する」-educate-という言葉の語源はeduceという言葉から来ていて
内面にあるものを生む、潜在能力を引き出すという意味です。
さあ、どんな潜在能力を私たちは引き出したいのでしょう?(中略)
唯一本当のハンディキャップと言えるのは打ちのめされた心だと思います。
打ちのめされ、希望がもてない心、美点を見れず、持ち合わせているはずの子どものような好奇心がなくなり、
生まれつき持っている想像力がなくなった状態。もしも、私たちが希望を保ち、自分自身や他者がもつ美点を見いだし好奇心と想像力をもつ心に力を吹き込めれば、
私たちは力を真から発揮できるのです。心がそのような特性をもつと私たちは新しい現実や新しいあり方を創りだせます。
最後に詩を朗読します。14世紀のペルシャの詩人ハフィスの詩で私の友人が教えてくれました。
“4つの言葉しか知らない神様”という詩です。
“どの子どもも、神様を知っている。
悪口の神様ではない。
禁制の神様でもない
4つの言葉しか知らない神様だ
神様は繰り返し言う
Come dance with me―私と共に踊ろうよ”私と共に踊ろうよ。
《 hoikoro 》 ハマリ度:9 グラフィック:10 サウンド:10
【かたわ少女】今回レビューさせていただきました。
まず注意なのですが、自分は学が浅いゆえに今レビューにおいて不快に感じる表現を用いてしまうかもしれません。ご容赦ください。
本作品の特色、もしくは魅力として、登場人物の大半が何らかの障害を持っています。
生活に大きく支障が出るような内容のものが多いです。しかし同様に、彼女らは誰しもそれらを肉体的に克服しております。
強く押し出されているのはむしろ、そのような”普通ではない”という自己認識における、精神的な面での他者との壁です。
自分で何とかしなくてはならない、自分の中で完結しなくてはならない、他者に頼ってはならない、理解してもらわなくてはならない。など。
本作品のヒロインたちは、どれも心に大きな壁があり、それらをどう取り払い親密になるか、がキーになっております。
自分はサウンドノベル系のゲームをあまりやっていないので比較対象には出来ませんが
このゲーム、本当に本当にボリュームがすごいです!!!
一人のストーリー?を全てじっくり読み終えるのにだいたい3時間程度+α、これが5人分あります。
用いられているBGMの量も非常に多く、また挿絵、立ち絵もかなり豊富です。
その中でも特に驚いたのは全キャラクターと序盤にあるアニメーションです。
ゆっくりとはじめから眺めていたら突然度肝を抜かされました。
最初はただアニメーションがあること、そのクオリティにだけ驚愕していたのですが
ルートをすべてクリアした後にもう一度アニメーションを見るともう素晴らしい。素晴らしいです。
ここはあの場面、ここはあの――と場面が思い返せるのです。ぬるぬる動く映像もさることながら、その表現と演出
加えて伏線にまで気がついた時はもう胸がざわめくざわめく。本作品は最近日本語訳版が登場した海外産のゲームらしく
日本語にしては少し違和感のある言い回しや表現がままありましたが、全体的に丁寧に纏まっており、誤字もほとんど見受けられませんでした。
また、スキップやオプションなどの機能も当然のようにあり、従来のサウンドノベルと変わることなく快適にプレイ出来ました。
残念なことに時間がどうしても足らず、リリーを残してのレビューになってしまったことが大変心苦しく思っております…。
どのルートもルートごとの特色が強く、どのルートも素晴らしいシナリオであったがためにほんとうに悲しい…
特に琳シナリオはもう本当になんと言っていいのやら、他のルートよりもかなり胸を抉る展開や苦しい気持ちを抑えてプレイするのですが
ラストに向かうその展開の出来栄えたるや…見ていただけないとなんとも言えませんが僕は大好きです。
・ハマリ度:9/10
上述しましたがボリュームが大変素晴らしく、どのルートも見応え抜群。
スキップ機能や豊富な量のセーブ枠もあり、どこで一時中断しても問題は生じないように作られています。
難点があるとするならば仕方ないとはいえ主人公の性格、通常時は特に問題は全くないのですが
この主人公はかなりイライラ係数が高くすぐイライラしてしまうというのが、プレイしていて共感ではなく「やめろ…イライラしないでくれ…ヒロインに当たらないでくれ…」という焦燥感を感じてしまうことです。
主人公の周囲の環境上仕方ないことなのですが…特に琳や笑美に対する態度に、本当仕方ないんですけどね…
・グラフィック:10/10
アニメーションが本当にとんでもない!!!よし、それはさておき
背景、キャラクターの立ち絵、挿絵、actごとに差し込まれる絵など、用いられるべきものに適切かつ豊富に用いております。
タッチが絵ごとにやや違いが見られたのですが、大きな問題では無いと思いました。
・サウンド:10/10
これまたサウンドも豊富です、おまけの音楽室のサウンドの量からしても多く
どれも綺麗で状況にあったBGMでした、音楽調整もしっかりとあり、秀逸な音楽室もあるので特に減点すべき箇所は見受けられないように思えます。
減点対象ではありませんがこのゲーム最大の欠点として、成人向けコンテンツ無効、があります。
これはひどい、本当に酷い!!!!
華子ルートにおける自分の崩壊寸前の涙腺が、今!今決壊する!!と言った場面で……うおおおおおおおおおお!!!
ええ、いえ、なんでもありません…オフにすればいいだけですから、自分が悪かったんです…
ゲームが進むにつれて健二が好きになってくるよ。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:9 グラフィック:10 サウンド:9
羽を傷つけ それでも鳥は 朝を待ち飛び立つよ
今まではっきりと書いてきませんでしたが、ボクのイチオシは、必要とあらば終盤やエンディングの展開に触れますからね。
ボクが狙っているのはネタバレ(spoiler)ではないし、ボクなりの基準があるのですがしかし、皆さんの水準とボクの水準が必ずしも一致するとは限りませんし、少なからず予断を与える文章は書きます。
ですが、激辛のイチオシという場所にボクが求めているのは、ただの紹介文に留まらないものなのです。
ただの紹介文であるならば、投稿レビューや他のサイトでも読めば十分でしょう。
さらに言うなら、ボクがイチオシで書こうと目指しているのは、感想文・紹介文・批評文、いずれでもないです。
今のボクが書ける文章は、この3つの枠の中に収まってしまう程度のものですが、しかしそこにこだわる気がありません。
作者さんが笑ってくれたり、プレイしてない人がプレイしてくれたりすれば嬉しいものですが、それを目的にするのは欲張りすぎでしょう。
激辛のイチオシという場でできる表現を、やりたいようにやるだけ、と。自戒のつもりで明記しておきます。
さて。
本作にはまり込んでしまったと告白するのは、個人的には非常にこっぱずかしいことなのですが。
こういうヤングアダルトはもっと若い子が読んで感銘を受けるもので、青臭いと言うより足臭い、ゆでた空豆みたいな臭いがするボクが胸を張って感動したとかなんとか言うのはダメだろ、というオタクじみた自意識があるのですよ。
しかしながら、5人のシナリオの内3本までがクリーンヒットしてマットに沈められたことを隠したところでしょうがない。
ええ、やっちまいましたよ。全く油断はしていなかったのですけども。
ボクが味わった情動を形にするためにはどうしても、自分の奥底へと降りていかねばなりませんでした。長い長い苦闘の始まりでした。
ボクが攻略した順に思い出してみましょうか。寂しがりのあの子たちを。
全シナリオを2回以上読み直した立場で思いつくことを書くので、初見で読むと、本作の意外性を大いに損ねるやもしれません。
しかし攻略順だけは、初見の人にも参考になると思います。この順序でやって良かったと、かなり満足していますねボクは。
羽加道静音
言うまでも無く最初に攻略しました。皆さんも最初に攻略することを強く推奨。
これは別にメガネだからってばかりでは無いんですよ。
エンディングの読了感も良いし、攻略難度が最も低いのが1つ。
加えて、生徒会長という彼女の立ち位置は、本作の人物を俯瞰するのにうってつけなんです。
攻略キャラの誰とも親密な関係ではありませんから、他のシナリオをスポイルすることもありませんし。適度な期待感を持たせてくれます。
ボクにとっては、強烈な親近感をおぼえる子です。
とはいえ、実際に目の当たりにしたら絶対にケンカすると思いますけどね。
ディスプレイの向こうではなく目の前に彼女がいたとして、同情心や保護欲抜きで「かわいい」と言えるでしょうか。
強引に自己中心的に、あの手この手で弛まず干渉してくる彼女に向き合い続けるなんて、体力も根気も無いボクには無理な気がします。残念なんですけど。
むしろ、彼女を遠巻きにするクラスメートの方に同情的で。ボクもきっと、そう振る舞ってしまうと思うんです。ボクもわがままだからね。
彼女は、この世界に「手応え」を求めています。
反発でもいいから反応してほしい、その気持ち、ボクにもわかるんです。
そして、彼女がどれだけの孤独の中を生きてきたのか、思いを致さずにはいられません。
音の無い世界で、まわりの人の反応だけを頼りにフィンガースナップの訓練を続けた彼女の幼少期を想像すると、胸が押しつぶされそうになるのです。
だいいち、なぜ発声訓練を受けていないのでしょう。現在の聾学校では、手話より優先して発声と読唇の訓練を行うはずです。
医療監修がしっかりしている本作で、これが単純なミスやご都合だとは、ボクには思えなくて。
「誰かの心に何かを残したい」という考え自体は、批判されない立派なものかもしれません。
しかしボクは、どうにも腹立ちを覚えて仕方ないんですよ。彼女がその裏でどんなことを思っているか、それはとても褒められたものじゃない。
ボクたちは勇者じゃない。自分以外の何者になることもできない。誰だって成長する過程で、必ずそのことに打ちのめされるんです。
誰だってそうなんです。誰だってそれを乗り越えて、それでもやることを見つけて、そして生きていくんです。
だから、そのことは自分の人生に絶望して、逃げ出す理由にはならない。余生を過ごす老人のような達観に耽ることは許されない。
自分の道を見つけることもせず、「誰かの心に爪痕を残せれば、自分のことを思い出してくれるんじゃないか」とか、「自分という重力場で他の星が運行を変えるんじゃないか」といった傲慢な妄想を繰り広げるのは、あまりにおこがましいとは思いませんか。
「渚に残した足跡のように生きてるしるしを熱く残」したいなら、まず自分の行き先を考えろ、と言いたい。足跡が残るのは結果であって、それを目的にするもんじゃない。
ええ、今ボクは彼女のことを語ってるんじゃありませんよ。ボクのことを言ってるんです。悪いか! 悪いよ!!
……どうにも彼女を見ていると、居心地が悪くなってくる。
自分のことを重ねすぎてしまうんですよ。全然違うタイプの人間だと思うんだけど。
でも、彼女がこのシナリオで成長できたようには、ボクは成長できてないんだろうなあ。
しかし、お祭りを企画するって経験は、とてもいいものだと思いますよ。
一人一人が出した少しの余剰エネルギーが、集まるうちに最後には奔流となる様子は、いつだって感動的です。
ボクはただ、ほんのちょっとお膳立てをして、あとはじっと見守るんです。だいたいそれでうまくいく。
祭りを特等席で眺める感慨は、他では味わえない醍醐味です。中毒になります。
きっと作者のみなさんは、その愉しさをとてもよく理解していたに違いないんです。
この、かたわ少女プロジェクトもまた、そういった大きな祭りの一つだったんですから。
エロシーンについても触れておきましょう。
本作は、正常位系よりも騎乗位系の割合が多めで、特に初体験から騎乗位に挑戦する方が多くいらっしゃいます。あるいは文化の違いやもしれません。
静音と久夫の初体験も騎乗位系なのですが、最初からあの体位、あのシチュというのは相当トバしてます。かなりの耳年増さんじゃないと思いつかないでしょう。
実に素晴らしいと思う反面、久夫がワープしてね? とか、このバランスは危険すぎじゃね? などの些細なことが気になり、実用性という意味ではそこまでのめり込めなかったのが残念でした。久夫は心臓以外のリスクを考えなかったのでしょうか。
しかしそのアンバランスさが、この時期の2人の関係を示唆しているような気もして、お気に入りのシーンではあります。
御門椎名
きっと皆さん述べているでしょうが今一度、彼女は攻略不能キャラです。
100%コンプのご褒美画像にも顔を出してるし、メインキャラのうちには入っているはずなんですが。
しかし2人組の女の子3ペアで構成される本作のメインキャラの内、彼女だけが攻略不能です。ルートがありません。
しかし、この理由は仕方ないよね。
攻略できるミーシャなんて、ミーシャじゃ無いんだから。
派手な格好、派手な言動、そして静音の通訳という立場。
彼女のケータイと同様にデコレーションでごてごてとしていて、なかなか本心が見えづらいところがあります。
静音ルート以外でも、時折彼女自身の素顔が垣間見えることがあります。時には確たる信念から助言をくれることもありました。
彼女は強い人です。他の誰もが、そして彼女自身が考えるよりもずっと強く、そして気高い。ボクが本作で最も畏敬を覚えた人をあげるとしたら彼女です。
でも、どんなに強い人だって、傷ついたら痛いんです。
人間である限り、「傷つくことに慣れる」なんてことは無いのだと、ボクは信じるのです。
自分のことを語るのがやや苦手で、そのおかげで彼女の過去には色々と想像力をかき立てられます。
ただ、愉快でない思いをたくさんしてきただろうことは、さすがに察せられます。もしかしたら、学園に来る前から。
やや過剰に自己防衛しているところもありますがしかし、それでも前を向こうとする意志が美しい。
後悔するな、行動しろ、と彼女は常に言っていた気がします。そしてそれは、いつもおおむね正しかったのです。
本作、個別ルート開始前のムービーが非常にいい仕事をしてます。
つまり静音と久夫がベガ・アルタイルなら、彼女はおデブ、ということですね。椎茸おいしいです。
でも、デネブは夏の大三角の中で、最も大きな星だって知っていますか? 彼女は決して、太陽に照らされて光るだけの月ではありません。
他の女の子たちと同様、彼女本来の輝きを取り戻すこともまた、久夫にしかできないことなのです。
砂藤リリー
静音ルートに続いては、彼女の宿敵であるリリーのルートへ。
しっかしほんと、あの2人は仲いいですよね。ある部分では好対照でありますが、根っこのところは同じ、同族嫌悪ってヤツです。
久夫こそあたふたしてますが、まわりの反応は慣れたもので、「なかよくけんかしな」といったところ。
久夫の反応が面白くて、わざわざ見せつけるためにケンカしているようにも見えます。あの2人だとありそうなことですし。
髪や眼の色こそコーカソイドですが、内面は実に日本人的です。良い意味でも、悪い意味でも。
……「良くも悪くも」って書いたら、普通は悪い意味ですよね……。
いや、彼女の義理人情を重んじる優しさは、偽善なんかではなく本物だ、ということはボクもわかってますよ。
彼女は同情と共感の人です。困っている人がいたら助けたいと思うし、力になりたいと願う。それを思うだけでなく、実行できる人はそう多くありません。
その上彼女は公平で、節度をわきまえている。人望を集めても傲慢にならず、引くところは引いている。どこかの静音みたいに、強引にお節介を焼こうとはしない。
そりゃあクラスの人気者になるのは当然です。大多数の人にとっては好ましい性質でしょう。
反面、「八方美人」という表現も、やや当てはまるかもしれません。
よくよく見ていると、かなり激しい気性の持ち主で、好き嫌いも多いのですが、それを慎重にコントロールしていることが窺えます。
ややコントロールしすぎなんです。そのせいで、自分の直情に従って行動することがなかなかできない。
彼女の優しさは、誰に対しても優しくあろうとするばかりに、時に優柔不断という形で現れます。
そこへさらに、突発的に自分に問題が降りかかってくると、キャパシティオーバーを起こして固まってしまう。
そんなことが過去にもあったようなのです。
彼女の人を見下すような言動が鼻につくことが、度々あるのです。華子や久夫に見せる保護者じみた顔も、おそらくその延長線上にあります。
久夫はそれを「母性」と呼ぶのですが、ボクにはどうも、それだけとは思えません。
彼女は自分のことも含め、人間という存在をあまり信じていないんじゃないか、と疑っているのです。
自分は所詮こういう生き方しかできない、と最初から諦めてるんじゃないかと。
ボクはこのシナリオ終盤の展開、本当に怒ってますからね。
本人には悪気は全くなく、むしろこちらを気遣っての行動なのでしょうが、「気遣われる」こと自体、見下されてるってことじゃないですか。
彼女には選択する自由もあった。助けを求めることもできた。でもそうすることを選ばなかった。
ボクにはそれは、どうしたって「利用された」としか思えない。
久夫だって、怒ることはできたはずです。当初は怒ってたと思います。
なのに久夫は結局、「寄り添うことができなかった」と自分を責めるんです。そんなの、おかしいですよ。あまりに不憫ですよ。
挙げ句にあんなことまでしでかして。
ボクはね、2人ともどうしようもない大バカ野郎だと思いますよ。
結果オーライで2人が幸せだからって、晃や華子は許しちゃダメですよ。もっと怒ってしかるべきです。
誰も触れない2人だけの国に閉じこもるのはよしていただきたい。
ラブロマンスによくあるフォーマットっちゃあその通りなんですが、しかしねえ……。
特に前半で語られていたテーマ、「障碍者だからと特別視しすぎるな」とか「自分を哀れむな」とかとこの終盤展開がどう関連しているのか、ボクの中で納まりがついてません。
そこまで考えさせられてしまうのも、本作のキャラ造形が深く掘り下げられていることの証左なのですが。
あ、でもエロシーンは良いですね。数も多いし。
目隠しというネタは、エロゲーのスタンダードではあるですが、このシナリオだと別の意味が加わってきますし。
エロシーンというより日常場面で、「触れる」というリリーの日常行為の描写が、どこか美女の流し目にも似たエロティシズムを感じて良いです。顔をなぞるという行為に込められた意味合いにときめきます。
あと余談ですが、夢で触覚を感じるのは決して愉快ではない、と感じない方には教えておきます。痛みで飛び起きることがよくあって、目が覚めてもしばらくしびれが続くんですよ。
池沢華子
そして、そのまま流れで華ちゃんへ。……向かったのですが。
はたして、攻略情報なしで、初見でグッドエンドにたどり着いた人はどのくらいいるのでしょうか。
あ、もし試してみたいなら、ここから先へ読み進むのをやめて、今すぐにプレイして下さいね。以下はかなりモロのヒントですから。
意図したバランスでしょうけど、初見ではまずノーマルエンドに行くと思います。ボクもそうでした。
2択4回で1/16の確率、しらみつぶしでもたいしたことは無いんですけどね。でも初見ではなかなか。
何が難しいって、彼女にとって「よいこと」が何か、ほとんど読み取れないところですよ。
間違った選択肢でも彼女の反応は悪くなく、むしろ好意的に見えるので、初見じゃどちらが「あたり」かわかりっこない。
このシナリオのムービーも素晴らしい出来映えなのですが、しかし、他のシナリオでは今後の展開を暗示する描写がどこかにあるのに、今回に限っては攻略のヒントにはなりません。おそらくこれも計算どおりなんでしょう。
たぶん、作者の意図としては、一度はバッドエンドを見てほしかったんだと思います。そして、考えてほしかったんですよ。
でもボクには、バッドエンドを見る前に思い出さずにはいられなかったことがあって。
床の模様で遊ぶような子供じみたことを、高校の頃どころか今になってもやっちゃうくらい、ボクはぼっちなんでした。
彼女が求めているのはヘルパーじゃない。そんなこと、自分に照らせばすぐにわかったはずなのに。
そうそう、ボクも小学生の頃、まともに教室で授業を受けた記憶がない時期があって。立派な「不良」ですわ、ボクも。
その意味合いは彼女とは全く違うけど、でも、無視されてる方がずっと楽だ、という気持ちはボクにも覚えがあるなあ。
同情してくるヤツが一番厄介なんです。きっと親か誰かに「あの子はかわいそうな子なんだから」とでも吹き込まれたんでしょうよ。
実際のボクはその時、自分に満足していたし、十分に幸せだった覚えがあります。友達なんか、いなくても死にゃしないんです。
なのにアイツらは、自分は善意で行動しているつもりで、まったく拒絶されることとか考えてなくて。だから拒絶したら逆ギレするのが目に見えてるんですよね。逃げても逃げてもつきまとうし。
ああ、そうそう。その頃のボクは誕生日も嫌いでした。理由は華子とおおむね同じです。
そういう思いもしてるのに、なんで華子に対してボクは、アイツらと同じような態度を取っちゃったんだろうな、と。
その答えは多分、前の方に書いた通りなんですよね。
ボクはただ、自己言及もこの文章には必要だと思って書いているだけなんですが。不愉快だったらごめんなさいね。
形だけは謝っておきます。この後も続くよ。
華子が求めているのは友達ではない、という点で、ボクは彼女のことが理解できる気がします。
しかし久夫とは逆向きなんですよね。すべての人間関係を失って、山久でそれを取り戻そうとしている久夫とは。
そりゃすれ違うわけですよ。グッドエンドの条件が厳しいわけです。
かなり深読み、そして好意的に読み解けば、あのグッドエンドは、「久夫が意識して」よかれと思った行動ではたどり着けない、「久夫が意識していない」プレイヤーによる行動介入が、たまたまうまくいった結果だったのかな、と。
プレイヤーは他のルートから、久夫が知らない情報を得ることができます。
バッドエンドを見れば、華子の本心を知ることができます。
静音シナリオで、華子にとってチェスがどんな意味を持っているのか、なぜわざわざリリーにチェスを教えたのか、察することができます。
リリーシナリオをよく読めば、華子が前に進むために何が必要なのか、ちゃんと書いてあります。
そこでやっと、リリーと久夫のプレゼントが、華子の「求めるもの」ではあっても、華子に「必要なもの」ではなかったことがわかるのです。
ノーマルエンドは、そういう目で見ると悲劇ですよ。ある意味、バッドエンドよりも悲しいことかもしれない。
何より、あのルートの久夫は、この悲劇性に永遠に気付くことがない。それが最大の悲劇です。
ただ、そこを乗り越えればもう、2人はイチャバカップル一直線ですからね。
グッドエンド後、華子の尻に敷かれる久夫の未来が目に浮かぶようです。あーもうやだやだ。
まさか久夫のことだから、岩魚子に「好きなひとが、できました」とかお返事書くほどバカじゃないだろうけど。でももう、それ以外に書くこと無くなっちゃったよね!
このシナリオでは、エロシーンがかなり重要な意味を持ってます。そしてそれを前提にシナリオが組み立てられています。
実用性云々より、まずシナリオとして楽しむのが良いでしょう。
しかし事後の展開の方がすごいかもね。正直「やられた!」と思いましたもん。
茨崎笑美
笑美ルートは、あるいは一番最初にプレイする人が多いルートかもしれません。
このシナリオを最初にプレイするのももちろん良い選択です。何しろルート突入条件が非常にゆるい。あっという間につきあい始めます。そしていちゃつき始めます。爆発だー!!
グッドエンドの条件もかなりゆるいし、身体障碍をテーマとしたシナリオとしては、とてもスタンダードな出来上がり。
(他と比べれば)比較的短くまとまっていますが、本作のノリをつかむには十分な色が出ているシナリオです。
前の3本で慣れてきたボクにとっては、最後に控える大物にむけての準備運動といった感覚でプレイしていました。
……もちろん、一筋縄ではいかないだろうな、という期待に胸躍らせながら。
個別ルートに入ると、第一印象からは予想もつかないような内面を見せてくれる、本作のメインキャラたち。
その内面を見る度にボクは驚かされ、見方が甘かったと認識を改めてきました。
笑美も決して例外じゃあありません。
父への思いを語る彼女を見れば、久夫もプレイヤーもだいたい事情がわかったように思ってしまうんですが。まさかあんなこと考えてるなんて。
ただ、彼女の場合は、ボクの第一印象はさほど変わっていなくて。むしろ逆なんですよ。
笑美、お前は、自分で考えているような人間じゃないよ、と。
彼女は自分に厳しすぎるというか、過小評価しすぎというか。他人から見た彼女の像と違いすぎてるんです。
自罰的、鞭打ち苦行者みたいなんですよ、彼女の考え方は。ひでえ言い方をするとね。
注意してほしいんですが、それは彼女が、走ることを求道者的に修練してるって意味では無いんですよ。まったく逆さまです。
彼女は「地上最速の足なきもの」を自称するくらいに、走ることに自信を持ってます。実力もあります。
にも関わらず将来のこととなると、走り続けるのも「それでもいいかも?」「真剣に考えてない」なんて投げやりな返事を返す。
走るのがつまらないとか、他に考えてる将来があるとか、そういうわけでもないのに。
このときの彼女の様子を、久夫は「ためらっている」と表現するんですが。才能があるのに、何をためらうのかと苛立たしく思う人もいるんじゃないですかね。
つまり、実態はこうです。
彼女にとって、走ることは「楽」なんです。逃げなんです。だから、そのことに没頭するのは依存であり、甘えである。将来を託すようなものじゃない、と。
……おかしいでしょう、そんなの。ねじくれてますよね。理解できない人もいるんじゃないかな。
いや、本作のメインキャラはみんな、典型的かつ極端な性格ですから、プレイヤーによって1人か2人わからない人間が出てきてもしょうがないと思いますよ。
ボクにとってのリリーみたいにね。そういう子はよく見かけるし、いるのは知ってるんですけども。
彼女は自分のことを、甘ったれだと思いこんでます。だから頑固に、冷徹に自分に接しなきゃいけないと考えて、それでうまくいってるつもりでいるんですね。
しかし傍目から見てると、いやお前全然本音が隠せてないよ、となっちゃうんですけどね!
これがリリーくらい自分をコントロールできちゃう人間だとかなり厄介ですけど、全然そんな、うまくいってないし。
広く浅い友だちづきあいを心がけて、深い関係を拒んできたと、笑美は言うんですね。
ですけど、どれだけの人が笑美を気に掛けてるか、見て見ぬふりをしてるだけでしょ、それは。
だいたい、琳に気遣われてるって時点ですごいですよ。ほとんどの人間に興味を持ってない、あの琳に。めちゃくちゃ評価高いですよ。
笑美は静音のこと嫌がってますけど、静音は笑美のこと気に掛けてますし。まあ、静音は誰にでも興味を持ってるから、特筆事項じゃないが。
でもミーシャはどうだろう? ミーシャはそこまで他人に構う性質じゃなかったはずなんだけど……?
このように、笑美の人望は全然隠せてないわけです。性質の良さがにじみ出てますもんね。
きっと、無理すんなよ、と言われたことは一度や二度じゃないと思いますよ。でも頑なに今のやり方を続けちゃってる。
ほんのちょっとのきっかけが必要なだけですよ、彼女は。自分の肉体を信じることは、彼女にとっては大して難しいことじゃないもの。
走るときにわざわざ、右脚を前に出したから左腕を前に振ろう、なんて考えてるわけないじゃないですか。
同じように、久夫のことは一目惚れでした、べったべたに惚れまくってます、と何も考えずに認めるのは簡単でしょ。
ってか、認めるも何も、どんなに強情張ったって隠せてませんからね。あーマジ爆発。
もちセックス多いですよ。恋する2人の頭の中はいつでもセックスですよ。流れるようにもつれ込みますよ。
しっかし、アナルセックスこそコンドームをつけろと、これほど言ってるのにどうしてわからないかな。
白川優子
琳シナリオに入るのはとても苦労しました。何度かバッドエンドも見てしまいました。
それとは関係ないんですけど、優子さんのことですね。
なぜ攻略できないのか、と。
本作のコンセプトとしてできない、という理屈はわかるようなわからないような。障碍者しか攻略できないというのは、かえって差別的じゃありませんか? 言いがかりだけど。
ボクはね、バイト2つ掛け持ちして、その過労のせいで退学すれすれの低空飛行をしてる優子さんの力になりたいだけなんです。
専門が古代アテナイの民主制なら、ボクも話はわかるし、お手伝いできると思います。ギリシア史って新しい史料がなかなか出てこないから、論文書くのが大変なんですよね。わかりますよ。
年の差なんて関係ありませんよ。優子さんの初恋の相手は年下だったじゃありませんか。
ええ、色々聞いてますよ。なかなか変わった読書の趣味をしていて、ちょっと、だいぶヘンな人で、でも一緒にいて楽しかったって。他の人と仲良くなれない彼の力になりたかったって……。
その気持ちは美しいと思います。だから彼が唐突に、理由も告げずに姿を消したとき、あなたがどれだけ苦しんだか、ボクにも少しはわかるつもりです。
なのに、彼のことを赦すって。いい人だったって。理由があって恋に落ちたんだし、うまくいくかどうか知らないままでいるよりはマシだったって。後悔はあるけど、楽しかったときの思い出を覚えてさえいれば、それで十分だって……。
優子さんは、本当に優しいし、そして強い人だとボクは思います。そんなあなたのことがボクは好きです。
だから優子さんをポイ捨てしたヤツのことは絶対に赦さん! たとえ優子さんが赦してもこの俺がゆ゛る゛さ゛ん゛!!
どこの誰かは知らないが、見つけ出したら、屋上に呼び出し事故を装った上でDANZAIしてくれる!!
手塚琳
ボクは、琳のシナリオを心待ちにしていました。
もうずいぶん前から……初見で共通ルートをプレイしていた頃から、このシナリオこそプレイすべきシナリオだとわかっていました。
ただ同時に、プレイすれば確実に吐血することもわかっていましたからね。最後の楽しみにとっておいたんですよ。
ムービーを見たときボクは、もうこの時点で泣きました。
思った通りの、おそらくは思った以上のストーリーが始まることがボクにはわかりましたから。
このストーリーこそ、伝わらない人には全く伝わらないかもしれません。
いえ、他のシナリオと比べてわかりにくいところは無いです。むしろ、よくこのテーマでここまでわかりやすく書いたものだと思います。
でも、たぶん、味わったことの無い料理や見たことの無い場所を、百万語費やしたところで伝えきることはできないだろうから。
伝わらなくてもしょうが無いけど、でも、このことだけは覚えておいて下さい。
あなたが創作に恋することが無くても、創作に恋する人を愛することは、あるかもしれないんです。
創作を愛する人と恋に落ちるかもしれないし、愛する人との子どもが創作に恋するかもしれない。
久夫も最初、無縁の世界だと思っていたわけですし。不意にあなたの身近な話になる可能性は、いつだってあるんですよ。
ボクもそうです、自分のことは創作者ではないと思ってます。ボク自身はごくごくありきたりな人間です。
特に美術のことはボクにはわからないんですよ。
なにせボクは美術の成績は常に1でしたから。作品を提出しなかったから当然です。
なんで作ろうともしなかったんだろう。教師のいうことを聞かないのは、ボクにとっては日常のことでしたけど。
だんだん思い出してきたんですが、少なくとも一時期まで、ボクはこうじゃ無かった。教科の名前が図画工作だった頃までは、作品を提出することもありました。
なぜやめたのか、記憶は断片的で、言語化することも今まで無かったのですが。
ボクの描くものはいつだってボクが描きたいものには近づかなかったし、誰かが求めているものでも無かった。でも、描くことが楽しいうちは、それ自体を目的に描けたのです。
それが、教師の求めているものを描けと言われて、これは何かと説明を求められて。
できなかったんです。あまりにも無防備にボク自身すぎて、ボクは自分の描いた結果を直視できなかった。
教育に恨みはありますが、しかしそうでなくとも、いつかボクは描かなくなっていたと思います。
絵にしろ、文章にしろ、ボクの中に動機がないことは、その時点で思い知らされてしまって。
ボクは、創作を愛する人に恋してるだけなんだって。
求愛行動なんですよ、ボクにとって、あの絵も、そしてこの文章も。同じくらい芸術ではあり得ないものです。
だからボクはこのシナリオを、琳に恋してしまった哀れな久夫に寄り添って読み進めていきました。それ以外にやりようも無かったし。
選択肢を選ぶのはとても難しかったけど、久夫ならどう答えるかではなく、自分ならどう答えるか、正直に選んだつもりです。
幸運にも、初見でグッドエンドにたどり着きました。ええ、本当に幸運にも。どう選択するのがベストか、なんて考えてなかったから。
これがもしノーマルエンドだったら、ボクは本当に打ちのめされていたに違いありません。
分岐の構造にだけ注目すれば、このシナリオはそれほど難しくないんですけどね。そのことに気付いたのは、進捗100%のためにシーン回収した今現在でした。
久夫は哀れ……です。琳に恋しなければ良かったのに。あんなにボロボロになって、ずたずたになって。
琳も久夫も、悪いことなんて何も意図してなかったのに。
創作者に恋をしてしまったときの孤独は、他の種類の孤独とはまったく異なる気がします。アスリートに恋したって、こんな気持ちにはなりやしません。
それは、創作者には自分の中にしか動機が無いからだと、思っていました。
スポーツはまだ、誰から見ても明らかな勝ち負けが、達成未達成があるけれど、芸術にはそれは無い。
作品の意味は創作者の中にしかなくて、また創作する意味も作品の中にしか無いんだから。
どうやったって、この超えられない溝を意識せずにはいられなかったんですよ。
でも、それは違った。
自分の中に何も無いんだから、だからボクは創作者たりえないって、ボクはそう思って今日まで生きてきたんですけど。
それは、嘘であるだけじゃ無くて、人によっては暴言だったのかもしれないって、気付いたんです。
だって、わからないんですよ、彼ら当人にしても。自分のどこから、創作する動機がやってくるのか、なんて。
「自分自身が」創作をしたいのかどうかさえ、きっとわかっていないのに。
自分のことが自分でわからない、そんな孤独に身をゆだねることがボクにはできなくて。それが創作なんだ、と思い込んでしまっていただけなんです。
琳はきっと、自分自身であろうとし過ぎています。
論理的な思考を拒絶し、露悪的に皮肉を思いつくままに言って、狂人のように振る舞って孤独を確保する。そういうやり方は……ボク自身に身に覚えがありすぎて、あまり悪く言えないんです。
適度な孤独がもたらす恩恵は、ボクにもわかります。でもそれは、あくまで適度なものに限ります。
自分自身であろうとし過ぎれば、その先には絶望と破滅しかありません。
ニコチン、ドラッグ、そしてオナニー、自己目的化した自傷行為は見るに堪えませんがしかし、久夫は直視しようとします。
でも結局、どうすることもできない無力感を募らせるだけに終わってしまうのでした。
野宮先生やさえさんは、どうしてこうなるまで放っておいたんだ、と久夫は叫びます。
でもボクは、これまた心当たりがありすぎて、彼らのことを非難できません。ボクだってそうしてきたのです。
ボクがなぜフリーゲームを好むのか、昔から考えてたんです。ボクがゲームが好きなら、なぜ「フリー」にこだわるのか、と。
ボクがフリーゲームに求めているのは、究極の無為だったんですよ。
少なくても何百、多ければ何万という時間を費やし、心血を注ぎ込んで、その結果として何も物的に得るものがない。これほど無為なものは無い。
この無為に耐えられるほどに強い、やむにやまれぬ思いを抱え、血反吐を吐いて完成させたその成果を、ボクは喜ぶのです。
これがどれほどおぞましい考えか、自覚は少しはありますよ。でも、自覚不足なのもわかってる。
自分の愛する人に、そんな暴力を振るうやつがいたら、と考えると……身を挺して守りたいけど、ボクはそう行動するだろうか? 行動してきただろうか?
久夫で良かったと思います。久夫が本当に、心優しいヤツで良かった。
ボクが初めてレビューした作品は、「孤独について考えてみたことはあるでしょうか」という出だしで始まりました。
この作品のシナリオはいずれも、孤独について描いていたようにボクは思えます。
それはしかし、当たり前かもしれない。ひとりとひとりがふたりになるためには、どうしても孤独について考えずにはいられない。
あの作品が出した結論は、今でもボクは鮮明に覚えていますが、それとこの琳シナリオを比べると、ちょうど裏拍を刻んでいるような印象があります。
ボクたちは一人だけど、だからこそ独りではないんだと。
その結論に至る過程をぜひ、皆さんの目で見届けてほしいのです。
ボクには少し、まぶしすぎて。
このシナリオにおいては、琳が障碍者であることも、この作品がエロゲーであることも、たいした意味を持っていません。
ただ、あのオナニーのシーンは、これ書きたかったんだろうなあ、と思わずにはいられません。
本作で最も好き放題やってるシナリオであり、最後に選んだのは大正解でした。
このツアーの最後に、主人公、中井久夫についても、考えておきたいです。
まず最初に、彼は決してプレイヤーの操り人形では無い、ということ。
彼はプレイヤーとは違う1人の個人として、悩み、苦しむのです。
高身長、学業優秀、運動神経も悪くない、会話したことの無い女子から告白された経験がある、陰のある美男……と、彼のスペックだけ抜き出せば、ボクのようなヘドロのルサンチマンの餌食になっても良さそうなものです。
そうならないのはひとえに、彼がどこまでも誠実だからでしょう。
彼にはおおよそ、打算というものが無い。いつだってマジで物事に取り組もうとするのです。それは好きになった相手に対してだけじゃありません。
もともとは内向的で、あまり社交的で無かった彼が、できるだけ愛想良く振る舞おうと努力して、時に空回りしたり、間が悪かったりする光景はとても嫌味には見えず、微笑ましいものです。
彼は非常に影響されやすい人物として描かれます。
好きになった子のことを考えるあまり、行動パターンや思考回路まで、すべてコピーしてしまいそうな勢いです。
これは、彼が一度すべてを捨ててしまったから、ゼロに近い状態にあるからだと言えるでしょう。
一方で本作のメインキャラたちは、みんな影の濃い人物ですからね。まして好きな相手ですから、引きずられるのは仕方ない。
だけれども、彼は決して根無し草では無いのです。
彼の根本には、もう二度と、愛する人を失いたくない、という切なる願いがありました。
もっとも、ボクは久夫が岩魚子を愛していたのか、いささか疑問に思ってるんですがね。何も無かったとして、あの子と付き合い続けただろうか、と……。まあ、彼の後悔は岩魚子のことだけでは無いですけど。
彼は失ったものを取り戻そうとした。その孤独が、孤独な5人の女の子の気を引かせた。
けれども最後に引き寄せたのは、久夫自身の手だったことも忘れてはいけません。
彼は、自分はおそらくあと10年くらいしか生きられない、と思っています。
何かするには短いが、何もしないでいるには長すぎる。人生っていつだってそうなんですよ。
思えばあれも10年くらい前でしたか。ボクが絶望にくれ、もう何もしたくないと考えていたのは。
そのさらに10年くらい前も、人生でできる楽しいことはすべてやり終えた、と考えていた記憶がありますね。
ボクってヤツはとことん成長が無い。でも、今のボクには、自分の人生があと10年続くかどうかなんてわからないから。
ならばせめて、生き続けてみようじゃないかと。
今この瞬間の楽しみと、明日へのほんの少しの未練があれば、きっとボクは生きていけると思うのです。
評点は不満点だけ書きましょう。
- ハマリ度 : 9 / 10
- 所々文章が読みにくい。ひとしきり無駄話をした後に、ずいぶん前の会話を指示語一つで受けたりする。
思うに小説向きの文章。小説なら少し目を動かすだけで前の会話が読めるが、ホイール逆回しは状況再現だが、読み返しには不便。右クリックからテキストログは読めるが、呼び出しが非常に遅い。
とてもよく日本について調べて書かれている上、翻訳も大変な苦労をして違和感を無くしただろうことは理解するが、日本を舞台にしたアメリカの作品の日本語訳、というこなれなさは細かいところで残る。
特に季節感の描写。梅雨があったり無かったり、シナリオによってもかなりぶれるため、時間経過をつかみにくく、頻繁に引っかかった。
しかし、その引っかかった分だけちゃんと読み返させる作品であることを鑑み、この点数。- グラフィック : 10 / 10
- やや塗りに不統一感は残るが、立ち絵を並べると目につくかな、程度。
イベント絵は豊富、表情差分もふんだんに用意されているが、さらに動きでカバーするところも大きかった。優子さんのコミカルなアクションの再現に大いに役立っている反面、琳のワサワサにはあまり効果的では無かった。
- サウンド : 9 / 10
- クオリティは高く、統一感はあるが、突き抜けたところも無く、演出的にはあまり聞かせどころが無かった印象。
「Passing of Time」が琳シナリオで流れたところは聞かせどころで、琳シナリオが〆として設計されていたと確信する根拠だが、所詮はジングル、やや荷が勝ちすぎた気がする。この作品が描きたかったのは障碍者ではなく、人間である、というメッセージ、しかと受け取りました。
ハートに絆創膏を貼っている、すべての人に向けた作品です。