■　firstcomplex

作者	[ kaiso さま ＆ ne-on さま ]
ジャンル	[ 内向的な自分を変える女性向け恋愛アドベンチャーゲーム ]
価格	[ 1,500円（税別） ]
容量・圧縮形式	[ 957MB・lzh（ＤＬ版） ]
製作ツール	[ NScripter ]
言語	[ 日本語 ]
備考	[ １５歳以上推奨 ]
配布元

　《 シュン 》　

どんな人にも「コンプレックス」はあるものです・・・。

　来良瑞（きよみず）学園へ転校してきた主人公、神坂美幸（名前変更可）。
彼女はあることがきっかけで心を閉ざし、他人と関わることを徹底的に避け、長い前髪で顔を隠すことが自分を守る唯一の方法と考えています。
　しかし。転校初日、主人公の前髪を校則違反だと注意しようとした冷酷無比な生徒会長、一寸木義継の手を振り払ってしまったことから事態は一変します。
それがきっかけになり様々な人物と関わっていくこととなった主人公。
彼女が見た世界は変わり始めます。そして生徒たちの意外な真相も明らかとなっていきます・・・。

　自分の顔に相当なコンプレックスを抱いている内向的な性格の主人公と、それを取り巻く生徒たちの交流と恋愛のお話です。
その一つ一つが日常の出来事や心理描写、そして過去話で感慨深い話に仕上がっています。
ここでは攻略対象たちの紹介を交えてストーリーをご紹介しましょう！

　一寸木義継・・・ストーリー紹介にもある通り冷酷無比な生徒会長で、通称「鬼会長」。
一見すると怖いだけの冷徹な人物にも思えますが、実際は学園での人気は高いようで、意思や信念が強い熱い人物です。また猫に対して異常な反応を示すようですが・・・？
彼に関わっていくうち、意外な素顔や過去が分かってくるようになります。
　注目は過去話。この過去話で主人公がコンプレックスを抱く原因が判明します。
その話は辛く、悲しく、そして誤解を与えてしまった苦しみがひしひしと伝わってくるものです。
１０年以上もそんな誤解を与えてたというのは・・・思わず絶句しました。
誤解が解けた後、この２人の仲を親の都合で強引に引き裂こうとした義継の母親にムスっとしましたが、その後の安西先輩が清々しい発言で仲を取り持ってくれました。カッコいいですね・・・。
２つのトゥルーエンド、どちらもオススメです。特に２人のツーショスチルがある方（ＥＤ２）がオススメ。
こちらを最後にすると良いでしょう。より２人の関係が分かる展開だからです。その言葉・・・プロポーズですよね・・・！？

　蔀颯・・・学校では変装していることが多い謎だらけの人物。人気は会長と２分するほど。
優しい性格で主人公にも優しく接するのですが本心かどうか良く分かりません。
このキャラは「三角関係」ルートを通るのが特徴で、２種のグッドエンド＋ノーマルエンドに進むか本人のルートに進むかに分かれます。
三角関係のまま進むルート＆その結末もオススメですが、断然本人のルートがオススメ。
彼の正体とそれに伴う悩みや葛藤、そして冷たい視線・・・。
告白シーンにおける颯の豹変っぷりは唖然としました。もう全てを投げ出している感じで・・・。
ここでの選択肢が特殊なので注意してください。それを乗り越えれば彼の悩みも解決します。
但し、トゥルーエンドのエピローグでも少々ヒヤッとする場面があるので注意してください。
別に悪いことが起こるわけではないのでご安心を！

　志水虎太朗・・・バスケ部所属の今どき系な活発男子。主人公にも明るく接してくれます。
よく会長に校則違反を注意され目の敵にしていますが、実際は本人に非がある場合がほとんど。
特筆する部分はありませんがその分、日常生活での会話や出来事が他のルートより輝いて見えました。
例えばプールでの話とか、演劇とか、告白とか、バスケの試合とか。
彼が攻撃的になった場面もありましたがそれでも気持ちは伝わってきます。
このルートのツーショスチル、萌えるはずなのに思わず笑ってしまうのは何故でしょうか・・・（ぇ）。
ちなみにルート外でも主人公への好意を見せています。

　灰原樹・・・幼い見かけによらずかなりの毒舌家。主人公に対しては優しい一面を見せることも。
彼はどうやら秘密を抱えているようです。それはあまりにも辛すぎるものであり、主人公にも共感できる部分があります。
ただ気になったのは、樹を執拗に痛めつけていた生徒の行動理由です。
何故あそこまで激昂するのか見当も付きません。他にも不可解な点が多数あります。
一番の謎は「樹の母親が何故あそこまで堕ちてしまったか」でしょうか・・・。
まあ、最後は痛みを共有できて良かったね・・・と思いました。それで十分です。

　他にも主人公に優しく接してくれる双子の姉弟、渡良瀬　淳＆三波も中々良いキャラです。
淳は攻略対象外のキャラなのですがアンケート人気投票結果を見る限り人気は高いようです。
それほど強い印象を与えたキャラということなのかもしれません。現に主人公に積極的に関わってきた人物ですし。
ちなみに、このサイトの作品に見られる「攻略対象外キャラが強い印象を与える」という傾向は
この後も続いていくことになります。

　最後に主人公について。彼女はこの地に初めて来たのではなく、幼少期に親の都合で東京に移るまでこの地で暮らしていたようです。義継ルートの過去話でその様子が描かれています。
自分を過小評価する内向的な性格としては『シンデレラ乙女の恋』 の主人公に近いでしょうか。
「顔が悪い」というコンプレックスを抱えているため仕方ないのですが・・・。こちらからとしてもそんなに顔が悪いとは思いませんし（むしろカワイイのでは）、一方的に「自分だけが悪い」と決め付けないで！ とも思いますが、義継ルートでも分かるとおり誤解だったのですから仕方ありません・・・。
「自分の思っているほど世界は悪いものじゃない」と考えるとこの主人公にも共感が持てます。

　主人公のコンプレックスから始まる学園の青春＆恋愛物語。
自分が見ている世界も、他人から見ると案外違う世界なのかもしれません。

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