■ 狂い月
作者 [ 3色ぱん さま ] ジャンル [ ホラー脱出ADV ] 容量・圧縮形式 [ 79MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 15歳以上推奨 ] 配布元
- (補足)
- 2016.03.13:現在の最新バージョンは、Ver.1.03です。
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 8 /10 9 /10 9 /10 107/120 シュン 8 /10 10/10 9 /10 hoikoro 10/10 9 /10 9 /10 赤松弥太郎 8/10 10/10 8 /10
ダレモ ガ 狂ッテ イル…
今回のイチオシ作品「狂い月」のキーワードは、ずばり「狂」の一文字です。
序盤から、康平の死によって狂っていく隼人、それによる非業の死…狂気は徐々に登場人物を、そしてゲーム画面を蝕んでいきます。
扉の割れ穴から覘く血まみれの少年、隠れた先にふと横を見ると目が合う少女の死体、特定の部屋でノイズとともに再生される、満と翔の回想、および屋敷自体の回想…謎を解くたびに様々な狂気が暴かれていきます。
そして、ネタバレ範囲外で記載できる「本作の狂気」はここまでです。誰がどんな風に狂っていくのか、または狂っているのかは、実際のゲームプレイでお楽しみください。本作は、この「うまく恐怖にのめりこめるレベルのプレイ難易度」にもこだわっています。「次の行き先」「謎解きのヒント」などは、メニューの「思考する」である程度ヒントが表示されます。それに従えば、とりあえずのクリア…ノーマルENDは十分に行けるでしょう。
最序盤の時間制限のある探索イベントは、初見では焦るかと思いますが、普通にプレイしても時間切れになることはまずありません。「思考する」や鍵の説明などから、次に行く場所を常に念頭に置きましょう。
また、屋敷の構造が複雑なのも、本作が難しいという印象を与える一因です。新バージョンになってから、序盤の探索で屋敷内の地図を資料として保存できるようになりました。迷った際は、資料を参考にしてください。3階の地図はありませんが、そちらは複雑な構造にはなっていないため、まず大丈夫でしょう。
問題は、トゥルーENDへの道筋。ノーマルENDをクリアした後のヒントを見ないと、まず分かりません。そのタイミングも非常にシビア。どちらも終盤の本筋で忙しい時に分岐が発生するため、分岐が発生する箇所を暗記しておかねばなりません。
幸い、ノーマルENDクリア後に解放される「開発資料室」にて、ほぼ答えに近いヒントが分かります。再プレイの手間をなるべく少なくするためにも、終盤のセーブはこまめに分けておきましょう。…具体的に「何処」と言うと、これまたネタバレになるため、実際にプレイして判断してください。そうしてたどり着いたトゥルーENDの分岐、初めて見た方は驚いたのではないでしょうか。「えっ、そこでそのリアクション!? いったい何故!?」と思ったのではないでしょうか。
その理由は、トゥルーENDで判明します。初見では絶対驚くでしょう。例え「よくあるトリック」であったとしても。
本作内でのキャラ描写がしっかりしているが所以です。しっかりしているからこそ、「あいつが実は…」という疑念を実際に暴かれるまで読者に想定させないようにしています。
各登場人物(故人含む)の「表向き」のキャラは、ノーマルEND後でも分かります。しかし、「真相」に関しては、2つのトゥルーEND条件をクリアしないと見ることはできません。
トゥルーEND後に見れる部屋では、各登場人物の真相だけでなく、本編では顔グラの無かった人物のイラストも展示されています。少なくとも、本作をプレイした方には必見の内容となっております。
美麗なホラーADVを求める方なら必見の内容です。そして、本作をプレイした方なら、トゥルーENDを見たくなるはずです。
プレイ時間は2週やり直すとしても2~3時間程度。時間を見つけてプレイしてみてください。
《 シュン 》 ハマリ度:8 グラフィック:10 サウンド:9
狂っているのは・・・月だけではありません。
『ねこの帰り道』と同じサークルの作品とは思えないほど、難易度、雰囲気、衝撃の度合いに変化があります。
難易度は順当に高く、雰囲気はとても重く、衝撃の度合いは恐ろしいと感じるまでになっています。
ムービーでの演出やテキストスキップ、メモを利用した情報交換など、意外なところにも手が込んでいますよ!
幼馴染の梓紗(あずさ)と部室に向かおうとした満(みちる)。
ところが、裏山にある幽霊屋敷の噂を聞き、半ば強引にそちらへ向かうこととなりました。
そうして満は4人のクラスメイトと共に幽霊屋敷に向かいます。雨宿りのため屋敷の中に入った5人。
それがまさか悲劇の幕開けになるとは、そしてこの場所で起こった悲劇を知ることになるとは思いもせず・・・。
5人が屋敷に閉じ込められ、探索や謎解きも行いつつこの屋敷で起こった様々な情報を集めることになります。
序盤はメモを利用して英語の資料を翻訳したり、開かなかった扉を開けてくれたりします。
話が進むにつれ人が次々と死んでいくなどショッキングな出来事も起こり始めます。途中からは真実を追い求めること、未練を解消することへとシフトしていきます。
屋敷はやたら広く、冗談抜きで迷います。「思考する」でヒントが得られるもののあまり役に立たない場面があるため苦戦するでしょう。
Ver1.01からは屋敷の全体図が分かる「館内図」が資料に追加されたり、「思考する」のヒントが分かりやすくなるなど色々改良されています。
途中対応を誤ったり、追いかけてくる敵に捕まるとゲームオーバーになってしまいます。
その時には専用のスチルが表示され、一部の場面では直前からやり直すことも出来ます。
あることをしているとイベントが変更され、それとは別にあることをしているとトゥルーエンドにいくことが出来ます。初見では・・・まず見られないでしょうか。
「開発資料室」には特定のイベント発生条件やトゥルーエンド達成条件のヒントを貰えるので活用しましょう。
この作品にはノーマルエンドとトゥルーエンドが1つずつしかなく、ハッピーエンドは存在しません。
(注:序盤の選択肢で即終了するエンドもありますが実質エンドには含まれない)
また、トゥルーエンドがハッピーな結末というわけでもありません。あくまでも「真実」が判明する結末でしかないのです。
では、ここで明らかになる「真実」とは何でしょうか。それを知ったとき、確実に愕然としてしまうでしょう。
その後の演出がこれまた憎いです。こういう真実が明かされた時、普通なら起こる展開が一切無いのです。
それまでの話も十分悲劇だったのにこんな場面で追い討ちを掛けてくるとは・・・。専用のムービーまで付いてくるため、絶望に打ちひしがれることは避けられません。
この屋敷と一切関係無いと思っていた満も実は・・・そ、そんなのってアリなんですか・・・!?
いやはや、本当に目を疑いましたね。確かにタイトル通りの話となっていました。一番狂ってたのは・・・一体何なのでしょうか!?
余談ですが、梓紗は屋敷の探索に関わることはありません。その代わり、意外と重要な役割を持っていますよ!
また、タイトル画面は見るたびに出てくるキャラが変わっているので余裕があるなら全パターンチェックしてみてください。
同サイトの作品のキャラたちも(関係無い所で)登場しているので探してみてくださいね!
《 hoikoro 》 ハマリ度:10 グラフィック:9 サウンド:9
今回は【狂い月】というゲームをプレイいたしました。
短めのADVホラー、自分はかなり謎解きが苦手で少々気後れしつつも、いざプレイしてみるととても熱中致しました。
特に優れたところとして、ADVホラーとしての"設定の完成度"と"ストレスの感じさせなさ"がずば抜けていました。
まずストレスの感じさせなさですが、メニューコマンドの一つに、次に向かうべき場所のヒントを教えてくれるものがあり、これが本当に助かりました。
どうしても日にちを跨いだりしてわからなくなってしまった場合にすぐさま物語の進行方法を教えてくれるこのシステムのおかげで、豊富な世界観や設定を忘れることなく物語を進めることができました。
また、移動速度が非常に早いことで、とても広い館内でありながらもスムーズな進行が行えました。
これは個人的に非常に重要な事項で、広い館内を歩きまわる過程で物語を忘れてしまったり、そうでなくても細部が意味不明に陥ることがかなり抑えられていたと思います。
他にも、交差する謎解きも少なかったために一つ謎を解いて次に進む。というシーケンスで遊ぶことが出来ることや、豊富な資料と序盤で配布される館内図などがどこでも見直せることも素晴らしい。
総合的に"何をしていいのかわからず、ストーリーもよくわからなくなってきて怖いどころかイライラする時間"がほとんどなかったことがホラーゲームとして高いポイントであると思いました。
分かり難いのは後半の月の光の差す場所くらいでしょうか、これはヒントが少なく迷いました。
謎解きはどうしても必要な要素として存在する以上、このポイントは少なからずADVホラーゲームとしてつきまとう問題ですが、これを見事に解決している本作品は大変素晴らしいものでした。
加えて、クリア後のおまけでキャラクターたちの設定が見られます。これ自体はホラーゲームとしてはよくあるものですが、そこでかなり詳しく物語の答え合わせが含まれており、余すことなく楽しみたい自分としては大変嬉しい要素でした。
次に、設定の完成度です、あまり詳しく書くとネタバレ必須なので可能なかぎり抑えますが。
学校で噂になっている館があり、そこに行ってみようということになり、入ると外には出られず…つまりはかなりオーソドックスなストーリー展開です。
そこでは幽霊が…様々な不思議が…それらを解き明かしていく最中に物語が急転して…というのがこのゲームの本筋ですが。
自分が一番凄いと思い面白いと感じた点として、このゲームにおいては
ホラーゲームで度々存在する"よくわからないこと・展開"が全て理由付けされていました!!
まるで当たり前のことを言っているようにも思えますが、これは少なくとも自分がプレイしてきたADVホラーゲームの中では初めてのことです。
なぜ入ってきた扉が開かないのか、なぜ幽霊が見えるのか、なぜ見えないのか、なぜ…なぜ…
ホラーゲームにおいてなぜ。というのは常に付きまとう感情であり、それでいて解決されることの少ない感情でもあります。
そこは自分で考察して、という風にそれらしき何かをそっと教えてくれる程度が普通でした。
それもそれの良さがあります。それ自体が魅力となる例があることは自分も幾つものゲームで知っています。
ですがこのゲームでは【全てが達成】できた時点で、このゲーム内の殆どの違和感や謎が解かれ、~~は~~が原因だった。という答えが導き出されます。
その時の言葉にし難い感情はゲームをプレイしていただかないとわからないと思うのですが、自分はその時絶句しました。
そして、その原因はおそらくこの完成度にあるのだと思い、とても満足した気分でゲームを終えることができました。
非常に鮮やかなイラストやグラフィックもさることながら、ぜひともこのゲームをプレイしてみて欲しいと思う。そんなゲームでした。
・ハマリ度:10/10
物語ののめり込ませ方、わかりやすさ、盛り上がり、ED、どれをとっても高水準の素晴らしい作品。
バグや文章ミスなどもプレイしていて見当たらなかった事もポイントの一つ。
可能であるならばダッシュに対応するキーとスキップに対応するキーを別にしてほしい、もしくは会話履歴を見られる機能がほしい所
・グラフィック:9/10
顔グラやキャラクターグラフィックもさることながら、一枚絵の美しさは流石。
床のシミなど、少し見にくく困る部分もあったものの気になる程ではなかった。
惜しむらくは何故この美しい顔グラのラフなどをゲーム内で扱わなかったのか。
・サウンド:9/10
BGMが流れる箇所自体がかなり少ないものの、どれも良く出来ている。SEも適切。
オルゴールやレコードの仕掛けで流れる音楽なども、不気味さと切なさを合わせているような何とも言えない雰囲気を醸し出していた。
またEDでのあの音楽は鳥肌もの、余談だがオマケ部屋でのBGMが一番気に入っている。
ただ、少しの箇所で部屋の切り替えの際に変更するべきでないと思われるBGMが変更されている。
ぶつ切りにもなってしまっているし、かなり違和感がある為少々減点。
いかんせんシステムよりもストーリーが中核であるゲームのレビューは何言ってるのかわからない状態になってしまいがちで悔しいです。
何を言ってもネタバレになるんだもの仕方ないね。
ただやはり面白かったので是非プレイしていただきたいです、これは間違いない。
アロルド&コーネリア可愛すぎ
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:8 グラフィック:10 サウンド:8
赤く滴る 月が囁く
満月の下、閉ざされた洋館。
閉じ込められたのは、5人の年頃の男の子たち。
月光が運ぶ狂気は、次第に5人の精神を蝕んでいく……
これはもう、ナニかが起きるに決まってる!
エッ違うの? えっ?
やだなあ抜いたり刺したりしてるのそれナイフじゃないですか!
いやいやオカシイじゃないですか。こんなかわいい子達なのに? せっかくの15禁なのに? そういうゲームじゃない?
サービスシーンとか無いんですか? ほらピンクのしおりとか!
そんなものは無い。無いんですか?
ヤダ! そんなのヤダ!
キャラクター紹介しようにも全部ネタバレになっちゃうなんてヤダヤダヤダー!!
もう知らない! いつもの通りテキトーに書くもん!
台詞とか設定とかは最序盤、まだ誰も死んでいない時点に準拠して、あとは全部妄想で埋めましょそうしましょ。
みんな戦えー、正ヒロイン決定戦の開幕じゃー!
新岡 梓紗主人公の幼なじみ、世話焼きの女の子、と言えばギャルゲーでは攻略の華ですね。
でも悪いけど梓紗、この館は男専用なんだ。残念だなあ。
しかしある意味よかった。やおいゲーなら無意味にかませ犬になるポジションだし、ホラーものなら漏れなくむごたらしく死ぬポジションだもの。
最初から蚊帳の外に置かれていれば、命までは取られまい。うんうん。
しかし、公式サイトには気になる記述も。
周囲も驚くほど行動的になる、とは一体どういうことでしょうか。満月を見上げるとサイヤの血が騒ぐんでしょうか。
はたまた説明書を読んだだけでロケランをぶっ放し、館中ドンパチ賑やかにするつもりでしょうか。
その行動力がはたして作中で発揮される時が来るのか? 「私だって主人公よ!」と大空に向かって叫べる日が来るのか!
いや、そもそも満は、この娘の暴走のために館へ行くことになったのでした。
何か匂いますね。公式サイトの掲載順が最後なのも、油断させておいて実はラスボスという暗示なのでは……?
4人の中の誰かから、満と会える機会をセッティングしてくれ、と頼まれたら、この娘はメキメキと世話焼きパワーを発揮するに違いありません。
テキトーな理由を付けて主人公を館に行くよう仕向け、もしかしてナニか間違いでも起こっちゃうんじゃないのと高鳴る胸を抑えながら床につくボクだった……ってダメじゃん! それボクじゃん!
うーん、この説も無理か。ヒロイン争いという意味では、正直……。
次いってみよー!
皆川 進進と梓紗と満、この3人はかつて幼なじみのグループでした。小学校時代からの付き合いです。
今でこそ悪ぶって、満に一方的に突っかかっている進ですが、昔は気弱で、さんざん梓紗にいじめられていたようです。
もう二度とそんな屈辱は味わうまい、満にふさわしい強さを手に入れたいと、心身共に鍛えてきました。
まあしかし、どんなに髪を逆立てたって、眉を剃ったって、人間5年やそこいらで変わりゃしません。
圧倒的な脅威を本能的に察知してしまい、ガタガタ震えながら「もうダメだぁ……おしまいだぁ……」とふて腐れながらクレーターを作る未来しか見えません。
ホラーとして見ても、肝心の所でヘタレて、何か重要なことに気付きながら殺される役が関の山といったところ。
しかし、ヒロイン力という意味ではどうか。
幼なじみで、ツンヘタレのいいヤツキャラ、というのは紛う方無き正ヒロインのテンプレート。
ヒロイン争いという面で見れば、一歩他キャラよりも抜き出ていると言えるでしょう!
海藤 隼人ポジションで見た正ヒロインが進だとすれば、隼人は属性で見た正ヒロイン最有力候補。
まず目を引くのが線の細さ。特に肩なんて、女の子かと思うくらい細い!
ピンクのベストにサイドアップ(かな?)と、もはや狙っているとしか思えないあざとさ。これで天然だとしたらむしろ驚きです。
その上、所作もいちいちカワイイ!
ドット絵がぱたぱた実に良く動くのです。上の台詞も、「おっぱい! おっぱい!」言いながらパタパタ地団駄踏んでます。かわいすぎでしょ。
誰かにナニかされる前にボクが全力で保護しなきゃという気になるじゃありませんか、ねえ?
公式の説明にあるとおり、周りに流されやすいところアリです。
つまり、壁ドンして、「おっぱいなんかよりイイモノを教えてやるよ……」とか耳元で囁けばコロッと落ちちゃうかも知れないのです。そんなこと許さない!
今回の館見物を提案したのだって、そもそもは彼の提案でした。最近の噂に乗ってみたかったみたい。
そのくせいざ来ると、「疲れたーおんぶー」などとブーたれてます。
てか、絶対自分がカワイイのわかってるよねこの子。あざといなあ。
なんでホラーゲーにやって来ちゃったのか、とつくづく思わせる不憫な子です。
本作に攻略要素さえあればッ……!
渡 康平隼人の幼なじみ兼保護者、彼の貞操を守り続けてきた鉄壁のガードです。
進と隼人は相性悪いし、響也も他人を積極的にリードする性格では無いため、仲良し4人組の実質のリーダー格、まとめ役にもなっています。
しっかし康平、隼人のことが本当に好きなんですね。
物静かで、反抗することも面倒くさいような態度を取っているくせに、いざ隼人が叱られるとなると教師にも反抗します。
当初は館見物に反対していたのに、隼人がどうしても行くとなれば、結局一緒に付いてきてしまいます。
あまり交友の無かった満にさえ、「隼人のことをよろしく頼む」などとおノロケを始めるのは、さすがに妬けます。
隼人が満のことをやや苦手にしていたのを見ていたからかも知れません。気遣い大将ですね。
ポジション的に正ヒロイン争いからはやや遠い感じか。
持ち前の勘の良さでなんとか切り抜けて生き延びてほしいところです。
速水 響也女子からイケメン! イケメンと騒がれてる彼ですが。
プレイヤー視点から見ると、腹黒なのはバレバレです。
それに加えて、なぜなのか理由はわかりませんが、満に対する初期好感度がメチャクチャ低いのです。
ことある毎に「面倒くさがり」の「つまらないヤツ」の「梓紗の尻に敷かれてる」のと気に障ることばかり言ってきます。
彼が正ヒロインから一番遠いって? いやいや、藤崎詩織という先例もありますし!
裏を返せば、満のことも含めて実によく観察しているということでもあります。
もともと家が大金持ち、容姿端麗、学業優秀、運動万能。英語圏からの帰国とのことで、高校1年で英語もばりばり翻訳できます。
なので、満はちゃっかり翻訳係として顎で使っちゃうんですけど。かなり横柄な態度で。
それでもちゃんと翻訳してくれるあたり、いいヤツではあるんですよ。頼み事は断れないタチなんですね。
完璧すぎてちょっと攻略の糸口がつかめない感じはありますね。
何か弱みとか、過去話とか、そういう所から攻略につなげていきたいところです。
神埼 満そういうことで、ボクのイチオシ満くんです。だってメガネですし。
その無造作ヘアをカリカリモフモフしたい衝動を抑えながら話しますと、本作の主人公です。はい、改めて。
友人らしい友人は現在、梓紗ただ一人。ずっと耳にイヤホン刺してクラシック聞いてたら、そりゃ拒絶オーラばりばりです。
本人曰く、「聞いてると落ち着く」らしいんですね。どうも特定の曲や奏者のファンとか、そういうことでもなさそう。習慣で聞いてるっぽい。
本人曰く、「特にやることもない」とのことで素行も良く学業も勤勉。
おそらくは梓紗からの誘いでしょう、天文部などに参加しており、多分これも特にやることがないせいか、参加率は高そうです。
ただ気になるのが、この天文部、梓紗と満以外の部員ってどうなってるの? ということ。
妙にフットワーク軽いところを考えると、真面目に活動してるの2人しかいないんじゃ……とも勘ぐりたくなってきます。
さらに問題なのが、幼なじみの男女が二人で夜空を見上げてるってのに、当人らにまるでそんな気配が無いってところですわ。やっぱりホm……っとと、決めつけはよくないね。うむ。
さんざんお茶を濁しまくったのは、だいたいコイツのせいでもあります。
だってメガネだし、主人公だし、なぜか館の景色を記憶している……物語の核心に関わっていること確定ですもん。
何書いたってネタバレになるんですけど、やあ、トゥルーエンドは実に良いものですので是非是非ご覧ください。ナイスメガネでした!
皆さんもこんなレビュー読んでるくらいなら、プレイしちゃって下さいよ。トゥルーエンドまで含めても、せいぜい3時間くらいですから。評点。
- ハマリ度 : 8 / 10
- 過去1、過去2、現在という3つの時代が交錯するストーリーだが、混ざり具合がいささか複雑すぎる。進行度、あるいはマップのエリア毎に明確に区切りがあればわかりやすかったかも知れないが、渾然としているために、登場人物や部屋数の多さが目立つ。以前見かけて引っかかっていた仕掛けが、いざ謎解きの段に入ってどこにあるか思い出せないこともよくある。館内図を受け取るように修正が加わったものの、対応しているのは中盤展開までなので、終盤以降はとにかく迷う。
ただし、フラグ管理はしっかりしていて、普通に進めている限り、手戻りや詰まりはないようにできている。中盤までは動線もハッキリしていて、無駄な寄り道をせずとも進行できるようになっている。謎解きはやや不親切で、初見殺し前提のイベントもあるが、コンティニューはやりやすい。それだけに、このマップのわかりにくさは実に残念。
話のスケールの大きさが本作の魅力である一方、焦点が絞りきれていない印象も受ける。一貫した敵役の不在も、おそらくは狙ってやったことだろうが、その分恐怖の対象が分散してしまっており、ホラーとしてはマイナス。それぞれの背景もしっかり描かれているため、「館の呪いで狂った」以上に「もともとそういう人間だった」の方が強調されてしまい、館本体への恐怖感が薄まっている。そのせいでトゥルーエンドはやや突き放された感じで、恐怖も共感もどちらも得にくかった。- グラフィック : 10 / 10
- イラストムービーやのぞき穴演出が的を絞ってここぞというタイミングで使われている。没入感が素晴らしい。
しかしメインはむしろドット絵の方。グロテスクな演出を抑えてとっつきやすく、わかりやすく仕上がっている。セーブポイントが暗闇に浮かび上がる配慮もありがたい。- サウンド : 8 / 10
- 基本は無音、イベントシーンに絞って音楽を流す、ホラーADVとしてはよくある方針。しかし残念ながら沈黙の印象が勝りすぎていて、トゥルーエンド曲以外、音楽にここぞというインパクトは受けなかった。テーマ曲が月光というのもやや安直に過ぎるのではないか。
SEは粒が揃っていて違和感がなかった。色々語ったのは、本作の登場人物、この6人に限らず全員可愛らしいんですよ。
確かにネガティブな面が出てくることの多い作品ではありますけど、そういう人間くささも含めてもとても愛くるしい。
ボクとしては、ホラー以外のジャンルでももっと、この作者さん方の個性が出る作品が増えるといいな、と願ってます。