■ ハシビロコウとメジェド
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作者 [ 早川浩二 さま ] ジャンル [ パズルアクション ] 容量・圧縮形式 [ 55MB・ZIP ] 製作ツール [ Unity ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ ブラウザ上でもプレイ可能 ]
[ Nintendo Switch版が販売中 (864円) ]配布元 ![]()
- (補足)
- 2019.09.08:現在の(フリー版での)最新バージョンは1.54.0です。
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レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 8 /10 8 /10 7 /10 49/60 ![]()
赤松弥太郎 8 /10 10/10 8 /10
セーラー服と機関銃(と思いきやブレザー)
「ハシビロコウとメジェド」は、ミニマルなパズルアクションです。通常ステージは1画面固定の9ステージのみ。その後の本編ステージも、長丁場とはいえ1時間単位はかからない分量です。
しかし、ミニマルであるが故に、要求されるスキルは意外と大きいです。通常ステージの制限時間は30秒(簡単モードでも60秒)。最短ルートを割り出してから望まないとあっという間に時間切れになります。
最短ルートを見つけ、タイムを縮めることを醍醐味とした、ユル風味ながら歯ごたえのあるアクションに仕上がっています。
要求されるスキルも数プレイで身に着けられるように考えられています。もし攻略法が見つからない場合は、攻略動画を参考にするのもいいでしょう。そのスキルを身に着ける中で、明確に「欠点」と呼ばれる要素が2つほど見られます。
1つは「最初の9ステージをクリアして初めてセーブされる」こと。9ステージの途中で詰まって一度ウインドウを閉じると、ステージ1からやり直しとなります。
何故この仕様にしたのか、いまだに納得いきません。難易度からしても、Escキーで簡単にリトライできる点からしても、「繰り返しプレイでベストタイムを追求する」ことを求めたゲームであるはずです。
どうして、最初の9ステージの最中にもセーブできるようにしてくれないのでしょうか。コツさえつかめば、通しプレイでも最終ステージまで20分程度でクリアできるからなのでしょうか。![]()
もう1つは、「ショットが背中から出るバグ」があること。特にジャンプショットを繰り返したり、左右にガチャガチャ移動するとしばしば発生するバグです(バージョン1.54.0での現象)。
コンシューマ販売を受けて、頻繁にバージョンアップを繰り返してきた「ハシビロコウとメジェド」とは思えないバグです。ひょっとして、私が使っているXboxコントローラのような3D入力でなければ発生しないバグなのでしょうか。
このバグが見逃された原因は、「一瞬たりともガバ(失敗ルート・クリアに繋がらない行動)は許されない」というシビアな難易度も原因でしょう。「ショットが背中から出るバグ」が出るような行動をした時点でクリアは失敗、Escキーの出番だと判断しておきましょう。ショットは歩行中に出すようにしましょう。こういう欠点も笑って許せる世界観、そしてスキルで克服できるレベルデザイン、それが「ハシビロコウとメジェド」の面白さです。
本番の最終ステージは、ガラッとレベルデザインが変わり、広めのマップでバナナを探し回る探索アクションとなります。前半9ステージで得たスキルはそのまま使えるため、通しプレイで臨んでいきましょう。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:8 グラフィック:10 サウンド:8
アバラボラボラ!
ハシビロコウと、メジェド。
これだけなら、なんとなくアフリカっぽいイメージですが、全くそんなことはありません。
空飛ぶ電話ボックス。
ガトリング砲。
醤油差し。
こうして見れば、「らーめんを美味しそうに食べてるネコがラスボスです」という紹介文は、まことに的確なのだと理解できるでしょう。
およそ脈絡というものが感じられません。
本作、レベルデザインは計算されつくしています。
クリアし終わったら、YouTubeに過去バージョンの攻略動画が上がっていますから、比較してみてください。
レベルデザインとはどうあるべきかを教える、とても優秀な教材になるはずです。
ステージ構成は8割方同じですが、いかに誤解を与えるものを取り除き、初めてのプレイヤーにもわかりやすくしていったか、その過程が見て取れます。
では、キャラクターデザインに計算はあるのか?
ハシビロコウとメジェドと主人公しかいなかった初期バージョンから増えていった、キャラクターたちに隠された意図とは!?
……間違いなくねぇよなぁ。
計算が働いているなら、ハシビロコウの時点でありえません。
敵でもギミックでもなんでもなく、ただ存在しているだけのキャラクターなんて、普通は考えつきませんよ。
さすがに、初期バージョンで再三敵と間違えられて撃たれたり、プレイヤーを惑わせてきたことを反省し、今では説明キャラとしての立ち位置を得ています。
にも関わらず、中盤ステージで進路上に立たせ、銃でも排除できないお邪魔キャラという、本来のお仕事をさせるのは確信犯でしょう。
あくまで思いつきを形にするための計算であって、思いつきの方が本体なんです。
しかし一方で、不思議なことに、ここまで脈絡の無い世界観でありながら、どこかしら統一感もあります。
醤油差しから飛んできた醤油と、ガトリング砲が同じダメージって、明らかにシュールです。どう考えてもなじむハズがないのです。
それでも同居させ、しかも違和感を消してしまうのだから、ドット絵の力は恐ろしい。
解像度を下げた世界だからこそ、ここまで思いついたままの発想が表現できるのでしょう。
ゲームとしての本作の評価は、評点で書いていきましょう。
- ハマリ度 : 8 / 10
- レベルデザインは進化を続けた本作だが、システムの根幹は何ら変化していない。面白さの本質は確たるものがある。
横移動を非常に遅くし、クリアタイムを秒単位だけで計測することにより、ルートさえ決まればたやすく理論値が出る状況を生み出したのは、実に妙技。アクションが苦手な人でもタイムアタックが楽しめる。
一方で、基本ステージは9つまで、という方針も、初期バージョンから変わっていない。
出し惜しみしなければもっとステージを作れたのは確実で、小さくまとまったという印象は拭えない。ラストステージは探索がメイン、おまけステージは難度が高すぎるので、基本9ステージをもっと遊びたいという欲求にはマッチしない。
- グラフィック : 10 / 10
- 完全なるグラフィックの勝利。スコア更新時の主人公がうざカワイイ。
- サウンド : 8 / 10
- 再生中の曲名が出るこだわった仕様だが、プレイ時間が短いせいで、どうやっても目立ちようが無い。
いっそプレイ中のBGMは一曲に固定して、ずっと流し続けてはどうかと思ったが、それでも、集中力を要する本作では、BGMが主役になることは無いのだろう。ラストステージの曲は邪魔にならないという点で好感触だった。